第3425日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第2期第01話を観ました。〉2/2 [『ラブライブ!スーパースター!!』]
『ラブライブ!スーパースター!!』第2期第1話「ようこそ! Liella! へ!」の感想、その続きです。
推薦入学などは別にして、1月から2月は高校受験シーズンであり、3月は合格発表と2次試験の時期、でありましょうか。学校によっては(みくらの出身校がそうであったように)3月中に入学前のオリエンテーションを実施する高校もありますが、それは考慮に入れないとして。
この3ヶ月(=3学期)の間、Liella!と結ヶ岡女子高等学校はどのような注目を世間から集めたのか。それに伴い、学校側からのアクションはなにかしらあったのか。まずはそれを考えたい。
受験生が最後の追いこみに必死になっている時期、Liella!と結ヶ岡女子高等学校への注目のされ方は、第1話での新入生やLiella!メンバー就中葉月恋の台詞からおおよその輪郭を再現することが出来そうです。即ち、──
葉月恋;普通科が3クラスに増えた分、今年は音楽科の設備を普通科に開放することに決めました
嵐千砂都;新しい部活も増えるんでしょ?
葉月恋;ええ。いままでよりも多様な活動を行ってもらえたら、と。とはいえ、他の高校に較べたらまだまだこれから。部員集めはみんな、苦労しているようです。(13分43秒〜14分03秒)
──或いは、──
桜小路きな子;優勝候補!?
米女メイ;この学校に来てそんなことも知らなかったのか? (Liella!は)今年のラブライブ!は決勝進出間違いなし、っていわれてんだぞ。Liella!は結ヶ岡の期待の象徴、スターなんだよ。(16分13秒〜16分25秒)
──など。
ちょっと横道に逸れますが、──ちなみに米女メイは、入学前にきな子が結ヶ岡女子高等学校の前の歩道で出会った子。スクールアイドルのファンのようで、Liella!のメンバーについてもよく調べている様子です。Liella!が練習する屋上を遠くから見るその姿は、外見に比してすっかり「乙女」で、その属性、どことなく黒澤ルビィを思わせる部分、無きにしも非ずであります。自己紹介コメントに曰く、「スクールアイドル始めるのも最初は気が進まなかった。そういうの向いている方だとは思わなかったし。も、もちろん好きだったよ。輝いているし、ステージ上のスクールアイドルはみんな笑顔で、夢があって、だから私も……って」と。ますますルビィちゃん……。然れどオープニングではとっても愛らしい表情を見せるのですよ、この米女メイ。是非ご確認いただきたく存じます。
では、本題。
3クラスに増えた、ということから、以下2点の作中現実が想像されます。つまり、①新設時の普通科は1〜2クラスであった、②新年度の入学生は110名程度である、ということ。②に関しては1クラス約35名という計算を基にしております。いずれにせよ在校生の数は一気に倍以上になったことは間違いなさそう。
S1にて恋が「来年の入学希望者も増えてきている」旨発言したのは、ラブライブ!東京大会前のことでしたので、その頃から既にLiella!の知名度、必然的に結ヶ岡女子高等学校の知名度も広まっていたのでしょう。受験を控えたJC3のなかには進学希望校のリストに、結ヶ岡女子高等学校を載せる者も相応数あったであろう、と考えられる。
それが東京大会でのLiella!の躍進と賞歴、その後の注目のされ方が後押しになって、結ヶ岡女子高等学校が受験願書の募集を開始するやその数、前年比を遙かに上回り、合格枠の設定と見直しがされて(会場問題については後述)無事、入試も合格発表も終わり、クラス数は昨年よりも増えた、という流れであったろう。
もしかすると願書を提出したJC3のなかには、(ラブライブ!優勝──”LoveLive! overall victory”──の)サニーパッションのインタヴューに触発されて、結ヶ岡女子高等学校の受験を決めた人もあったろう。Liella!が次回ラブライブ!の優勝候補と取り沙汰されるようになった要因の1つに、サニーパッションの発言が影響していることも無視は出来まい。
これに関しては、驕った発言のすみれを制すようにして他ならぬ澁谷かのんの口から、「これは、優勝したサニパさんたちが(インタヴューでLiella!の名前を挙げてくれたから)」と出た台詞からも想像できましょう。
このあたりの会話を、再現してみます。03分16秒〜03分51秒の、屋上でのシーンです。可可の中国語の台詞部分は省いて、曰く、──
可可;フォロワーが倍になりました〜。
かのん;ええっ!?
