第1425日目 〈創世記第21章:〈イサクの誕生〉、〈ハガルとイシュマエル〉&〈アビメレクとの契約〉with夢に現れる君を、誰もぼくからは奪えない~『村上ソングズ』が甦らせた思い出〉 [創世記]

 創世記第21章です。

 創21:1-8〈イサクの誕生〉
 去年、マムレの樫の木のところでアブラハムは主に会った。そのときの約束通り、主がサラを顧みたので、彼女は夫との間に一人息子イサクを授かった。イサクが生まれたとき、アブラハムは100歳。
 イサク生まれて8日目、割礼が施された。
 サラは諦めていた息子を授かった喜びの言葉を以て主に感謝した。
 ――イサクが乳離れした日、アブラハムは盛大に祝宴を催した。

 創21:9-21〈ハガルとイシュマエル〉
 或る日、イサクとイシュマエルが一緒に遊んでいるのを見てサラは、夫にハガルとイシュマエルを追放するよう訴えた。「あの女の息子は、わたしの子イサクと同じ跡継ぎとなるべきではありません。」(創21:10)
 悩むアブラハムに主がいった。曰く――苦しみ悩むな。すべてサラのいう通りにするがよい。わたしはイサクをあなたの跡継ぎとするが、イシュマエルも一つの国民の父とする。
 翌朝早く、母子は発った。が、ベエル・シェバの砂漠で遂に水がなくなった。――ハガルはイシュマエルを灌木の下に寝かせて、離れた場所から息子を見続けた。間近でわが子が渇きに苦しみ、死んでゆくのを見たくなかったからである。見つめる母の目に涙が浮かび、やがてそれは止め処なく零れ落ちるのであった。ハガルは大きな声をあげて泣いた。
 それを聞いた主の御使いがハガルのそばに来て、いった。曰く――もう泣くな、行ってイシュマエルを抱きかかえるがよい。主はあの子を一つの国民の父とするのだから、と。
 御使いによって目を開かれたハガルは近くにあった井戸から水を汲み、イシュマエルに飲ませた。
 神が共にあったため、イシュマエルは成長して、荒れ野に住んで弓を射る者となった。バランの荒れ野に住んでいたとき、ハガルは故郷エジプトから息子のために嫁を迎えた。

 創21:22-34〈アビメレクとの契約〉
 ゲラルの王アビメレクとアブラハムがネゲブ地方の砂漠で会ったとき、アブラハムはアビメレクの部下たちが井戸を奪ったことを、王に訴え責めた。王は今日までそれを知らなかったが、友好関係を誓ったあとでもあったので、素直に部下の横暴を詫びた。
 アブラハムは羊と牛の群れを連れてきてアビメレク王に贈り、更に7匹の雌の子羊を別にした。――7匹の雌の子羊をわたしから受け取ることで、王はこの井戸を掘ったのがわたしアブラハムであるとわかってくださったのです。
 契約はベエル・シェバで結ばれた。ベエルは「井戸」、シェバは「誓い」の意味である。
 アブラハムはベエル・シェバに一本のぎょりゅうの木を植えた。そうして永遠の神、主の御名を呼んだ。アブラハムは長くペリシテの国に寄留した。

 子供に寄せる情愛はサラよりハガルの方が濃いように読めるのは気のせいでしょうか。 ――本章は舞台を専らベエル・シェバの砂漠にして、ハガルとアブラハムそれぞれの挿話が語られます。イサクの誕生もネゲブ地方即ちベエル・シェバ近郊での出来事です。舞台を一にする挿話が集まって章立てされているのが偶然なのか、それは定かでありませんが、アビメレクとの同盟締結の場面でベエル・シェバの意味が明らかにされるのは、ここには一種の契約にまつわる挿話が集められていることと無関係ではないように思うのであります。
 そういえばやはり、ハガルが見附けた井戸は次項で触れられるアブラハムが掘った井戸の一つなのでありましょうか。



 「夢に現れる君を/誰もぼくからは奪えない。//恋のでこぼこ道で/二人はもう会わないだろう。/それでも僕はいつまでも/思い出を大切にしまっておくよ。」
 “The way you haunt my dreams――/No,no! They can't take that away from me!//We may never,never meet again/On the bumpy roadto love,/Still I'll always keep/The mem'ry of――”
 「誰にも奪えない」“THEY CAN'T TAKE THAT AWAY FROM ME”という歌の一節であります。作詞・作曲はジョージ&アイラ・ガーシュイン兄弟、1937年のアメリカ映画『踊らん哉』“SHALL WE DANCE”にてフレッド・アステアが歌っている。
 村上春樹・和田誠の楽しい一冊『村上ソングズ』(中央公論新社)所収の一篇ですが、和田誠による訳詞を読んで、ずきり、と胸が痛みました。心が痛くなりました。思い出が甦ったからでした。
 ――過去がどうであったとしても、あなたのことは忘れずに、共に過ごした短い期間の思い出を大切にしまっておくよ。
 ずっと昔のように思える。Oさん、どうしていらっしゃいますか? ぼくはなんとか元気でいます。でも、……。◆

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