第3476日目 〈女王と天皇。〉 [日々の思い・独り言]

 在位70年を祝うプラチナ・ジュビリーに、エリザベス女王が崩御された。09月08日午後である(現地時間)。享年96。滞在先のスコットランドはバルモラル城にて。
 バルモラル城は先年04月、故フィリップ殿下(99歳)と初めて出逢い、求婚された思い出の場所だったそうだ。崩御は夫君を看取って1年5ヶ月後のことだった。
 王室のメンバーが何度となく日本を訪れているのを考えると、女王の来日が1度だけだったとは意外の感がある。1975年というから昭和50年5月、昭和天皇在位50年の年だ(当たり前か)。女王は在位23年目を迎えていた。
 産経新聞22-09-10 27面社会欄が当時の模様を伝える。なかでもクローズアップされたのは(見出しにもなったのは)、接遇担当として外務省儀典長を務めた内田宏氏が、日本を離れる女王に「いちばん印象に残っていることは?」と訊ねたときのことだ。
 「昭和天皇にお目にかかり、教えを受けたことです」とエリザベス女王はお答えになった由。共に孤独な立場であると話した上で女王は、「重大な決定を下すのは自分しかいない」「この立場がわかっていただけるのは天皇陛下しかいない」と仰った、という。
 重大な決定を下せるのは自分だけ。──相手が、ポツダム宣言を受諾して戦争を終わらせる決断を下した昭和天皇だったからこそ、斯様な印象を殊更鮮明に与えられたのだろう。戴冠式の夜にラジオ放送でのメッセージ──「生涯を通じて全身全霊、国民の信頼に値するよう努力する」──を、そのとき女王は重ね合わせなかったろうか。
 エリザベス女王も昭和天皇も、ご自分のお立場とお役目、影響力の大きさを、身に染みてご存知でおられた。ゆえに政治や政策、軍事等についてのオフィシャルな発言は控えられた。皇太子時代は度々物議を醸す発言をし、時に批判もされた新国王、チャールズ3世は、どうか? 船出を祝うと共に、航海を見届けよう。◆

共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。