可可;一部のサイトでは、Liella!は次回の優勝候補とも──
すみれ;ま、当然よね。
かのん;違うよ。これは、優勝したサニパさんたちが──
(神津島でのサニパ、優勝インタヴュー)
聖澤悠奈;始めに、この大会に参加したすべてのスクールアイドル、そして、応援してくださったすべての方々に敬意を表したいと思います。
柊摩央;いちばん強かった相手? みんな、素敵なグループでした。
悠奈;でも、私たちがいちばん心踊ったグループは……
(サニパ2人、目を合わせて)
悠奈&摩央;Liella!です!
(結ヶ岡女子高等学校、屋上)
可可;ありたがき(ありがたき)幸せ〜!!
──と。
こうした連関が作用して、結ヶ岡女子高等学校は新たに1年生を100人以上迎え入れることが出来、おそらく来年度の存続は約束されたも同然、と申せましょう。斯様にLiella!と結ヶ岡女子高等学校は早くも一心同体、良くも悪くも運命共同体となったのであります。シリーズ構成が途端に破綻して、或いはとち狂って、沈没必至の泥船とならぬことを祈ります。
上記に連動して、後輩を迎え入れたかのんたちの喜びぶりが第1話でもっとも鼻の下を伸ばした場面となりました。喜びと喜びと、……という語彙不足に過ぎる発言はともかくとして。
後輩を迎える、とはどれだけ喜ばしいものであったか。残念ながらわたくしは高校時代のそうした感情を殆ど忘れている者だけれど、此度第1話での、きな子を前にしたLiella!の弾むような喜びはあったかな、と疑問です。
それはさておき。
かのんたち5人が入学前のきな子と会ったときの、あの喜び様、そのはしゃぎ方ときたら! 単に、進級して自分たちの下ができた、という単純なものではない。感慨一入というに相応しい反応でした。
結成のきっかけなどは別として──学校がなくなるかもしれない、そんな危機感を背景にLiella!は結束を深め、パフォーマンスの向上をひたすら自分たちに課して、活動してきたのでした。その結果の東京大会2位である。──廃校という『ラブライブ!』シリーズのお約束(テンプレ)が放送中葉で突然、突きつけられたことで視聴者間では侃々諤々、一部で紛糾しもしたけれど、Liella!の物語は(同様に廃校阻止に成功した)μ’sの物語以上に胸アツな展開になりました。終わりよければ……の類ではありますが、これが必然的に入学希望者/受験者/新入生の増加につながったことは祝って良いことでしょう(千砂都;新入生にファンがいっぱい……。恋;びっくりです……。11分57秒〜12分01秒)。
そう、Liella!は優勝こそ逃しはしたものの、その圧倒的な歌唱とダンスで人々の心を捕らえてファン層を拡大し、かつ前述のサニパの発言も後押しになって、新入生が増えた=かのんたちにしてみれば、実現が危ぶまれていた後輩の誕生が現実になった。
常識と良識と人望を備えたかのんと恋が制御役になったであろうこともあり、驕り高ぶり唯我独尊に走ることことこそなかったけれど、後輩の誕生は結ヶ岡女子高等学校の存続が決定したからであり、その存続にLiella!のラブライブ!大会での活躍が一役買っていたことに異論を呈す者は、メンバー内にも在校生にもまさかあるまい。況んや視聴者をや。
「廃校阻止」という、或る意味これ以上ないドラマティックな物語を経て実現された後輩の誕生……一時は不安視もされていたそれが、いまや現実のものとなった。Liella!メンバーにしてみれば、たぶん他の在校生以上に喜ばしい出来事だったのでは?
