第3417日目2/2 〈重度の幼馴染み病患者 → Liella! になくてはならぬ船頭役、嵐千砂都について。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 ──顧みれば嵐千砂都は、第1期放送開始前からミステリアスな存在であった。果たして他のキャラクターに較べて一体われらは彼女のなにを、どこまで知っているのか。
 知るところあるとしても、公式からの発表に基づくものではなく、状況から想像される様々なピースを掻き集めてムリヤリ整合性を付けて創りあげたものでしかあるまい。
 果たして彼女の戸籍抄本はどのような内容か。下に書き出してみたが、一目穴だらけであることが注目される。曰く、──
 嵐千砂都、現住所;東京都・以下不詳、出生地:不明、両親:不詳(職業共)、兄弟:不明。生年月日;2006年02月25日(生年は推定。令和04年07月現在;16歳)、血液型;B型。
──以上。
 顧みれば嵐千砂都は第1期放送開始前からその人物像、未知なる部分が多かった。
 新シリーズ告知当初から中国からの留学生キャラクターが登場するとアナウンスされていたせいで、当初はヴィジュアル的に彼女がそのポジションを担う者と推定されていた。が、各キャラクターの自己紹介動画が公式サイトにアップされるや大方の推測はまったく裏切られ、まさかのテヘペロ・グレーヘア(パープルメッシュ入り)娘たる唐可可が上海からの留学生であることがわかると、ライバー界隈の一部からは「えーっ」というなんともいえぬ類の声があがったことを、いまよりはまだ熱心なライバーの1人であったわたくしにも聞こえたことである。
 加えて主人公と幼馴染みと判明するや、過去シリーズの幼馴染みたちがさっそく引き合いに出されて、その重症度の度合いを測られる始末ともなった。──当初は並み居る幼馴染みたちを撥ね除けるにはパワー不足と思われていた彼女であったが、豈図らんや、番組がスタートして回が進むにつれて幼馴染みとしてのポテンシャルはシリーズ最凶クラスたることを印象附けることに成功した。
 ……彼女が幼馴染みジャンルのトップに立てなかったのは幸いであるやも知れぬ。ナンバー・ワンを不動とする上原歩夢(『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』)の上を行くとなると、それはもう治癒不能のガチキチであり、或る意味でサイコパス予備軍というてもよい程だからだ。逆に、このジャンルに於ける最弱は『ラブライブ!サンシャイン!!』の曜ちゃん。童貞と陰でいわれるだけの押しの弱さとヘタレぶりは、周囲に比して極めてノーマルかつ愛くるしいがゆえにこれから先ずっと、誰からも寵愛されることであろう……。
 但し、幼馴染みへの依存、或いは自分の行動原理が幼馴染みへの愛、という点では千砂都も歩夢と同列だ。
 ことりは? と訊ねる向きあろうけれど、この2人に較べればまだまだ可愛い方だと思います。なぜって……ことりは歩夢のように幼馴染みが自分以外の人と親しくしていたり、幼馴染みが抱いている夢を自分以外の誰かよりも先に伝えていることを知っても、あくまで冷静を装い、内に抱えこんで独り病むのがオチであろうから。
 歩夢の場合は冷静を装うことを早々に放棄して、病むとかそういう段階をすっ飛ばして殆どレイプまがいに相手を押し倒し、自分の重い愛を吐きまくる。
 千砂都は、押し倒すこともその序でに自分の愛をぶちまけることもなかったけれど、すべての行動原理がかのんに結びつく以上、ヤバさこそ歩夢に一歩を譲ると雖もその重症ぶりは歩夢と同列というてよい。ただ千砂都のかのんへの気持ちがどちらかといえば畏怖、信仰に傾くに対して歩夢の侑へのそれはまるで性愛──体も心も独占希望なように映るのだな。
 既に第1期当該回の感想でも書いた(ような気がする)けれど、幼い頃に苛められていたところをかのんに助けられた千砂都は、「わたし、かのんちゃんができないことをできるようになる!」と宣言してダンスと出会い、有言実行して見せたことでかのんの尊敬を勝ち得る。
 この、「かのんちゃんができないことをできるようになる」が千砂都の最大の原動力となった。それゆえに千砂都はダンスの実力を磨いてゆき、後述の如く大きな大会に初出場して優勝するまでになる。それを達成するとせっかく受かった結ヶ丘女子高等学校音楽科からあっさり普通科に転科し、かのんや可可、すみれと共に、Liella!4人目のメンバーとしてスクールアイドル活動に専念するようになるのだ。
 神津島で初ステージを踏んだ千砂都は初めてとは思えぬ堂々としたダンスパフォーマンスで他を圧倒し、ステージ裏でその様子を見ていたサニーパッションの度肝を抜くのだ。そう、われらはきっと、いつまでも覚えているだろう、Liella!が4人体制で初めて披露した「常夏☆サンシャイン」における、千砂都のすべてが吹っ切れたような笑顔と自信に満ちたパフォーマンスのハイ・クオリティぶりを。サニパの摩央だったか、「これが4人の力……」と曰うたのは。
 その千砂都のダンスの才能は誰しもが認めるところで──S1#1でかのん母も「あの子、ダンス頑張っているみたいね」と娘にいっている──、大きな大会に初出場して優勝できるだけの実力とパフォーマンスの華があった。
 それを知るがゆえに澁谷かのんはスクールアイドル活動に誘いたくても自重するところがあり(当時千砂都がまだ音楽科に在籍していたことも影響していよう)、可可はかのんの本音と建前のせめぎ合いの解消と体力作りとダンスのコーチをしてくれる千砂都自身のポテンシャルに期待するところあって、Liella!への加入を幾度となく打診した。
 それらいずれもやはり、根本にあるのは嵐千砂都が持つダンスの才能、に他ならない。サニーパッションの2人も、千砂都とかのんに、別々の時にそれとなく千砂都のダンス能力の高さを評価し、(まだ千砂都が加入していない時期の)Liella!に不足しているものがなにかを指摘したことがある。
 最後に、Liella!にける彼女のポジションを確認しておこう。
 既稿にて彼女は、メンバー間の潤滑剤である、と書いた(第3416日目1/2 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第2期放送開始を前にして。〉)。そこに一言註記をするならば、その潤滑剤とはメンバー間のコミュニケーションに関わるものではむしろなく、停滞したグループ活動の前進に寄与する類のそれである。いい換えれば、自分が信じるものに絶対の信頼を寄せる場面で発揮されて、不安がる他メンバーを結束させる〈まとめ役〉の任にあるのが、嵐千砂都という女の子である。
 「わたしは信じてる。澁谷かのんを」とはS1#9で、「Liella! が始まったのは、かのんちゃんがあのとき歌ったから。可可ちゃんの想いに応えたから。──(東京大会の課題である独唱ができるのは)かのんちゃん以外いない」とはS1#11で、Liella!メンバーと澁谷かのんを励まして、背中を押した千砂都の台詞。これらの、またこれら以外の言葉なくしてLiella!が結束し、かのんがトラウマを完全克服して〈ラブライブ!〉東京大会にコマを進められたか、疑問なぐらいの説得力と愛情と気配りに満ちた、嵐千砂都一世一代の名言であった……。
 が、この嵐千砂都一世一代の名言は、第2期でも開始早々に披露される様子なのである。第2期予告PV(ロングヴァージョン)での千砂都の台詞、──

