第3392日目 〈静夜思。〉 [日々の思い・独り言]

 〈眠られぬ夜〉は辛い。
 この世に不眠症の人のあることを思えば、事情・支障あり寝の浅く頻繁に目覚めてしまう人のあることを思えば、──辛い、というのは贅沢な愚痴であろう。
 されど〈眠られぬ夜〉は辛いもの。時間が異様に長く感じてならぬもの。さっき床に就いたと思い、夢を見るぐらいの時間は寝ていたろう、と時計へ目をやれば実際は30分ぐらいしか経っておらず、しかも実際は寝てもいなかった、とわかる瞬間程、嗟嘆したくなることもない。そんなときは余計に時間の流れるのが遅く感じられて、しかも睡魔の訪れは遠いもの。
 が、しかし、そんな眠られぬ夜にこそ己の来し方を思い、人生を整理し、己を見つめ直す時間に充てよう。夜更けゆえ堂々回りしてドツボに嵌まり却って寝られぬこともあろうけれど、普段気忙しく動いて自分を見つめる時間も割けぬ生活を送っているならば、この時間を静かに活用するに如くはない。
 眠られぬ夜の時間を無為に過ごさず、有為に過ごしておれば深い瞑想の時を持つと共に睡魔の訪れを小さな幸福の1つと数えられる心境にも至ろう。

 首を挙げて山月を望み   挙頭望山月
 首を低たれて故郷を思う  低頭思故郷

──中国盛唐の詩人、李白の「静夜思」から。◆

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