そうしてその後輩たちの数は、思うたよりも多かった、と考えられます。それを端的に裏附けるのが、上にも引いた恋の、「今年は普通科が3クラスに増えるので、音楽科の施設も開放しようと思っています」てふ台詞といえるでしょう。
そんな学校存続/後輩誕生を喜ぶLiella!メンバーが、入学前にふらふら校内に入りこみ(Liella!の練習の掛け声に導かれてのことですよ)屋上までやって来たきな子を前にした場面。その台詞がこちら、06分32秒〜07分28秒のシーンです。曰く、──
きな子;(扉が開いて倒れる)はにゃ!
5人;(物音と声に気附いて)ん?
きな子;……は……しまった……。
(千砂都以外の4人、振り返る。千砂都は扉と正対する位置に立っていた)
かのん;あなたは……。
きな子;えっと……。
かのん;もしかして、新入生!?
きな子;あっ、えっ、えーっと……(目をかのんから逸らし、片手をあげて)はい……。
5人;うわーっ!!
(可可、かのん、すみれ、千砂都、恋、きな子に詰め寄る)
可可;後輩? 後輩デスよね? 可愛いデッス〜。
(壁に背中を付けて怯えるきな子。中国語できな子に迫る可可。割って入るすみれ)
すみれ;待ちなさいよ。なに先に話しかけているのよ!?
恋;まずは、生徒会長のわたくしが──
千砂都;もしかして、スクールアイドル部に入部希望?
きな子;え……スクールアイドル?
千砂都;だって、新入生でしょ? スクールアイドル部はれっきとした部活だよ?
かのん;(千砂都からきな子に目を移して)この子が……。
きな子;え!?
恋;(目を拭いながら)ありがとうございます……。
千砂都;ずっとこの日を待ってたよ……。
可可;一緒に光を追い求めましょう。
きな子;ええっ!?
すみれ;素直じゃない子ねぇ。
かのん;(目に涙を溜めて)ようこそ、Liella! へ!
きな子;違う。違うっすよ〜!!
──と。
そうしてもう1つ、きな子と、彼女を家まで送ることになったかのんのやり取りです。もうこの場面、かのんちゃんが悶絶するカットがもうたまらなく可愛くて、スクショしたい欲望に駆られましたよ。08分19秒〜09分19秒のシーンです。曰く、──
(桜舞う校舎前にて)
かのん;あ、名前、きな子ちゃん、っていうんだ。
きな子;はい。桜小路きな子と申します。都会に憧れてやって来ました。
かのん;私、かのん。澁谷かのんっていいます。
きな子;(急に真面目な顔つきになり)よろしくお願いします! かのん先輩!!
かのん;──えっ!? ……かのん……せん……ぱい……!?
きな子;はい、先輩!
かのん;(身悶えしながら)そっか〜、私、先輩か〜。
きな子;はい!
かのん;そっか〜、え〜? 先輩〜? え〜? 私が〜? フハッ!
きな子;はい!!
かのん;え〜?
きな子;はい、先輩です!
かのん;え〜? (かのん、きな子の前に戻ってきて)あの〜、もう1回……。
きな子;え?
かのん;もう1回、呼んでくれる? (期待に満ちた眼差しできな子を見る)
きな子;──かのん先輩!!
かのん;くあ〜! なんかムズ痒いけど、いいよね〜、その響き! さあ、行こう! 先輩の家も案内しちゃうぞ〜! レッツ・ゴー! アハハ!
(得意満面に歩いてゆくかのんの後ろ姿を茫然と見送りながら、)
きな子;変わった人っすね……。
──と。
「変わった人」、確かにそうかもしれない。が、きな子よ、いま君の目の前にいる人物がシリーズ屈指の<たらし>であり、やがてその軍門に降る未来しか君には待っていないのだ。とはいえ、きな子もなかなかの持ちあげ上手でありますな。ちょっと羨望してしまうことであります。
そうして改めて、澁谷かのん役に伊達さゆりがキャスティングされたことの〈幸い〉を喜ばずにはいられないのです。彼女なくして澁谷かのんに魂がこもることはゆめ無かったはずでありましょうから。
さて、では最後にもう一丁、「先輩」かのんのドヤ顔を一瞬ながら愉しめる場面を。自宅喫茶店のいつもの席、妹ありあとの会話です。09分30秒から
ありあ;(姉に)新入生の方?
