第3432日目2/3 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第2期第02話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 「杞憂」という言葉がある。古代中国にあった「杞」の国の人が、もし天が落ちてきたらどうしようと憂えたのに由来する語で、「取り越し苦労」の意味。
 然様、取り越し苦労であったようだ。『ラブライブ!スーパースター!!』第2期を最新の第2話「2年生と1年生」まで視聴した限りでは、「杞憂であった」と率直に申しあげられる。スタート前に様々懸念と会議の言葉を並べたが、それが裏切られたことに嬉しい思いを抱いている。
 が、問題はこれからだ。全12話の脚本がすべてアフレコ稿として仕上がっているわけではあるまい。中盤までは暫定稿が出来上がっていたとしても、肝心の〆はまだ、良くても粗稿の状態であろう。
 第1期第06話で──アフレコ・スケジュールへ間に合わせるための突貫作業であったのか──それまでの「良い雰囲気」で進んできた『ラブライブ!スーパースター!!』は途端、失速・難破座礁の黄ランプが点った。その悪夢はまだまだ拭い切れていない。
 第2期の物語は未だ出帆して間もなく、まだ海洋にさえ出ていない状態だ。われら視聴者(と書いて「ラブライバー」と読む)は徒にその展開に一喜一憂するのみならず、各エピソードの、シリーズ全体を俯瞰しての、クオリティと整合性と発展性を監督して事の推移を見守ってゆこう。



 本話にて桜小路きな子の体力ゼロ、運動神経に難あり、な描写があって、刹那既視感に襲われた方、あったのではないでしょうか。そうです、1年前──第1期での唐可可の体力ゼロ、運動神経絶望的な描写が、きな子のそれと重なり合う部分、多々あったのであります。
 しかし、そんな可可も、代々木アイドル・フェスティヴァルでかのんと初ステージ(もはや伝説の、クーカー!)を踏む頃には基礎体力もつき、ストレッチやジョギングも人並みには出来るようになっていた。千砂都のスパルタ・トレーニングとかのんのトレーニング・ハイに巧く乗せられた部分もあったでしょうが、短期間であれだけのダンスや発声力を身につけられたのは立派。可可のスクールアイドル愛とかのんへの崇敬にも似た感情が背中を押し続けた、賜物ともいえるでしょう。
 そんな可可と重なる部分あるきな子が、今後どのように化けてゆくか。非常に楽しみなところでありますが、では一体きな子はどのようにして己の体力不足を解消してゆくことになるか。──きな子向け特別レッスン・メニューが千砂都主導で組まれるかと思いきや、自分の体力不足を悲観するきな子に手を差し伸べたのは意外にも可可自身なのでした。
 われらはここで思い浮かべねばなるまいか;S1#04ですみれを勧誘する際、千砂都がかのんにどう口添えしたか、を。つまり、ショービジネスに於ける挫折を経験したすみれの痛みや悲しみや口惜しさを理解してあげられるのは、同じように挫折を経験したかのんしかいない、と、そういって幼馴染みを送り出したのでした。
 それと同じことが、此度のきな子と可可にもいえるように思います。
 体力ゼロ・運動神経も良くないきな子に、その面で何事かを助言できるとしたら、それは可可を措いて他にありませんでした。結ヶ岡女子高等学校に於けるスクールアイドル設立の言い出しっぺでありながら、自分自身はダンスのステップはおろか持久力も筋力も人並み以下な可可。が、可可は千砂都のトレーニング・メニューを着実にこなして、その成果を代々木アイドル・フェスティヴァルの初ステージで見事に披露しました。そうしてそれがモティベーションとなって、その後のステージでの堂々たるパフォーマンスにつながったのであります。
 そんな風にゼロからの成長を経験した可可だからこそ、きな子の落胆と焦慮に寄り添うことが出来たのでありましょう。そうしてそこには、初めて後輩を迎えた先輩としての優しさやあたたかさ、世話好き、わずかとはいえあっただろう優越感など感じられるのです。
 練習終わり、帰り際のきな子を呼び止めてでしょう、可可はきな子に1枚の紙を手渡します。それは、可可の台詞を借りれば、秘密の(練習)メニューを記したA4サイズ(たぶん)の紙でした。このときの2人、可可ときな子の会話です(04:59-05:21のシーン)。曰く、──
 可可;どうぞ。(上述の紙を手渡す)
 きな子;(手にして)強化メニュー?
 可可;可可が体力ゼロだったときの、秘密のメニューです。きなきなにあげます。
 きな子;──午前5時起床、柔軟の後ランニング3キロ……。すごく事細かに! ありがとうっす!!
 (2人のやり取りを部室から見ているかのん、恋、千砂都)
 かのん;でもムリしなくていいよ。あくまで自分のペースで!
