第0369日目 〈列王記上第3章:〈ソロモン王の知恵〉〉 [列王記・上]

 列王記上第3章です。

 王上3:1-15〈ソロモン王の知恵〉1/2
 エジプトのファラオ(※1)の娘婿となったソロモン王は、王妃をエルサレムへ迎えた。「当時はまだ主の御名にために神殿が建てられていなかったので、民は聖なる高台でいけにえをささげていた。」(王上3:2)
 或る日、王は聖なる高台のあるギブオンに出掛けた。その夜、主が王の夢枕に立った望むものを与えよう、と主はいった。ソロモン王は斯く答えた、━━
 「わたしは取るに足らない若者で、どのようにふるまうべきかを知りません。(中略)どうか、わたしの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください。」(王上3:7,9)
 これに主は喜んだ。「見よ、わたしはあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はいない。」(王上3:12)そして栄光と富と長寿をもソロモン王に与えた。
 ※1「エジプトのファラオ」→前978-959年に在位した王シアムン、或いは前959-945年在位の王プスセネスか? この婚姻でソロモンはエジプトとの外交と同盟を結んだが、ティンデル『列王記』でワイズマンは以後のソロモン堕落の遠因がここに見出せる、としている(P92)。

 王上3:16-28〈ソロモン王の知恵〉2/2
 2人の遊女がいた。一つ屋根の下で寝起きし、前後して子を産んだ。
 或る晩、遊女Aが寝返りを打って自分の赤子を圧死させた。そこで遊女Bの赤子と入れ替えた。Bはそれに気附き、Aを連れて王の許へ参ったのである。遊女Bは王に裁きを求めた。
 2人の言い分を聞き終えた王は命じた、━━生きている赤子を剣で半分に裂け、片方をAの、もう片方をBの子とせよ、と。
 Bは嘆いて王に訴えた、この子を生かしたままAにあげてください、と。
 Aは軒昂として王にいった、この子をどちらのものともせず早く半分に裂いてください、と。
 王は改めて裁きを下し、宣言した。この子を生かしたまま遊女Bに与えよ、なんとなれば彼女こそが赤子の本当の母親であるから。
 「王の下した裁きを聞いて、イスラエルの人々は皆、王を畏れ敬うようになった。神の知恵が王のうちにあって、正しい裁きを行うのを見たからである。」(王上3:28)

 後半をなかば独立させた理由はお察しいただけるものと信じます。2人の遊女の挿話は、ソロモン王が正しい心を主から与えられた、という“事実”を補強するもの。
 遊女らの訴えに対する王の裁きは一見残酷そのもので、旧約聖書の神の残虐性が乗り移ったかに錯覚しますが、われわれ日本人はここに、「大岡裁き」のイスラエル版、西洋版を見た思いがするでしょう。



 帰宅途中の書店にて、三浦しをん『まほろ駅前番外地』(文藝春秋)を購入。わーい。直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』の続編、待ちに待った単行本化です。
 だんだんと、出れば買う作家とそうでない作家が選別されてゆき……が、三浦しをんは最後まで新刊を購入し、連載を追っかける作家であり続けるだろう。と、帰りの電車のなかで、ぼんやりおぐゆーさんを想いながら、ふと考えたのでありました。◆

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