第3353日目 〈田中河内介は最強クラスの怪談ですね。〉 [日々の思い・独り言]

 言葉の由来が気になって、手持ちの辞書を総動員し、図書館へ籠もって調べる時期が、その昔あった。為、『氷菓』千反田える嬢の台詞でお気に入りの1つが「ところで『キナ臭い』の「きな」ってなんでしょうね?」なのだ、というても、ああ成る程、と納得してもらえるように思う。
 ……まこと、好奇心は知識を獲得する原動力だ。時に人の憎しみを誘い、怨恨の連鎖に巻きこまれることありと雖も、好奇心は人を駆り立てる。田中河内介から寺田屋騒動に興味を持ったらば、教科書や用語辞典を繙き概略を得、関心あらば根掘り葉掘り調べてもよろしかろう。
 が、その作業をしていてどうあっても、田中河内介に帰り着くならば、……これはもうやはり、河内介の祟りがまるで関係ない人にまで及んでいるンじゃぁないか、と不気味な想像が働く。
 語っても聞いても祟られる、とは『残穢』の一節と記憶するが、わたくしは田中河内介の話を読んでいるといつも『残穢』を想起してしまう。意外な偶然や祟りと呼ぶべきが意外な形で派生して連鎖する、それがいつどのような形であらわれるかは露しれず、その系譜もいつまで続くかいつ途絶えてくれるか皆目不明、とあればこの両者、『四谷怪談』の血を引く最強クラスの怪談の1つということができそうだ。◆


文藝怪談実話―文豪怪談傑作選・特別篇 (ちくま文庫)

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  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2008/07/09
  • メディア: 文庫




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