 きな子;はいっ!
──と。
 練習メニューの内訳が知りたくなりますが、それは画面から読み取れる限りでは、以下のようになります。即ち、──
 ☆可可の☆/秘密の練習メニュ〜!!
 朝5時起床 まずは柔軟!
 ・ランニング 3㎞!
 ・基礎体力強化!
   腕立て伏せ   背筋
   腹筋      スクワット
 ・体幹トレーニング
   キープできる時間をのばせるように頑張ろう!
 ・発声練習
   ロングブレス・表情筋・滑舌それぞれ大切に!
 ・ストレッチ
   運動後のストレッチを忘れずに〜
     上半身
     下半身
     手首足首 しっかりと!
 体力づくりを/しっかり頑張ろう〜!!
──以上。イラストと中国語表記のパンダの台詞は省いた。その可愛らしいイラスト、可可の直筆は05分06秒のシーンで確認可能。
 実際にジムでパーソナル・トレーニング及びフリーで筋トレ等行っている身にいわせれば、この可可のメニューはそのまま、ジムに入会した運動初心者もしくは久々に身体を動かす人々向けのメニューになる。というか、これを毎日器械的に実行していれば早晩、体幹は鍛えられ、一定時間の体力保持は可能となろう。
 一点だけ難あるとすれば、漠然としか書かれていない体幹トレーニングだけれど、これを実際にやる場合にはきちんとしたジムで、トレーナー/インストラクターについてもらってトレーニングするのがお奨め。筋トレの本あまた市場に溢れると雖も本を頼りにトレーニングするのは自己本位かつ却って身体に悪い結果をもたらすだけの場合もあるので、止めた方が無難であろう。動画については本以上にピンキリであり、またわたくし自身が手本と思うに足る体幹トレーニングの動画と未だ出合えていないこともあり、ここでは私見を述べるのを控えます。
 とまれ、可可が差し出した練習メニューはきな子にとって最良の福音となっただろうこと、想像に難くありません。
 斯様に体力面や、単身来日/上京して一人暮らししているなど境遇の面でも似通ったところある2人ですが、既に画面に現れた部分で決定的な違いがあるとすれば、自室が整理されているか(荷物が片附けられているか)否か、でありましょう。
 来日/上京からどれぐらい日数が経過した後、2人の部屋が最初に描写されたのか──。これは検証を要すかもしれませんが、しかしS1#03時点で劇中時間は、入学から1ヶ月以上は経過しているものと考えてよいでしょう。それでも可可の部屋はダンボール箱が山積みであることを考えると……うん、ずっと勉強最優先だったから、こうした日常処理スキルが足りていないだけなんだよね。だからダンボール箱が減った様子がないんだ。或いは中国の家族からどんどん荷物が送られてきていて、片附けても片附けても追いつかないだけなのかもしれない──とは相当に好意的な見方であることは承知している。
 翻ってきな子は、元々荷物の少ない子だったのでしょうね、S2#01にて既に部屋は片附けられていて、生活環境はきちんと整えられていましたから。もしかするときな子は上京したばかりの頃(=荷物が北海道から届いたと思しいタイミング)は外へ出るのを恐れて、居住エリアの勝手がわかるまで遠出は避けて、引越荷物の整理に勤しむことを最優先していたのかもしれませんね。第1話冒頭で街を彷徨い歩くきな子の姿を思い出して、そんな風に考えたりしてしまうのであります。

・初めてLiella!新メンバーが発表された際、わたくしのなかで米女メイは鬼塚夏美と並んで第一印象の良くない、為に期待も低い人物でありました。が、やはり喋り、動くところを見ないと駄目ですね。メイはとっても愛らしい人物と、いまのわたくしの目には映っております。夏美は……まだ判断保留、というか、判断材料が殆どない状況です。但し彼女に関しては後日、ちょっと話題にしたいことがあるので、後日の別稿で述べるつもりでおります。
 その米女メイ、実は誰よりもスクールアイドルに憧れているフシがある(というか、ほぼ確定)。本話でその片鱗が明らかになりました。
 メイにはなにかしらの秘めた想い、抑えこんだ夢がある。だから、クラスメイトに誤解されて挫折しかけているきな子に、夕暮れの学校中庭の池端ベンチで「周囲を気にすることなく、自分がやりたいと思った夢(の実現)に突き進め」と諭したのでしょう(17:45-18:20)。正直なところ・初めてLiella!新メンバーが発表された際、わたくしのなかで米女メイは鬼塚夏美と並んで第一印象の良くない、為に期待も低い人物でありました。が、やはり喋り、動くところを見ないと駄目ですね。メイはとっても愛らしい人物と、いまのわたくしの目には映っております。夏美は……まだ判断保留、というか、判断材料が殆どない状況です。但し彼女に関しては後日、ちょっと話題にしたいことがあるので、後日の別稿で述べるつもりでおります。
 その米女メイ、実は誰よりもスクールアイドルに憧れているフシがある(というか、ほぼ確定)。本話でその片鱗が明らかになりました。
 メイにはなにかしらの秘めた想い、抑えこんだ夢がある。だから、クラスメイトに誤解されて挫折しかけているきな子に、夕暮れの学校中庭の池端ベンチで「周囲を気にすることなく、自分がやりたいと思った夢(の実現)に突き進め」と諭したのでしょう(17:45-18:20)。そのときの2人の会話を再現すると、こうなります。屋上の練習を見学に来たのか、きな子を呼び出しに来たのか、たぶん目的は両方であったろうけれど、曰く、──
 メイ;桜小路はさ、やってみたいと思ったんだろ。
 きな子;え!?