かのん;(ありあを見て)私、「せん・ぱい」だから。(ドヤ)
ありあ;うえ……。(顔を刹那しかめて立ち去る)
──と。
いいなぁ、こんな姉妹のやり取りが交わされるなんて、第1期開始当初は想像も出来なかったものなぁ。
──Liella!が後輩を初めて前にしたときの各人の反応、「先輩」呼びされたかのんの1年前と同じ人物かと目を疑いたくなる態度を並べてみました。
やっぱり同じ「先輩」呼びされるのでも、中学や会社とでは全然その喜びの度合いや濃度っていうのは違うものだったのかな。高校のときって。加えて女子と男子とではその喜びの性質も異なるんだろう。
先輩、といえば、きな子が部室で、道に迷った旨白状して実は東京にまるで馴れていないことが彼女の言動から発覚したときのLiella!メンバー、殊すみれと可可の表情の変化にわたくしは思わず目を引かれました。すみれの場合のそれは、彼女の内的成長を見た気がしました。
可可の場合のそれは、同じように一人で東京にやって来たきな子への親近感、だったでしょうか。可可は帰国問題が第1期の終盤で発覚しました。結局それは、ラブライブ!東京大会での活躍を上海の家族から認められて猶予が付いたようですが、依然異国の地に彼女が一人住まいしていて、そばに肉親がいない環境であることに変わりはない。そんな自らの境遇ときな子の境遇が重なって見えたがゆえの、慈しむ様な笑顔であったのかもしれません。
新たに後輩を迎えた喜びは各人それぞれで、でもそれは決して単に進級したからというのみでなく、学校を存続させることが出来たがゆえのものであったこと。そうしてLiella!がそれに一役買った形になり、新入生の中には米女メイや名前を与えられていないJK1が多くいたのだ、ということは、繰り返しここで触れておいて良いことでありましょう。
あ、OP「WE WILL!!」と挿入歌「Welcome to 僕らのセカイ」のこと、書くのを忘れてしまいました。こちらは別の機会にしましょう。
──以上、第2期Blu-ray全巻予約をどこでするか、真摯に検討中のみくらさんさんかでした。◆
推薦入学などは別にして、1月から2月は高校受験シーズンであり、3月は合格発表と2次試験の時期、でありましょうか。学校によっては(みくらの出身校がそうであったように)3月中に入学前のオリエンテーションを実施する高校もありますが、それは考慮に入れないとして。
この3ヶ月(=3学期)の間、Liella!と結ヶ岡女子高等学校はどのような注目を世間から集めたのか。それに伴い、学校側からのアクションはなにかしらあったのか。まずはそれを考えたい。
受験生が最後の追いこみに必死になっている時期、Liella!と結ヶ岡女子高等学校への注目のされ方は、第1話での新入生やLiella!メンバー就中葉月恋の台詞からおおよその輪郭を再現することが出来そうです。即ち、──
葉月恋;普通科が3クラスに増えた分、今年は音楽科の設備を普通科に開放することに決めました
嵐千砂都;新しい部活も増えるんでしょ?
葉月恋;ええ。いままでよりも多様な活動を行ってもらえたら、と。とはいえ、他の高校に較べたらまだまだこれから。部員集めはみんな、苦労しているようです。(13分43秒〜14分03秒)
──或いは、──
桜小路きな子;優勝候補!?
