第1328日目 〈アモス書第4章:〈サマリアの女たち〉&〈かたくななイスラエル〉withホームズ「踊る人形」を思い出す。〉 [アモス書]

 アモス書第4章です。

アモ4:1-3〈サマリアの女たち〉
 サマリアの女たち、バシャンの雌牛にたとえられるお前たちよ。主の厳かなる誓いに耳を傾けよ、――
 いつの日かお前たちは肉鉤、釣鉤に引っ掛けられてぶら下がる。城壁の破れ目から外へ放り投げられて、国の北境ヘルモン山の方へ捨てられる。
――このような日が来る。

 アモ4:4-13〈かたくななイスラエル〉
 どんなことがあっても、いつまで経っても、まったく立ち帰ろうとしないイスラエルへの主の言葉、――
 ギルガルとベテルへ行って偶像を崇め、税を納め、パンを焼き、献げ物をささげて、罪に罪を重ねていればいい。黒穂病と赤さび病とイナゴのせいで駄目になった農作物を前に呆然とし、消沈し、泣いていればいい。パンの一欠片も口に入れることかなわず、旱魃と水害で飲み水を失い、なお求めて彷徨えばいい。
 かつてエジプトを襲った疫病に倒れ、剣の犠牲になって死に、町のあちこちで屍の腐乱臭を漂わせればいい。かつてソドムとゴモラがわが怒りによって覆されたのと同じように、お前たちも覆されて、生き残った者は燃えさしのようになってしまえばいい。
 そうして、
 「イスラエルよ/お前は自分の神と会う備えをせよ。」(アモ4:12)

 殊後半に至って主の抑えきれぬ怒りが沸々と表面化しているように思います。全体的に申して、イスラエルへの激しい感情が噴出している章といえましょうか。サマリアの女たちへの肉鉤、釣鉤に引っ掛けられて城壁の破れ目から外へ放り捨てられる、なんて、意外と酷い表現といえないでしょうか。
 そこに登場するヘルモン山。もう忘れちゃっていますよね。この山はヨルダン川東岸、北王国の国境の北限に位置し、その南はマナセの半部族に与えられた嗣業の土地でありました。
 黒穂病と赤さび病、前者はパレスチナが雨期の頃、農作物を枯らす真菌性の病気である由。後者についてはよくわかりませんが、たとえば岩波版聖書や他の訳の聖書では「うどんこ病」としております。いずれにせよ、農作物に壊滅的被害をもたらす病気なのだ、と認識しておけばよいと思います。このあたりは農業に従事される方にレクチャーをお願いしたいものであります。
 引用こそしなかったけれど、アモ4:13はイスラエルへの審判の言葉のあとに来る主の<讃歌>である、とする本があります。そうなのかもしれませんが、わたくしは逆にこの節を、主の日の訪れが近いことを喧伝する一節のように読むのです。間違っているかもしれませんが、あくまでこう読む者もいる、という一つの例であります。



 今日は本章を読んでいて、ちょっと失笑してしまった話題であります。余談ですけれどね。
 引用したアモ4:12「イスラエルよ/お前は自分の神と会う備えをせよ」に、わたくしは楽しい記憶を引き起こされる経験をしました。この文言が「踊る人形」を思い出させたのであります。
 「踊る人形」は<シャーロック・ホームズ>シリーズの傑作の一つ。<踊る人形>という暗号がもたらした昔の男女の愛憎(しかも女性は既に吹っ切っている)を描いた作品ですが、最後の暗号が意味するところを英語に直せば“ELSIE PREPARE TO MEET THY GOD”、「エルシー、神に会う準備をせよ」。これを、ふと、思い出したのですね。それだけのお話しです。えへ。
 「踊る人形」は『シャーロック・ホームズの帰還』に収録。未読の方がもしいるならば、文庫のホームズ全集でぜひ読んでください。わたくしは高校生の頃からずっと改版前の新潮文庫で馴染みましたが(延原謙・訳)、いまこれからの読者なら、光文社文庫(日暮正通・訳)か創元推理文庫(深町眞理子・訳)の方が読みやすいでしょうね。訳題は光文社文庫が『~の生還』、創元推理文庫が『~の復活』になっています。お読みいただけば、わたくしの作品紹介の下手さもおわかりと思います。
 いや、実に面白いよ、ワトスン!!◆

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