 メイ;だから入ったんだろ? 優勝目指してて、練習も厳しいって、知ってて入ったんだろ?
 きな子;それは……そうすっけど……。
 メイ;だったら、そのまま突き進んでくれよ。
 きな子;え?
 メイ;自分がやりたい、目指したい、って思ったことを信じてみろよ。周りの声なんて──気にするな。
 きな子;……んっ!
──と。
 正直なところ、メイのこの台詞にはグサッ、と来ました。突き進むことなく諦めた夢、突き進んで挫折や放棄した夢なんて、この年齢まで生きてくれば掃いて捨てる程ありますからね。これ、実はS1#01で可可がかのんにいい放った台詞(「好きなことをがんばることに、終わりなんてあるんですか!?」)と同じぐらいの生々しさと瑞々しさ、古傷抉られたような苦さがありますよ……。
 ──メイの台詞に後押しされて、きな子は一念発起した。このままじゃ駄目だ、と。SMAP「Take Off」の歌詞の一節でもありますが、わたくしは心の底からきな子にこの歌をささげたい。「このままじゃダメだ I gotta keep my head up baby / 今からでも遅くない 新しい自分探しに行こう / 過去の弱さに SAY GOOD BYE!!」 ……。
 きな子の一念発起は、裏を返せば、夢や憧れを実現するために前進することは茨の道と隣り合わせであることを覚悟したことでもある。最終的にこれが、新入生獲得のために練習メニューを削ったり、楽な内容にしていた──それゆえ1期生たちは内心もやもやを抱えていた──かのんたちを前に、これまでの練習メニューで先輩たちと一緒に夢に向かって突き進みたい、ときな子にいわせたのです(19:19-21:40)。
 メイが現時点で他人に知られないようにしているLiella!への憧憬の念がどのような形で先輩たちの知るところとなり、如何なる経緯、如何なる葛藤を経てLiella!加入へ至るのか。第4話から第7話までのどこかで”ある”と想定されるメイ加入回に、いまから期待です。一緒に四季も加入するのでしょうね。花陽と凛、真姫たち1年生トリオが加入する回へのオマージュみたいなエピソードになるのかなぁ。
 と、まぁ、殊程斯様にきな子にスクールアイドルとして活動してゆく、Liella!のメンバーとしてラブライブ!優勝を目指してゆく覚悟を固めさせたのは、かのんたち1期生に「目の前のことに気を取られ過ぎていました」(可可)といわしめたのは、直接的間接的にメイのお手柄というてよい。逆を返せばメイが如何にスクールアイドルを愛し、また夢を実現することの大変さと苦しみを思い知っていたかを、一端なりとも表した台詞に感じられました。
 メイは過去にスクールアイドル絡みでなにかしらの挫折や失敗、恥ずかしい想いを経験したのかもしれません。その容姿と言動ゆえにでしょうか、誤解されること多々あったことでしょう。それを垣間見させるやり取りが10:17-10:19、きな子がメイをスクールアイドルに誘った場面でクラスメイトたちが囁き交わしたシーンにありました。曰く、──
 クラスメイトA;え!? 米女さんが──!?
 クラスメイトB;スクールアイドル!?