米女メイ;この学校に来てそんなことも知らなかったのか? (Liella!は)今年のラブライブ!は決勝進出間違いなし、っていわれてんだぞ。Liella!は結ヶ岡の期待の象徴、スターなんだよ。(16分13秒〜16分25秒)
──など。
ちょっと横道に逸れますが、──ちなみに米女メイは、入学前にきな子が結ヶ岡女子高等学校の前の歩道で出会った子。スクールアイドルのファンのようで、Liella!のメンバーについてもよく調べている様子です。Liella!が練習する屋上を遠くから見るその姿は、外見に比してすっかり「乙女」で、その属性、どことなく黒澤ルビィを思わせる部分、無きにしも非ずであります。自己紹介コメントに曰く、「スクールアイドル始めるのも最初は気が進まなかった。そういうの向いている方だとは思わなかったし。も、もちろん好きだったよ。輝いているし、ステージ上のスクールアイドルはみんな笑顔で、夢があって、だから私も……って」と。ますますルビィちゃん……。然れどオープニングではとっても愛らしい表情を見せるのですよ、この米女メイ。是非ご確認いただきたく存じます。
では、本題。
3クラスに増えた、ということから、以下2点の作中現実が想像されます。つまり、①新設時の普通科は1〜2クラスであった、②新年度の入学生は110名程度である、ということ。②に関しては1クラス約35名という計算を基にしております。いずれにせよ在校生の数は一気に倍以上になったことは間違いなさそう。
S1にて恋が「来年の入学希望者も増えてきている」旨発言したのは、ラブライブ!東京大会前のことでしたので、その頃から既にLiella!の知名度、必然的に結ヶ岡女子高等学校の知名度も広まっていたのでしょう。受験を控えたJC3のなかには進学希望校のリストに、結ヶ岡女子高等学校を載せる者も相応数あったであろう、と考えられる。
それが東京大会でのLiella!の躍進と賞歴、その後の注目のされ方が後押しになって、結ヶ岡女子高等学校が受験願書の募集を開始するやその数、前年比を遙かに上回り、合格枠の設定と見直しがされて(会場問題については後述)無事、入試も合格発表も終わり、クラス数は昨年よりも増えた、という流れであったろう。
もしかすると願書を提出したJC3のなかには、(ラブライブ!優勝──”LoveLive! overall victory”──の)サニーパッションのインタヴューに触発されて、結ヶ岡女子高等学校の受験を決めた人もあったろう。Liella!が次回ラブライブ!の優勝候補と取り沙汰されるようになった要因の1つに、サニーパッションの発言が影響していることも無視は出来まい。
これに関しては、驕った発言のすみれを制すようにして他ならぬ澁谷かのんの口から、「これは、優勝したサニパさんたちが(インタヴューでLiella!の名前を挙げてくれたから)」と出た台詞からも想像できましょう。
このあたりの会話を、再現してみます。03分16秒〜03分51秒の、屋上でのシーンです。可可の中国語の台詞部分は省いて、曰く、──
可可;フォロワーが倍になりました〜。
かのん;ええっ!?
可可;一部のサイトでは、Liella!は次回の優勝候補とも──
すみれ;ま、当然よね。
かのん;違うよ。これは、優勝したサニパさんたちが──
(神津島でのサニパ、優勝インタヴュー)
聖澤悠奈;始めに、この大会に参加したすべてのスクールアイドル、そして、応援してくださったすべての方々に敬意を表したいと思います。
柊摩央;いちばん強かった相手? みんな、素敵なグループでした。
悠奈;でも、私たちがいちばん心踊ったグループは……
(サニパ2人、目を合わせて)
悠奈&摩央;Liella!です!
(結ヶ岡女子高等学校、屋上)
可可;ありたがき(ありがたき)幸せ〜!!
