第0760日目2/2 〈トーキョー・オノボリサン〉シリーズ;東京スカイツリー&羽田空港国際線ターミナル編 [ウォーキング・トーク、シッティング・トーク]

 さんさんかの〈トーキョー・オノボリサン〉シリーズ、今回は建設中の東京スカイツリーと先月開業した羽田空港の国際線ターミナルを見物してきました。
 東京スカイツリーへは本所吾妻橋駅で下車、そのまま地上に出て少し歩いたら……もう目の前にあったよ! 橋の向こうに「うす、おいら東京スカイツリー」なんて顔してぶっきらぼうに突っ立っておった。なんか感動もなにもない(いい過ぎか。ならば、感動は薄かった、と訂正しよう)出会いである。ビルの間から、徐々に、徐々に見えてきた、とか、もしくは浅草駅から隅田川を渡る前にちょっと向こう岸を見たら頭を覗かせていた、とかなら、まだしも、いや、この出会いは味気ないほどに呆気なかった。でも、青空にすっきりしたデザインの高層建築物が映える様を見るのはいつでも気持ちがよく、これが完成した暁にはどんな街並みが生まれるのかを想像すると、思わず、うーむ、と唸ってしまいました。
 しかしながら、一お上りさんに過ぎぬさんさんかが敢えていわせていただけば、まずは、東京スカイツリーの絶好の眺望スポットとされる東武橋にて首をそらして見あげるよりも、浅草からのんびり歩いた隅田川縁で川向こうにすっくと聳える東京スカイツリーを眺める方が、あの美しい姿を視界のなかへ収められる上に<隅田川>という場所の生み出す情緒が作用して、<ほう>という感情を一際盛りあげてくれる、と思います。そうしてから、言問通りを歩いていって、押上駅を抜けて東武橋へ足を向けて工事作業を眺める、というコースをお奨めしたいのであります。当然のことながら、さんさんかはこれと逆のコースを辿りました。
 さて、隅田川を離れて浅草でご飯食べて仲見世通りをぶらついたあと、浅草橋駅から(タイミングよく到着する予定の)羽田空港直通の電車に乗って、もう一つの目的地に向かいました。もともと、ここへは行くつもりであったのです(帰り道、といえば帰り道だし)。
 京浜急行空港線;国際線ターミナル駅は天空橋駅と国内線ターミナル駅の間に作られた、地下2階に位置する新設駅だ。みなさま、お間違えなきように。因みに浅草橋駅からの料金は、国際線ターミナル駅までが600円、国内線ターミナル駅(終点)は640円。改札を出て、長いエスカレーターを地上3階まで上る。地上3階は出国ロビーであり、到着ロビーはその下の地上2階となる。
 広い。天井が高い。滑走路をはさんだ向こう側にある国内線ターミナルも同じなのだが、新しいせいか、潔いまでの開放感を感じる。━━ぼんやり見あげていたら、真後ろの窓の外を、モノレールがすれすれに走り過ぎていった。そうそう、モノレールのホームはここ地上3階にあるのだ。さて、移動する。
 エスカレーターで4階へ行くと(もう「地上」なんて付けるの、やめた)、真正面に<江戸舞台>と称された朱塗りの舞台。今日はここで切り絵の実演が行われていました。見物客のリクエストに応えていたのですが、飛行機の切り絵にはびっくりしましたね。滑走路を走行中の旅客機の切り絵なのですが、その回最大級の感歎の声が見物客と行き過ぎる人の間から立ちのぼった程。で、そのあとはTVでも紹介され尽くした感のある江戸をモティーフにした土産物屋などを見てまわり、せたが屋にてラーメンを食したのでありました。玉子、美味いっ! 鰹ベースのスープ、美味いっ! でも、食べるなら鶏塩ラーメンかつけ麺の方がよかったかなぁ……。「隣の芝生は青く見える」とはよくいったものですね。
 そのあとは、あっちフラフラ、こっちプラプラ、という感じで、特に申しあげることもないのですが、「ここまで来たら、やっぱり送迎デッキには行かなくちゃっ!!」でしょう。APECの警備に併せてデッキに夜間は出られないようですが(11,12日が終日だったかな)、まぁ、でもいまは関係ないから。
 そろそろ陽も傾きかけようか、という頃、スカイツリーの見える方向の滑走路に到着便が着陸し、、目の前の滑走路を管制塔からの指示を受けて定刻通りのフライトを開始する気が、タキシングして空へと滑り出す。その光景は何度見ても飽きるものではなく、いつまで見ていても飽きるものではない。しかし、季節は初冬の色に染まり始め、吹く風にはキレのよい冷たさが存在を主張し出す。一時間も外にいると、温かいコーヒーが恋しくなる(「人のぬくもりが恋しい季節」でもある。わたくしが求める<人(ひと)>が誰なのかはおわかりいただけよう、さよう、あの女性(ひと)だけ)が、気附けばデッキの片隅に人々が集まっている。そのときはまだ小さな、とても小さな集団であったが、終わる時分にはちょっとした人数を擁した集団となっていた。
 その集団が見ていた方向は、滑走路に背を向けた西の方角であった。━━と書けばおわかりいただけようが、われらは多摩川の向こう、箱根の向こう、西の彼方に沈む夕陽(ゆうひ)を見詰めたのだ。天気は、前述のように、晴れ。夕陽が沈む場所の右手の方には、富士山が、陽が沈みゆくにつれてはっきりと稜線を描き出してゆく。ちょうどうまい具合に、夕陽と富士山の間には一群れの雲が浮かんでいる。あかね色の光線が雲を輝かせ、富士山の輪郭を赤く際立たせた。こんな光景を見るのは、たぶん生まれて初めてだ。故郷の町のあちら側に丹沢山地と箱根山地があり、その向こうへと太陽が沈んでゆく。当たり前の光景だが、そういう光景こそ、見る場所と気持ち次第で如何様にも崇高なそれになり得るのだ。赤富士、それを絶好のポイントから、絶好のタイミングで見られる事なんて、滅多にないのではないでしょうか。あの夕暮れと日没を、周辺環境もセットで鑑賞し得たことに、ぼくはつくづく感謝します。なによりも、誘ってくれた家族に感謝。
 さて、その後であるが、空弁を買って再び京浜急行で━━これまた運良く!━━金沢文庫行きの直通電車でのんびり帰り、ほかほかと過ごしたのでありました。これが、今回のさんさんかの〈トーキョー・オノボリサン〉シリーズの報告であります。次はいつか、次はどこか。乞うご期待。◆

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