第1807日目 〈エズラ記(ギリシア語)第2章:〈キュロスの布告〉&〈アルタクセルクセス王あての書簡と王の返事〉withそういえば今日、『あまちゃん・総集編』を観たのだけれど──〉 [エズラ記(ギリシア語)]
エズラ記(ギリシア語)第2章です。
エズ・ギ2:1-14〈キュロスの布告〉
バビロニアからペルシアへ、オリエントの覇権は移った。アケメネス朝ペルシアの王キュロス2世はその治世第1年(前535年という)、イスラエルの主により内なる霊を呼び起こされて、かつて主が預言者エレミヤを通して語った言葉を成就させる書面を認め、帝国全土に公布した。曰く、──
イスラエルの神なるいと高き主がわたしを世界の王とした。いま同じ主が、ユダヤのエルサレムに自分の家を再建させよ、という。そこでわたしは領内に暮らすユダヤ人たちをかれらの国へ還すことにした。イスラエルの主はエルサレムにこそ住む。領内のユダヤ人以外の民は、かれらの帰り支度を手伝え。
──と。
またキュロス王は、かつてバビロニアのネブカドネツァルが略奪してきて保管していた神殿の祭具類を、財務官ミトレダトを通してユダヤの指導者サナバタルに渡した。祭具類の内訳は以下の通りであった、──
金杯;1,000
銀杯;1,000
銀の香炉;29
金の器;30
銀の器;2,410
その他の祭具類;1,000 ──総計、5,469。
サナバタルはこれらを携えて、同胞と共に廃都エルサレムへ帰還した。
エズ・ギ2:15-25〈アルタクセルクセス王あての書簡と王の返事〉
ペルシア帝国がアルタクセルクセス王を王位に戴いていた頃である。サマリヤとその周辺地域に駐在する官僚たちが王宛てに、ユダヤ人やエルサレムに住む者らを訴えた。曰く、──
ユダヤ人どもがエルサレムへ入りこみ、町の再建に勤しんでいます。加えて城壁を修築し、新たな神殿の基礎工事に着手しています。もしこの町が再建されて神殿が完成し、機能するようになったら、「コイレ・シリアとフェニキアへの陛下の道は閉ざされてしまうでしょう。」(エズ・ギ2:20)
どうか陛下、王家伝来の諸書をお調べください。そうすればかれらが如何に反抗的で攻撃的であるか、わかりましょう。ユダヤ人にむかしのような力を与えてはなりません。
──と。
王はこれを読むと諸書を調べさせ、かの地の官僚たちへ返書した。曰く、──
古来よりエルサレムとユダヤの民が歴代の王に背き、諸国を攻撃・支配して朝貢させていた事実が判明した。
「そこでわたしは、ユダヤ人どもが町を再建するのを阻止するよう命ずる。この命令に一切背かせてはならない。」(エズ・ギ2:24)
──と。
書記官シムシャイや記録官レフムらはこの返書を後ろ盾にし、武装した一隊を率いてエルサレムへ向かい、町の再建工事の一切を妨害した。これにより、エルサレムの神殿の再建工事はダレイオス2世の治世第2年まで中断される。
ペルシアの占領地政策はアッシリアやバビロニアと異なり、そこの文化や風習、宗教を無理に自分たちと同じにしたりしなかった。同化政策よりも寛容政策を選んだのだ。属州となった国に一定の自治権を与えることで、同じ属州となった他民族と手を結び反乱など起こさせぬように、という目論見が背景にあったのかもしれない。真意がどうあれ、斯様な政策ゆえにキュロス王はユダヤ人捕囚解放を公布し、帝国領内に暮らすユダヤ人のうち望む者にはユダヤ・エルサレムへの帰還を許したのだった。
そうしておそらくそれは、アルタクセルクセス王の時代になり、シムシャイらが王宛てに書き送った書簡に出る「コイレ・シリアとフェニキアへの陛下の道」にも関わりを持ってくる。「陛下の道」とはペルシア属州127州(これについては明日)に巡らされた<王の道>を指すのだろう。これは帝国の主要街道である。コイレ・シリアはシリア地方南部の地域をいい、広義ではレバノン山脈やアンチレバノン山脈以南、ユーフラテス川南域をいう。この場合はシリア・パレスティナ地方と考えてよいだろう。即ち旧南王国ユダがあり、エルサレムを近辺に置く地域だ。そこにも<王の道>は通っていた。帰還したユダヤ人がエルサレムを再建して力を取り戻せば、国家運営に支障を来す、という懸念が先走って、書記官シムシャイらは王に書簡を送ったのであろう。
ここで第2章に名の出るペルシア王の在位期間を、自身の備忘も兼ねて記し留める。
キュロス2世;前559-530年
アルタクセルクセス1世;前464-424年
ダレイオス2世;前424-405年
ペルシアには同名の王が複数あるケースが多いけれど、本ブログでは描かれる内容や史書から判断、かつ諸書を参考にして上記の王として以後進めてゆく。
