第1164日目 〈エレミヤ書第50章:〈諸国民に対する預言〉5/6with H.シュッツ《クリスマス・オラトリオ》を聴いています。〉 [エレミヤ書]

 エレミヤ書第50章です。

 エレ50:1-46〈諸国民に対する預言〉5/6
 バビロニアに、カルデア人の国に向かって。

 預言者エレミヤよ、諸国民に告げ知らせよ。バビロンは陥落し、かれらの神ベルは辱められた。マルドゥクの偶像は砕かれた、と。
 いま、一つの国が興って北から迫りつつある。それはバビロニアの町という町を落とし、帝都バビロンへ至る。かれらはバビロンに対して陣を敷く。強力な武器で都を攻め、壊し、奪い、火を放つ。そこには人も家畜も住まない。廃都の名はバビロン。
 侵略者よ、北から来た軍隊よ、上げろ、バビロンにて鬨の声を。
 わが民よ、迷える羊の群れよ、逃げろ、捕囚の地バビロンから。
 イスラエルは獅子に追われて散り散りになって羊。かつてアッシリアを罰したように、わたしはユダの骨を砕いたバビロニアを罰する。そのために大いなる国を奮い起こし、北からバビロニア目指して進撃させる。戦災の犠牲になるのを免れたイスラエルがいる。わたしはかれらを緑に牧場へ連れ戻す。その日、その時には、「イスラエルの咎を探しても見当たらず、ユダの罪も見いだされない。わたしが、生き残らせる人々の罪を赦すからである。」(エレ50:20)
 バビロニアの倒れるときが来た。かつて全世界に名を轟かせ、全世界を砕いた槌が、粉微塵になるときが来た。バビロニアは恐怖と恥辱の的となる。よろめき倒れる傲慢な者に手を差し伸べて、助け起こそうとする者はない。焼き払われた都バビロンに住民は絶え、野獣だけがそこを徘徊する。かつて災厄に見舞われたソドムとゴモラの如く、そこに住む者は永遠になく、宿る者もまた同様に。
 主がバビロニアに、バビロンに対して練った計画、カルデア人の地に対して定めた企てを聞け。「バビロンが占拠される物音で大地は揺れ動き/叫びの声は諸国民の間に聞こえる。」(エレ50:46)

 「その日、その時には、と主は言われる。/イスラエルの人々が来る/ユダの人々も共に。/彼らは泣きながら来て/彼らの神、主を尋ね求める。/彼らはシオンへの道を尋ね/顔をそちらに向けて言う。『さあ、行こう』と。/彼らは主に結びつき/永遠の契約が忘れられることはない。」(エレ50:4-5)

 ベル=マルドゥク/メロダク。バビロニアの最高神です。
 「エレミヤ書」で再三に渡って語られてきた、バビロニア滅亡の預言とイスラエル民族存続の訴えが、第50,51章にまたがって再現されます。
 この預言書を閉じるにあたってバビロニアへの預言が最後に持ってこられた点に、「エレミヤ書」編纂者の意図が見え隠れしているように思います。それがなにかというと、主への信頼と希望だと思うのです。
 無限に続くかのような絶望と哀しみのなかにあっても、主の言葉の正しさが現実となるのを目の当たりにすることができれば、そのあとに待ち受ける酷な運命も主の言葉通りにいつか終わるときが来て、故郷の大地へ帰還することが叶う。これは決して〈終わり〉ではない、再生が約束された試練である。或いは、より輝かしい未来への第一歩である、という風に、わたくしは読んできて、思うのであります。
 終わりは始まりである。それを如実に知らしめるエピソードのように、思えてならぬのであります。
 引用したなかに登場する台詞、「さあ、行こう」━━とても良いと思いませんか?



 ハインリヒ・シュッツ《クリスマス・オラトリオ》(《イエス・キリストの生誕の物語》SWV435,435a)を聴いています。
 明るくて伸びやかで、聴いていて実に穏やかになれる。暖かいですよ、この合唱団の声というものは。バッハの同名曲のような堂々たる作品ではないけれど、こうした方が心にしみじみと感じられ、後々まで清らかな印象が残るのではないでしょうか。
 実演に於いてはコンサート・ホールでよりも、教会で演奏されるのがいちばん相応しいように思う。また、個人で鑑賞するにあたっては、深閑とした夜寒の時刻、無為無想の最中にイヤフォンなりヘッドフォンで、外の音が聞こえるかどうかというぐらいの音量で聴くのが理想。じんわりとしてくると思いますよ。、気附けば枕を濡らしていたりね。
 クリスマス絡みの曲(CD)がi-podに入っているけれど、それらは2013年を迎える頃に消すであろうものが殆ど。が、このシュッツの作品だけは間違って削除しない限り、少なくとも自分の意志で消すことはない。それ程に握玩の音楽なのです。

 シュトゥットガルト室内合唱団=ムジカ・フィアタ・ケルン&シュトゥットガルト・バロック・オーケストラ=フリーダー・ベルニウス(指揮)、独唱はクリストフ・プレガルディエン(T)、モニカ・フリンマー(S)他。
 1991年3月、ソニー・クラシカル/VIVARTEからリリースされた一枚。CSCR83835。◆

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