第3352日目 〈初代円朝『怪談乳房榎』が読める。〉 [日々の思い・独り言]
怪談落語の雄といえば、六代目三遊亭圓生である。三遊亭、つまり三遊派は初代三遊亭圓生を祖として今日まで錚々たる実力者をいつの世代にも輩出した、文化年間から令和まで続く名派。此度ご紹介する初代三遊亭円朝は六代目圓生から遡ること60年以上前にお江戸は湯島で産声をあげた。
三遊亭円朝は従来の人情噺のみならず、自身創作の筆を執って高座へ掛けた人。創作落語で最も有名かつ代名詞なのが怪談噺、つまり『真景累ヶ淵』、『怪談牡丹灯籠』と『怪談乳房榎』だ。
名作ゆえにこの3作、これまで何回となく各出版社から活字本が出版されてきた。ちかごろも2018/平成30年06月と07月、角川ソフィア文庫で刊行された。これ以前には岩波文庫で『牡丹灯籠』を除く2作が読めた。筑摩叢書の『円朝怪談集』では『怪談牡丹灯籠』と『怪談乳房榎』が収められていた(筑摩叢書87 筑摩書房 1967/08)。
学生時代に古本屋で購った『怪談累ヶ淵』は岩波文庫で、『怪談牡丹灯籠』と『怪談乳房榎』は筑摩叢書版で、ずっと大切に読んできたが、破損も目立ってきたので、角川ソフィア文庫版の登場には喝采をあげたものだ。これで円生の名作怪談を、同じ文庫で読むことができる。それになによりフォントの大きいことがうれしい。物語への没入度を考えた場合、活字の大きさは大切な問題だから──。
でもこのたび、いま頃ではあるがようやっと角川ソフィア文庫を購入したので、改行されていることの安心感、それに伴う版面の余白の心地よさを噛みしめながら、殆ど15,6年ぶりの『乳房榎』読書を愉しんでいる次第。
──岩波文庫の怪談でもう1作、角川ソフィア文庫からの出版を期待したいのが、四世鶴屋南北の傑作、『東海道四谷怪談』である。
先日、NHK教育「古典芸能への招待」にて放送された片岡仁左衛門・坂東玉三郎38年ぶりの共演となった歌舞伎座での舞台(2021/06)と、BS松竹東急にて放送された「コクーン歌舞伎」で上演された『東海道四谷怪談・北番』(2006/04)をそれぞれ観て読みたくなったのだが、河竹繁俊校訂の岩波文庫版もかなりくたびれてきた。そろそろ世代交代が行われても良いのではないか。そんな点も含めて角川ソフィア文庫はこちらも新しく出版してもらえまいか、と嘆願する。◆
三遊亭円朝は従来の人情噺のみならず、自身創作の筆を執って高座へ掛けた人。創作落語で最も有名かつ代名詞なのが怪談噺、つまり『真景累ヶ淵』、『怪談牡丹灯籠』と『怪談乳房榎』だ。
名作ゆえにこの3作、これまで何回となく各出版社から活字本が出版されてきた。ちかごろも2018/平成30年06月と07月、角川ソフィア文庫で刊行された。これ以前には岩波文庫で『牡丹灯籠』を除く2作が読めた。筑摩叢書の『円朝怪談集』では『怪談牡丹灯籠』と『怪談乳房榎』が収められていた(筑摩叢書87 筑摩書房 1967/08)。
学生時代に古本屋で購った『怪談累ヶ淵』は岩波文庫で、『怪談牡丹灯籠』と『怪談乳房榎』は筑摩叢書版で、ずっと大切に読んできたが、破損も目立ってきたので、角川ソフィア文庫版の登場には喝采をあげたものだ。これで円生の名作怪談を、同じ文庫で読むことができる。それになによりフォントの大きいことがうれしい。物語への没入度を考えた場合、活字の大きさは大切な問題だから──。
でもこのたび、いま頃ではあるがようやっと角川ソフィア文庫を購入したので、改行されていることの安心感、それに伴う版面の余白の心地よさを噛みしめながら、殆ど15,6年ぶりの『乳房榎』読書を愉しんでいる次第。
──岩波文庫の怪談でもう1作、角川ソフィア文庫からの出版を期待したいのが、四世鶴屋南北の傑作、『東海道四谷怪談』である。
先日、NHK教育「古典芸能への招待」にて放送された片岡仁左衛門・坂東玉三郎38年ぶりの共演となった歌舞伎座での舞台(2021/06)と、BS松竹東急にて放送された「コクーン歌舞伎」で上演された『東海道四谷怪談・北番』(2006/04)をそれぞれ観て読みたくなったのだが、河竹繁俊校訂の岩波文庫版もかなりくたびれてきた。そろそろ世代交代が行われても良いのではないか。そんな点も含めて角川ソフィア文庫はこちらも新しく出版してもらえまいか、と嘆願する。◆
名作 日本の怪談 四谷怪談 牡丹灯籠 皿屋敷 乳房榎 (角川ソフィア文庫)
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2013/07/11
- メディア: Kindle版