第3544日目 〈慰めのカテキズム、『ハイデルベルク信仰問答』を読みました。〉 [日々の思い・独り言]

 『ハイデルベルク信仰問答』は良い本だ。非キリスト者であっても、しん、と胸打たれる瞬間が幾らもあるのだ。殊真夜中、人も草木も寝静まった一刻にこれを読んでいると、たまらなく切なくなり、異教徒ながらその〈慰め〉の恩恵にすがりたく思う。
 『ハイデルベルク信仰問答』はカテキズムの代表的書物で、多くの言語に翻訳されて用いられている。キリスト教関係の書物では、聖書と『キリストにならう』に次いで読まれているのは、内容が優れていることの証しだろう。
 「カテキズム」は「教理問答」と訳される。キリスト教の教理を平易な言葉で記した、信仰伝授の入門教育の書物を、今日では一般的に指す。
 宗教改革の頃に成立したこの信仰問答だが、世に出て間もない頃から幾多の苦難に直面した。その度『ハイデルベルク信仰問答』が非難と策謀を退けてきたのは、これを護る側にもこの信仰問答自体にも強くて深い信仰が備わっており、慈しみと慰めの言葉を恃みとする人たちの信念ゆえのことであったろう。
 『ハイデルベルク信仰問答』は良い本だ。非キリスト者であっても、その価値や趣旨、本質は充分わかる。頭で理解するのではなく、心で理解できる。〈「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない〉──レイチェル・カーソンの至言である(『センス・オブ・ワンダー』P24 新潮社 1996/07)。
 『ハイデルベルク信仰問答』を誉めそやし、握翫する非キリスト者を、もしキリスト者が信徒に非ざることを理由にその気持を咎めるようなことあらば、カーソンの言葉から話を起こして『ハイデルベルク信仰問答』が信じる宗教宗派に関わらず普遍の輝き持つ賜り物である旨腰を据えて説いてみると良いと思います。◆


ハイデルベルク信仰問答 (新教新書)

ハイデルベルク信仰問答 (新教新書)

  • 出版社/メーカー: 新教出版社
  • 発売日: 2022/11/19
  • メディア: 新書



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