第1738日目 〈シラ書第20章:〈語るにも黙るにも時をわきまえよ〉、〈人生には予期せぬことがある〉他withこの状況、果たして是なるか非なるか?〉 [シラ書〔集会の書〕]

 シラ書第20章です。

 シラ20:1-8〈語るにも黙るにも時をわきまえよ〉
 喋りが過ぎて憎まれてしまう人がいる。逆に、黙っているだけで知恵ある人と目される人がいる。
 が、しかし、何一つ語るべきことがないから、場にふさわしい会話ができぬから、黙っているより他ない者も、なかにはいる。
 まさしく時と場をわきまえて、敢えてなにも語らず黙っている人もいる──知恵ある人は機を見てふさわしい頃に口を開き、周囲の耳目を集めるような発言をするものだ。
 何人も知れ。口の盛んな者は忌み嫌われ、他人の話を奪う者は嫌われる、ということを。

 シラ20:9-17〈人生には予期せぬことがある〉
 出来事とは、常に貨幣の表と裏だ。不幸な目に遭いながら幸せを摑む人がいる。自分が贈った以上の良い贈り物をもらうこともある。身分の卑しかった、取るに足らぬ存在でしかなかった者が、思いがけず頭角を現すこともある。そうして、良かれ、と思うてしたこと、幸運と思うていたことが、却って裏目に出て人生のつまづきとなり、わが身を堕とすこともある。
 嗚呼、人間は人生を知ることはできない。

 シラ20:18-20〈時をわきまえぬ話〉
 うっかり口を滑らせてしまうことがある。不注意による行為だ。
 が、悪人にとってそれは常のこと。連衆は場をわきまえず、時をわきまえず、のべつ幕なしに口を開いて喋りまくり、他人に疎んじられ、警戒され、恨まれる。
 斯くして悪人はすみやかに没落してゆく。

 シラ20:21-23〈世間体〉
 世間体を取り繕おうと思うな。それが原因で身を滅ぼすこともあるのだから。
 「貧しさゆえに、罪を犯さないで済む人もいる。/仕事を終えて休むとき、/彼は良心に責められることはなにもない。」(シラ20:21)

 シラ20:24-26〈うそ〉
 嘘。人間にとって最も醜い汚点。
 嘘。嘘つきの汚名は生涯取り憑いて離れない。
 嘘。最後には人間を破滅させるもの。

 シラ20:27-32〈知恵の適切な利用〉
 主に対して敬虔な知恵ある人は、ちょっとしたことがきっかけになって出世する。
 己の知恵を隠すよりも、己の愚かさを隠すことの方がよほどましだ。

 昨日同様、いちばん馴れ親しんだシラの章、否、聖書読書のそもそもの始まりというてよい章。相応に愛着あるところでもあったので、ノートも容易かと高を括っていたら、そうでもなかった。難渋というのではなく、己の語彙不足によるところが専らであるが。
 嘘は汚点。破滅のきっかけ。その汚名を濯ぐことはできぬ。これなど自分を氷の剣で貫くが如き力のある文言だった。時と場をわきまえて口を開け。饒舌になるな。わが身を省みて行いを改めさせるに十分な諫めの言葉である。
 そうして本日唯一の引用箇所──なにを隠そう、わがモットーの一つだ。これと最初に遭遇しなかったら、聖書を机の上に備えておくことはなかったろう。つまり、2008年のあの日、心を静めるためとて聖書へ手を伸ばして巻を開くことも、本ブログの開設と継続もなかったかもしれない、ということだ。──最愛の死者への捧げ物!
 偶然とは運命なり。そは偉大なり。



 ヒューストン、再びこちらで問題が発生した。本日お披露目予定のエッセイが長くなりすぎたので、独立したものとせざるを得なくなったのだ。Twitterで呟いたものに加筆して900字ぐらいの文章に仕立て直せばいいか、と簡単に考えて、実際の執筆は後日に回していたのが裏目に出たようである。
 今月出版された大森望・牧眞司編『サンリオSF文庫総解説』(本の雑誌社)の感想を書こうとしたのだ。そうして昨日、ようやっと重い腰をあげていつものスターバックスに午前中から籠もって、件の本を傍らにモレスキンを開いてブルーブラックのペンを走らせていた。芋づる式によみがえってくる記憶、当時の光景、感情。必要最小限の部分だけ拾いあげて、感想文を拵えてゆく。
 そうしたら400字詰め原稿用紙約4枚強の分量のものができあがった。が、これでじゅうぶんではない。最後の2段落がまだきちんとした体を保っていないからね。いずれにせよ、本日のエッセイとして披露できないことは確定済みである。斯くして本日予定していた本の感想も、過日のコッパードや村上春樹の本と同じ運命をたどったのだった。
 ──「シラ書」が終わったあとのエッセイ週間の原稿だけがどんどん溜まってゆく。果たしてこの状況、是か非か。◆

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