 あんまり根詰めない方が良いよ、次勝てば良いんだし。(にっこり)

──と。時間にして00分27秒から00分31秒まで。
 このなにげなく、さりげない台詞が勇将に固執するかのんの気持ちを、若干成りとも変えるのかもしれないと考えると、うーん、<嫁>ならではの台詞である。
 千砂都はどうやら第2期に於いて幼馴染みとしての重症度の描写は軽減して、更にかのんとは違う形でのLiella! の陰の船頭役を勤めることが、このPVからは期待することができそうだ。
 第2期は彼女たちが進学して2年生となり、新たに1年生を迎える春の描写からスタートする。部活勧誘ではかのんがさっそくアタフタする可愛らしい顔が拝めるけれど(「誰も、来ない……え!? え!? どうして!? どうして!?」)、それはさておき、如何にして新メンバーが加入して千砂都が彼女たちをどうやって導いてゆくのか、ここも見所の1つとなろう。
 そうか、もう放送まであと7日を切っているのか……。早く日曜日にならないかな、と子供のようにその日が来るのを待っているのである。勿論、成長した(はずの)Liella! メンバーに会いたいからでもあり、千砂都の変化というのも見てみたいからである。
 ところで、嵐千砂都役の岬なこ、髪を下ろした姿は狂的なまでに可愛いですね。あれで関西弁でツッコみまくる、っていうのが、またいい。某同人作歌描くLiella!ライヴレポの嵐千砂都/岬なこも、方向性の違う可愛さにあふれている……。◆

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