第1758日目 〈シラ書第38章:〈医者の薬〉、〈死者への哀悼〉&〈職人と学者〉1/2with今日は渡部昇一『ヒルティに学ぶ心術』を読んでいました。〉 [シラ書〔集会の書〕]

 シラ書第38章です。

 シラ38:1-15〈医者の薬〉
 あなたたちは医者を、その仕事ゆえに敬いなさい。医者の手は癒やしの手、その術は人を癒やす。癒やしの業は主からの授かり物、かれらは王から褒美を受け、高い身分を与えられる。薬は、主により大地から造られる。分別ある人は薬を軽んじたりすることはない。
 「医者は薬によって人をいやし、痛みを取り除く。/薬屋は薬を調合する。/主の業は決して終わることなく、/健康は主から全地の人々に与えられる。」(シラ38:7-8)
 子らよ、病気にならぬよう、過ちを犯すな、手を汚すな、あらゆる罪から心を清め、献げ物と供え物を御前にきちんとささげよ。子らよ、病気になったら、主に祈り求めよ。その上で医者に頼れ。かれの手により病気も治ることだろう。
 医者も人々同様、主に祈っている──自分のところへ来る病人の苦しみを和らげ、かれらの命を永らえさせられる治療を行えることを。

 シラ38:16-23〈死者への哀悼〉
 汝、愛する死者のために涙を流し、悲しみの歌をうたえ。相応しい礼を尽くし、亡骸を包んで丁重に埋葬せよ。そうして愛する死者のために喪に服し、人々の弔問を受けよ。なぜならば、あなたが己の身を律することができるように、である。
 心得よ、悲しみから死が生じ、心の悲しみが力を奪うことを。苦悩に囚われているかぎり悲しみは付き纏い、貧しい者の生活は呪いに満ちたものとなることを、心得よ。
 「忘れてはいけない。その人は戻らないのだ。」(シラ38:21)
 「死者を墓に休ませたなら、もう彼を思い出すな。/彼の霊が去ったなら、気を楽にせよ。」(シラ38:23)

 シラ38:24-34〈職人と学者〉1/2
 学者の知恵は余暇に得られる。実務や労働に煩わされない人は知恵ある者となる。
 農夫や職人は自分たちの仕事に専心し、豊かな経験と広くて深い見識と、たしかな技術を持っている。先の見通しを立てて行動し、不測の事態に対応する能力にも優れている。
 が、実務や労働に煩わされている以上、かれらが知恵ある者となることはない。
 「これらの人々は皆自分の腕に頼り、/それぞれ、自分の仕事には熟練している。/彼らなしに、町は成り立たず、/住み着く人も、行き来する人もいない。/しかし、彼らは民の会議では意見を求められず、/集会においても責任ある地位には昇れない。/裁判官の座にもつけず、/法律にかかわる決まりも理解していない。/教訓や法律を説き明かすこともできず、/格言にも精通していない。/彼らは造られたこの世界の調和を固く保つ。/彼らの願いは、仕事を全うすることにある。」(シラ38:31-34)
 ──その一方で、主の律法を研究する人もいる。

 この時代、律法に通じて主への祈りにあたらうつつを抜かす階層の人々に共通した意識だったのかわからぬが、すくなくとも著者イエススと翻訳者たるその孫は、斯くいう、──労働そのものや職人の能力を讃えることはできても、かれらに主が授ける知恵が宿ることはあるまい、と。そのくせ、社会はかれらの存在と活動なくして機能しないことも承知している。
 解せぬ考えだ。つまるところ、如何に信じて敬い、畏れる者らの前に主なる神は平等と雖も、それは建前でしかなく、実際は主の与える知恵を授かる恩恵に浴せぬ者もいる、それらは自分たちに較べて一段劣る者たちでもある、というに等しい。主を信じるふりをして実はそれに背く行為に耽る者たちを非難した著者がなにをいうのか。それとも、これを書きたいが為に、こちらを讃えてあちらを貶める、という二枚舌戦法か。噴飯物だ。常軌を逸している。
 いったいどの面さげて著者はこれを書き、孫はこれを訳したのだろう。そうして、たとえばアレキサンドリアの町に暮らすユダヤ人たちは、どんな顔をして、どんな心境で、これを聞いたことだろうか。
 職人たちをあまりに軽んじている風が鼻にかかって、わたくしにはとても嫌みったらしく思える。それとも、これは信徒衆から表面をなぞっただけの浅薄非才な読み方である、と(また)揶揄されるのか。しかし、わたくしにはこの文言は、知恵のありがたさと尊さに囚われて却ってまわりを見失った<奴隷のモラル>としか読むことができないな。呵々。
 ──なお、中盤、〈死者への哀悼〉について、わたくしはなにも語らぬこととする。引用した部分については否定の気持ちしかわかぬことでもあるし。



 今日は勇気をふるって映画やインターネットを遮断。この原稿を書き、予約投稿を済ませたあとはずっと、家にこもって本を読んでいました。渡部昇一『ヒルティに学ぶ心術』(致知出版社)は一々首肯できる内容で、学ぶところ、得るところ多々の良著。これを書架に並べられる喜びを感じます。いつか感想を書いてお披露目できたらな、とまたぞろ思うてしまいますね。◆

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