 クラスメイトC;好きだったんだぁ……(うっとり)
──と。クラスメイトの姓名は不明、為、表記はNHK Eテレの字幕に従った。
 この前後のメイの表情が誠、観ていてまるで飽きないのですが、それはともかく。
 クラスからきな子を外へ連れ出してメイが、去り際にいった台詞と上のクラスメイトたちの台詞を重ねあわせると、メイの複雑な内心を想像することができませんか。曰く、──
 メイ;あと、みんなでいるときにスクールアイドルの話を私にしてくるな。私はスクールアイドルなんか興味はねーんだ。
──と。10:54-11:02のシーンです。
 この短いやり取りだけから察せられるのは、Liella!情報をきな子にレクチャーする程スクールアイドルに詳しいにもかかわらず、スクールアイドル好きを匂わせることなく過ごしてきたからこそ、きな子に誘われたメイを見て意外に思えども、やっぱり、と首肯できるクラスメイトたちが多かったのかもしれません。所詮、嗜好を完全に封印して外に出さないようにするなんてのは、不可能なのですから(実体験)。
 ──なかば友情なかば策謀できな子を説き伏せ、メイを勧誘するようお願いした(お膳立てした)四季については、メイ(とおそらく四季も一緒の)加入回で触れたく思います。

 ところで、──
 最後に現れて、かのんの名を口にした少女は誰ぞ? EDテロップには、「謎の少女」とあった。
 彼女は今後、どのようにストーリーに絡むのか?
 あの台詞の裏に隠された感情が「……澁谷……かのん……!」なのか、或いは「……澁谷……かのん……?」なのか、で今後のストーリー展開予想は異なってくるでしょう。
 前者であれば、かのんとは過去になにかしらの因縁あった人物と想定でき、それは小中学校で同窓だったというよりも結ヶ岡女子高等学校音楽科受験の折知己となった、と考える方が自然であるように思えます。
 後者であれば、かのんの評判と結ヶ丘の生徒であることは知っていても、その為人(容姿含めて)は知らない、という予想が立ちます。単に結ヶ丘女子高等学校の新入生同様、動画や地元の評判、ラブライブ!やスクールアイドルが好きな少女、というに留まり、ああした台詞が出ることにまるで違和感はない、ということ。われらが有名人をちらと見掛けたとき、それがあまり確信が持てないときの台詞も、大なり小なり似た風ではありますまいか。
 もしや──シリーズ初、2組目のライヴァル・スクールアイドルの登場か!?
 メインで登場するライヴァル的スクールアイドル(メインで)は、1シリーズ1組でなくてはいけない規定があるわけもなし。むしろそちらの方が或る意味不自然か。しかし作品世界に於けるキャラクターとストーリーの整理、という観点からすれば、1組であるに越したことはない(『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』はこの点、別扱いとなる)。
 μ’sにはA-RISEが、AqoursにはSaint Snowがあったように、Liella!にはサニーパッション(正式表記は片仮名で良かったんだっけ?)があった。もしサニパに替わる、しかも本土在住のライヴァル的スクールアイドルが必要となって「謎の少女」が登場したのならば、これは今後のストーリー展開に、大いに期待が持てるというものであります。Liella!との接触は神津島のサニパ以上に繁くなるでしょうからね。脚本の乱高下に起因する不安は脇に置いてでも、そう、これは期待できることのです。
 もしかすると、こんな構図が考えられているのでしょうか。即ち、サニーパッションはLiella!の良き相談役として、「謎の少女」は純粋にLiella!のライヴァルとして、それぞれの立ち位置を占める、と。同じ東京都民とはいえそうやたらと、1日かけて神津島から竹芝客船ターミナル-浜松町経由で原宿まで、サニパを来させるわけにもゆかないものね。
 それとも……第2期アフレコスケジュールの間でサニパを演じる声優2人(両方、或いはいずれか)のスケジュールの調整が難しくなったのかしらん。ゆえに新しくライヴァル的スクールアイドルを登場させる必要が生じた? まさか、とは思うが、完全否定できる論拠もない。もっとも、柊摩央役の結木ゆな、聖澤悠奈役の吉武千颯のスケジュールをオンオフ含めて掌握している人ならば、論破も可能だろうけれど。
 ──この「謎の少女」の立ち位置、Liella!との人物相関図が不明な現時点に於いて、上記はすべて妄想でしかありません。が、彼女の存在が『ラブライブ!スーパースター!!』第2期の、今後のストーリー展開にどんな活性をもたらすか、不安を心の片隅で飼い慣らしながらも楽しみにしたいのであります。



 第2話感想はお披露目までかなり難儀した。適宜改訂の筆を加えてゆく予感もしている。書きたいことが無尽蔵にあって、それゆえに収拾がつかなくなり、最初のお披露目から本稿(現時点での完成稿)のお披露目まで紆余曲折したのは、そのせい(ということにしておく)。
 取り敢えず第2話感想から派生するものとしては、エンディング曲(なにもかもが皆、可愛すぎる!!!)と鬼塚夏美についての考察、がある。鋭意準備と執筆を進めて、そう遅くないタイミングでお披露目できるよう心掛けよう。
 第3話「優勝候補」(2022年07月31日)の感想はもう少し集中して取り組めるといいな、と思います。まだなにも片附いていないから、実際のところどうなるかわからんけれど。◆

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