第0622日目 〈ヨブ記第1章:〈事の起こり〉1/2〉 [ヨブ記]

 ヨブ記第1章です。

 ヨブ1:1-22〈事の起こり〉1/2
どの時代とも定めがたい時代、ウツの地に、無垢で正しく神を畏れて悪を避ける、ヨブという男がいた。ヨブには7人の息子と3人の娘、7,000頭の羊と3,000頭のらくだ、500軛の牛と500頭の雌ろばがあった。彼は東の国でいちばん富裕であった。
 ヨブが敬虔であったことを示す一例を挙げる。7人の息子たちは順繰りに、自分の家で、兄弟姉妹を招いて宴会することがあった。それが一巡する毎、ヨブは呼びつけた息子たちを聖別し、いけにえをささげた。宴会の最中、子供たちが神を貶(おとし)め、呪ったかもしれない、と思ったからである。
 ウツの地のヨブとは斯様な男であった。

 さて、或るとき、神の前に神の使いたちが集まった。サタンも来た。まだその頃、神とサタンは敵対する間柄ではなかったのである。
 サタンは神に、自分は地上の彼方此方を彷徨っていた、と語った。
 そこで神はサタンに問うた、我が僕ヨブ程地上に正しい者はない、と。
 否、とサタンは嘲った。ヨブと雖も利益なしに神を敬うことなぞあるわけがない。神がその御手を伸ばして彼の財産に触れたらば、たちまちヨブは神を呪う者となるだろう、と。
 神は首肯し、サタンにヨブを試させた。━━

 その頃、ヨブの息子の一人が自分の家で兄弟姉妹を招いて宴会を催していた。
 ヨブは別に、自分の家にいた。ヨブの許へ一人の召使いがやって来て、いった。「シェバ人が襲ってきてろばを略奪して去り、居合わせた牧童は自分を除いて皆殺されました」
 話し終わらぬうちに、もう一人やって来て、いった。「天から降ってきた神の火により、羊も羊飼いも自分を除いて皆焼け死んでしまいました」
 話し終わらぬ内に、また一人やって来て、いった。「三つの部隊に分かれたカルデア人が襲ってきて、らくだの群れを襲って略奪してゆきました。居合わせた牧童は自分を除いて皆殺されました」
 話し終わらぬ内に、最後の一人がやって来て、いった。「お子様方皆が集まって宴会中のご長男宅を、荒れ野から吹いてきた大風が四方から襲い、家屋は倒れ、お子様方は誰一人その難を逃れることができませんでした」

 悲しい知らせが、ヨブを立て続けに襲った。
 ヨブは悲嘆に暮れた。衣を裂き、髪を剃り落とし、大地へひれ伏した。そうして、いった。「私は裸で母の胎を出た。/裸でそこへ帰ろう。/主は与え、主は奪う。/主の御名はほめたたえられよ。」(ヨブ1:21)
 こうしたことがあっても、ヨブは神を批難し、神を呪うことがなかった。
 ウツの地のヨブとは斯様な男である。



 ウツの地の王、乃至はウツの地方領主であったともされるヨブ。彼の住むウツの地は、塩の海即ち死海南東に位置するエドム(既に何度も出て来てお馴染みの地名です)とされます。後に読む「哀歌」4:21に「娘エドムよ、喜び祝うがよい/ウツの地に住む女よ。」という文言があるのが、その根拠の一つだそうです。
 本章を読んで、また本章以後も読んでいて、さんさんかは或る疑問を抱かざるを得ませんでした。
 ヨブは古今を通して正しい人、「義人」とされてきました。が、正直に申して、本当かな、と疑問がないわけではないのです。宴会を終えた息子たちが神を呪ったのではないか、侮蔑したのではないか、と疑心暗鬼になり、一々呼び出して聖別していけにえをささげた、というのは、果たして義人のやることでありましょうか。ヨブは「無垢で神を畏れる正しい人」である、というイメージがここにあるでしょうか。それともこれは、第3章以後で顕著になる神を呪う姿と対比させるための誇張なのでしょうか。
 確かにヨブは神を畏れ、敬う信仰の正しい人であった。それは疑う余地もありません。が、その一方で、「自分の身に神の怒りが降らぬよう奔走するオタメゴカシの男=ヨブ」、という印象も持っている、とだけ、正直に申し上げておきます。でも、それは悪いことではないと思います。



 参院選が告示された今日、さっそくわが家の近所にも1台だけですが、選挙カーがやってきました。単なる通りすがりで迷惑も一過性でしかない。が、嫌いな政党だったので、「ふん、お前の名前なんか書かないよぅだ」と口のなかで罵倒しました。やりすぎ?
 でも、そのあとで来た豆腐屋さんのラッパの音色と掛け声(「とうふ~、とうふ~」)が、なんとものどかでひなびた感じで、よかったなぁ(ハイドンの弦楽四重奏曲との奇妙な共鳴!)。なんだか今夜は豆腐が食べたいぞ。冷や奴にするか揚げるか、焼き豆腐もよいのだが……うむ、やはり(季節はともかく)湯豆腐か。迷うところである。
 ああ、この国は良い国だ。こんな夢想が許される、この自由。◆
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