第1423日目 〈創世記第19章2/2:〈ロトの妻〉with『ねじまき鳥クロニクル』は間もなく読了します。〉 [創世記]

 創世記第19章2/2です。

 創19:30-38〈ロトの妻たち〉
 ツォアルに逃げこみ、ソドムの災禍を免れたロトと2人の娘は、いまツォアルを出て山中に入り、そこの洞穴で暮らしていた。そのあたりの慣習によって娘たちのところへ通う男たちはいなかった。ゆえに彼女らは父ロトをぶどう酒で酔い潰させ、かれの子種を受けて妊娠、子供を残そうと計画した。
 その晩、まず姉が寝入ったロトに侍り、父の種を己が胎の奥へ植え付けた。
 翌朝、姉から行為の件を報告されて妹も、夜になって父がぶどう酒で酔い潰れるのを待って、父の傍らへ侍り、子種を受けるに及んだ。
 ロトは夜毎の行いを知らず過ごした。
 やがて2人の娘はそれぞれに身ごもり、男の子を産んだ。姉はモアブ人の先祖モアブを、妹はアンモン人の先祖ベン・アミを生んだ。順に「父親より」、「わたしの肉親の子」の意味である。

 モアブ人とアンモン人は既に馴染みのある名と思いますが、いずれもイスラエルの対抗勢力として、後々大きな存在となってゆく者らであります。かれらの先祖はここで見るようにアブラハムの甥ロトであったことは、2008年のいま頃「創世記」を読んでいながら今日まですっかり忘れておりました。
 デレク・キドナーはモアブとアンモンについて、「イスラエルの歴史のなかで最悪の肉欲的な誘惑(バアル・ペオルの誘惑。民数25章)をもたらすこととなり、また最も残虐な宗教的濫用をもたらすことになった(モレク崇拝。レビ18・21)」(ティンデル『創世記』 P169)と端的に述べております。
 近親相姦によって誕生したモアブとアンモンが歴史的民族的にイスラエルと近しい関係にあることを示す一方、宗教的には忌避すべき、唾棄すべき存在であることも示されます。



 残念ながら『ねじまき鳥クロニクル』を9月中に読了することは不可能であった。が、最後の70ページにまで到達した今日の今宵、ますますページを繰る手が止まらなくなってきているのを感じます。明日明後日にはなんとか読み終えられよう。
 これまで読んできた村上春樹の長編のなかで<深み>という点では断トツで、読み応えという点では一、二を争う。お気に入りというなら、『羊をめぐる冒険』、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』に続く作品。と同時に再読、三読を要求してくる――その物語の世界へ立ち帰ることを求められる小説でもある。つまり、それだけ多層的な物語である、ということ。
 読み終えていないのにそうまでいうか、との言葉もあろうけれど、それをいわせてしまうだけの<力>のある小説が、この『ねじまき鳥クロニクル』なのだ。読了してしばらくは次の作品に手を出せそうもないぐらいの<力>を持つ小説など、実はそうそう滅多にあるものではない。◆

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