──と。
こうした連関が作用して、結ヶ岡女子高等学校は新たに1年生を100人以上迎え入れることが出来、おそらく来年度の存続は約束されたも同然、と申せましょう。斯様にLiella!と結ヶ岡女子高等学校は早くも一心同体、良くも悪くも運命共同体となったのであります。シリーズ構成が途端に破綻して、或いはとち狂って、沈没必至の泥船とならぬことを祈ります。
上記に連動して、後輩を迎え入れたかのんたちの喜びぶりが第1話でもっとも鼻の下を伸ばした場面となりました。喜びと喜びと、……という語彙不足に過ぎる発言はともかくとして。
後輩を迎える、とはどれだけ喜ばしいものであったか。残念ながらわたくしは高校時代のそうした感情を殆ど忘れている者だけれど、此度第1話での、きな子を前にしたLiella!の弾むような喜びはあったかな、と疑問です。
それはさておき。
かのんたち5人が入学前のきな子と会ったときの、あの喜び様、そのはしゃぎ方ときたら! 単に、進級して自分たちの下ができた、という単純なものではない。感慨一入というに相応しい反応でした。
結成のきっかけなどは別として──学校がなくなるかもしれない、そんな危機感を背景にLiella!は結束を深め、パフォーマンスの向上をひたすら自分たちに課して、活動してきたのでした。その結果の東京大会2位である。──廃校という『ラブライブ!』シリーズのお約束(テンプレ)が放送中葉で突然、突きつけられたことで視聴者間では侃々諤々、一部で紛糾しもしたけれど、Liella!の物語は(同様に廃校阻止に成功した)μ’sの物語以上に胸アツな展開になりました。終わりよければ……の類ではありますが、これが必然的に入学希望者/受験者/新入生の増加につながったことは祝って良いことでしょう(千砂都;新入生にファンがいっぱい……。恋;びっくりです……。11分57秒〜12分01秒)。
そう、Liella!は優勝こそ逃しはしたものの、その圧倒的な歌唱とダンスで人々の心を捕らえてファン層を拡大し、かつ前述のサニパの発言も後押しになって、新入生が増えた=かのんたちにしてみれば、実現が危ぶまれていた後輩の誕生が現実になった。
常識と良識と人望を備えたかのんと恋が制御役になったであろうこともあり、驕り高ぶり唯我独尊に走ることことこそなかったけれど、後輩の誕生は結ヶ岡女子高等学校の存続が決定したからであり、その存続にLiella!のラブライブ!大会での活躍が一役買っていたことに異論を呈す者は、メンバー内にも在校生にもまさかあるまい。況んや視聴者をや。
「廃校阻止」という、或る意味これ以上ないドラマティックな物語を経て実現された後輩の誕生……一時は不安視もされていたそれが、いまや現実のものとなった。Liella!メンバーにしてみれば、たぶん他の在校生以上に喜ばしい出来事だったのでは?
そうしてその後輩たちの数は、思うたよりも多かった、と考えられます。それを端的に裏附けるのが、上にも引いた恋の、「今年は普通科が3クラスに増えるので、音楽科の施設も開放しようと思っています」てふ台詞といえるでしょう。
そんな学校存続/後輩誕生を喜ぶLiella!メンバーが、入学前にふらふら校内に入りこみ(Liella!の練習の掛け声に導かれてのことですよ)屋上までやって来たきな子を前にした場面。その台詞がこちら、06分32秒〜07分28秒のシーンです。曰く、──
きな子;(扉が開いて倒れる)はにゃ!
5人;(物音と声に気附いて)ん?
きな子;……は……しまった……。
(千砂都以外の4人、振り返る。千砂都は扉と正対する位置に立っていた)
かのん;あなたは……。
きな子;えっと……。
かのん;もしかして、新入生!?
きな子;あっ、えっ、えーっと……(目をかのんから逸らし、片手をあげて)はい……。
5人;うわーっ!!
(可可、かのん、すみれ、千砂都、恋、きな子に詰め寄る)
可可;後輩? 後輩デスよね? 可愛いデッス〜。
(壁に背中を付けて怯えるきな子。中国語できな子に迫る可可。割って入るすみれ)
すみれ;待ちなさいよ。なに先に話しかけているのよ!?
恋;まずは、生徒会長のわたくしが──
千砂都;もしかして、スクールアイドル部に入部希望?
きな子;え……スクールアイドル?
千砂都;だって、新入生でしょ? スクールアイドル部はれっきとした部活だよ?
かのん;(千砂都からきな子に目を移して)この子が……。
きな子;え!?
恋;(目を拭いながら)ありがとうございます……。
千砂都;ずっとこの日を待ってたよ……。
可可;一緒に光を追い求めましょう。
きな子;ええっ!?
すみれ;素直じゃない子ねぇ。
かのん;(目に涙を溜めて)ようこそ、Liella! へ!
きな子;違う。違うっすよ〜!!
──と。
そうしてもう1つ、きな子と、彼女を家まで送ることになったかのんのやり取りです。もうこの場面、かのんちゃんが悶絶するカットがもうたまらなく可愛くて、スクショしたい欲望に駆られましたよ。08分19秒〜09分19秒のシーンです。曰く、──
(桜舞う校舎前にて)
かのん;あ、名前、きな子ちゃん、っていうんだ。
きな子;はい。桜小路きな子と申します。都会に憧れてやって来ました。
かのん;私、かのん。澁谷かのんっていいます。
きな子;(急に真面目な顔つきになり)よろしくお願いします! かのん先輩!!
