第1427日目 〈創世記第23章:〈サラの死と埋葬〉with『ねじまき鳥クロニクル』全3巻を読了しましたが……、〉 [創世記]

 創世記第23章です。

 創23:1-20〈サラの死と埋葬〉
 サラは127歳で世を去った。於カナン南部の町キルヤト・アルバ即ちヘブロン。深い嘆きと悲しみのあと、アブラハムはヘト人に、寄留人であるわたしに妻の墓所となる土地を譲ってもらえませんか、と頼んだ。
 ヘト人は、あなたは神に選ばれた方です、どうぞ遠慮なさらずいちばん相応しいと思う場所を選んでお使いください、といった。われらのなかに墓地の提供を拒む者、亡くなった奥様を埋葬させぬ者など、一人もいません。
 国の民であるヘト人に向かってアブラハムはいった。では、ツォハルの子エフロンの所有地のなかになるマクペラの洞穴を、わたしの妻の墓地として譲っていただけませんか。じゅうぶんなだけの銀をお支払いしますから。
 それを聞いてエフロンは、町の門の広場に集まってきたすべてのヘト人の前で、アブラハムにこう答えた。――どうか御主人、あの畑も洞穴も、わが一族立ち会いの下あなたに差しあげます。さっそく奥様を埋葬してあげてください。いえ、そんな多くの代金なぞ要りません。銀400シェケルの価値しかあの畑にはありません。さあどうぞ、奥様を埋葬してあげてください。
 ――アブラハムはエフロンの言い値を支払い、その場所を有するに至った。そこへかれは亡き妻を埋葬した。
 「こうして、マムレの前のマクペラにあるエフロンの畑は、土地とそこの洞穴と、その周囲の境界線に生えている木を含め、町の門の広場に来ていたすべてのヘトの人々の立ち会いのもとに、アブラハムの所有となった。その後アブラハムは、カナン地方のヘブロンにあるマムレの前のマクペラの畑の洞穴に妻のサラを葬った。その畑とそこの洞穴は、こうして、ヘトの人々からアブラハムが買い取り、墓地として所有することになった。」(創23:17-20)
 やがてそこにはアブラハムも埋葬されることになる。

 われらの耳へ馴染んだ固有名詞に置き換えるなら、ヘト人とはヒッタイト人であります。かれらは「創世記」の時代よりもずっと下った全18-13世紀に、現在のトルコにヒッタイト王国を築き、栄えた。前14世紀頃には北シリアを含めた地域を勢力下に置いて一大帝国と化した由。後に王国を築くかれらの祖の一部がエルサレムの南にあるヘブロンへまで流れてき、定住して土着化した――それがエフロンの所属するヒッタイト人の共同体なのでしょうか。
 となると、アブラハム夫妻は晩年ヘト人の共同体に身を置いて過ごしてきたことになりますね。ゲラル滞在のあと、イサク誕生の前年までにはマクペラの洞穴がそばにあるマムレの樫の木の近くに住まうようになった。寄留者でありながら神ゆえに外国人共同体から敬われていたアブラハムを思うにつけ、ソドムに於けるロトの境遇と正反対であるあたりに主なる神の計画の真意を窺い見る思いがいたします。
 そのマクペラは「マムレの前のマクペラの洞穴、その周囲の土地」として出てまいります。マムレは既に述べた通り、マムレの樫の木のある場所で、かつてアブラハム夫婦が暮らし、神との交流多かりし縁の土地。
 その目と鼻の先にある土地を、アブラハムはサラの埋葬地に選んだ。亡妻にとって馴染みある地に埋葬したい、というアブラハムの希望と、いつでも墓参できたり彼女との生活を懐かしんだり偲んだりできる場所を求めた結果、かれをしてそこを墓所として選ばせたのでありましょうか。
 現在マクペラはパレスティナ自治区内の町ヘブロンにある古代宗教史跡として知られますが、それ以上にここを有名にしたのは1994年2月25日にあった<マクペラの洞穴の虐殺事件> であるかもしれません。これについてはアブラハム埋葬の場面を語る日に触れようと思います。忘れません、いま聖書の余白にメモしました。



 『ねじまき鳥クロニクル』全巻を読了しました。半年ぐらい読んでいましたね。本来ならここで、では感想書きます、となるのだろうが、それが出来ないのだ。
 この物語はあまりに自分のなかに深く入りこんできた。その圧倒的な重みと重層的な物語の解きほぐしをどう自分の言葉で語ればよいか、わたくしは考え倦ねている。
 数日は全3巻を溜め息しつつ読み返し、なんとかして自分の思いを言葉に置き換える作業に腐心するのだろう。そうしていつの日か、ここで『ねじまき鳥クロニクル』の感想をお披露目できたら、それはとってもうれしい。
 ――<村上春樹長編小説・再読初読完走プロジェクト>もいよいよ大詰め、残るは『スプートニクの恋人』と『海辺のカフカ』、『アフターダーク』の3作となりました。昔の人との邂逅をきっかけに始まった本プロジェクトも終わりが見えて、少々淋しい気分が頭をもたげてきたのも否めぬ事実であります。◆

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