かのん;──えっ!? ……かのん……せん……ぱい……!?
きな子;はい、先輩!
かのん;(身悶えしながら)そっか〜、私、先輩か〜。
きな子;はい!
かのん;そっか〜、え〜? 先輩〜? え〜? 私が〜? フハッ!
きな子;はい!!
かのん;え〜?
きな子;はい、先輩です!
かのん;え〜? (かのん、きな子の前に戻ってきて)あの〜、もう1回……。
きな子;え?
かのん;もう1回、呼んでくれる? (期待に満ちた眼差しできな子を見る)
きな子;──かのん先輩!!
かのん;くあ〜! なんかムズ痒いけど、いいよね〜、その響き! さあ、行こう! 先輩の家も案内しちゃうぞ〜! レッツ・ゴー! アハハ!
(得意満面に歩いてゆくかのんの後ろ姿を茫然と見送りながら、)
きな子;変わった人っすね……。
──と。
「変わった人」、確かにそうかもしれない。が、きな子よ、いま君の目の前にいる人物がシリーズ屈指の<たらし>であり、やがてその軍門に降る未来しか君には待っていないのだ。とはいえ、きな子もなかなかの持ちあげ上手でありますな。ちょっと羨望してしまうことであります。
そうして改めて、澁谷かのん役に伊達さゆりがキャスティングされたことの〈幸い〉を喜ばずにはいられないのです。彼女なくして澁谷かのんに魂がこもることはゆめ無かったはずでありましょうから。
さて、では最後にもう一丁、「先輩」かのんのドヤ顔を一瞬ながら愉しめる場面を。自宅喫茶店のいつもの席、妹ありあとの会話です。09分30秒から
ありあ;(姉に)新入生の方?
かのん;(ありあを見て)私、「せん・ぱい」だから。(ドヤ)
ありあ;うえ……。(顔を刹那しかめて立ち去る)
──と。
いいなぁ、こんな姉妹のやり取りが交わされるなんて、第1期開始当初は想像も出来なかったものなぁ。
──Liella!が後輩を初めて前にしたときの各人の反応、「先輩」呼びされたかのんの1年前と同じ人物かと目を疑いたくなる態度を並べてみました。
やっぱり同じ「先輩」呼びされるのでも、中学や会社とでは全然その喜びの度合いや濃度っていうのは違うものだったのかな。高校のときって。加えて女子と男子とではその喜びの性質も異なるんだろう。
先輩、といえば、きな子が部室で、道に迷った旨白状して実は東京にまるで馴れていないことが彼女の言動から発覚したときのLiella!メンバー、殊すみれと可可の表情の変化にわたくしは思わず目を引かれました。すみれの場合のそれは、彼女の内的成長を見た気がしました。
可可の場合のそれは、同じように一人で東京にやって来たきな子への親近感、だったでしょうか。可可は帰国問題が第1期の終盤で発覚しました。結局それは、ラブライブ!東京大会での活躍を上海の家族から認められて猶予が付いたようですが、依然異国の地に彼女が一人住まいしていて、そばに肉親がいない環境であることに変わりはない。そんな自らの境遇ときな子の境遇が重なって見えたがゆえの、慈しむ様な笑顔であったのかもしれません。
新たに後輩を迎えた喜びは各人それぞれで、でもそれは決して単に進級したからというのみでなく、学校を存続させることが出来たがゆえのものであったこと。そうしてLiella!がそれに一役買った形になり、新入生の中には米女メイや名前を与えられていないJK1が多くいたのだ、ということは、繰り返しここで触れておいて良いことでありましょう。
あ、OP「WE WILL!!」と挿入歌「Welcome to 僕らのセカイ」のこと、書くのを忘れてしまいました。こちらは別の機会にしましょう。
──以上、第2期Blu-ray全巻予約をどこでするか、真摯に検討中のみくらさんさんかでした。◆