本章で教えられるのは、立場や視点が変われば一つの歴史はがらり、と様相を変えて読者の眼前に迫ってくる、ということだ。真実は幾つもあるが事実は一つしかない。この言葉を梃子にして読み替えられたイスラエル・ユダ両王国の歴史を、われらはペルシア王家伝来の諸書からかすかに知ることができる。──これは歴史解釈の悩みのタネといえるかもしれない。が、その面白さこそ歴史解釈、或いは<歴史を読む>ということの醍醐味かもしれない。
今日はTSUTAYAで借りてきたものと架蔵するものから、『あまちゃん・総集編』前編と職場の同僚に奨められてすっかり先が気になってしまうようになった韓流ドラマ『屋根裏のプリンス』第3巻、今年亡くなった好きな俳優に敬意を表してロビン・ウィリアムス主演の『いまを生きる』と『グッドモーニング・ベトナム』を観ました。さすがに背中が痛くなるね。
ちかごろ休みの日は外に出ないで部屋を片付け、ブログ原稿を書くばかり。自宅で映画を観るのが最高の慰めであり、最高の愉しみです。
しかし『あまちゃん』ですが、昨年の「紅白歌合戦」で披露された本当の最終回も、いつかソフト化されてほしい。ロット数限定での発売で構わないから、是非。あれほど感動的な朝の連続ドラマの最終回が他にあっただろうか? 勿論、不可能を承知でいうておる。
さて、クリスマスの日から4日間の連休に入るときはなにを見ようかな。◆
エズ・ギ2:1-14〈キュロスの布告〉
バビロニアからペルシアへ、オリエントの覇権は移った。アケメネス朝ペルシアの王キュロス2世はその治世第1年(前535年という)、イスラエルの主により内なる霊を呼び起こされて、かつて主が預言者エレミヤを通して語った言葉を成就させる書面を認め、帝国全土に公布した。曰く、──
イスラエルの神なるいと高き主がわたしを世界の王とした。いま同じ主が、ユダヤのエルサレムに自分の家を再建させよ、という。そこでわたしは領内に暮らすユダヤ人たちをかれらの国へ還すことにした。イスラエルの主はエルサレムにこそ住む。領内のユダヤ人以外の民は、かれらの帰り支度を手伝え。
──と。
またキュロス王は、かつてバビロニアのネブカドネツァルが略奪してきて保管していた神殿の祭具類を、財務官ミトレダトを通してユダヤの指導者サナバタルに渡した。祭具類の内訳は以下の通りであった、──
金杯;1,000
銀杯;1,000
銀の香炉;29
金の器;30
銀の器;2,410
その他の祭具類;1,000 ──総計、5,469。
サナバタルはこれらを携えて、同胞と共に廃都エルサレムへ帰還した。
エズ・ギ2:15-25〈アルタクセルクセス王あての書簡と王の返事〉
ペルシア帝国がアルタクセルクセス王を王位に戴いていた頃である。サマリヤとその周辺地域に駐在する官僚たちが王宛てに、ユダヤ人やエルサレムに住む者らを訴えた。曰く、──
ユダヤ人どもがエルサレムへ入りこみ、町の再建に勤しんでいます。加えて城壁を修築し、新たな神殿の基礎工事に着手しています。もしこの町が再建されて神殿が完成し、機能するようになったら、「コイレ・シリアとフェニキアへの陛下の道は閉ざされてしまうでしょう。」(エズ・ギ2:20)
どうか陛下、王家伝来の諸書をお調べください。そうすればかれらが如何に反抗的で攻撃的であるか、わかりましょう。ユダヤ人にむかしのような力を与えてはなりません。
──と。
王はこれを読むと諸書を調べさせ、かの地の官僚たちへ返書した。曰く、──
古来よりエルサレムとユダヤの民が歴代の王に背き、諸国を攻撃・支配して朝貢させていた事実が判明した。
「そこでわたしは、ユダヤ人どもが町を再建するのを阻止するよう命ずる。この命令に一切背かせてはならない。」(エズ・ギ2:24)
──と。
書記官シムシャイや記録官レフムらはこの返書を後ろ盾にし、武装した一隊を率いてエルサレムへ向かい、町の再建工事の一切を妨害した。これにより、エルサレムの神殿の再建工事はダレイオス2世の治世第2年まで中断される。
ペルシアの占領地政策はアッシリアやバビロニアと異なり、そこの文化や風習、宗教を無理に自分たちと同じにしたりしなかった。同化政策よりも寛容政策を選んだのだ。属州となった国に一定の自治権を与えることで、同じ属州となった他民族と手を結び反乱など起こさせぬように、という目論見が背景にあったのかもしれない。真意がどうあれ、斯様な政策ゆえにキュロス王はユダヤ人捕囚解放を公布し、帝国領内に暮らすユダヤ人のうち望む者にはユダヤ・エルサレムへの帰還を許したのだった。
そうしておそらくそれは、アルタクセルクセス王の時代になり、シムシャイらが王宛てに書き送った書簡に出る「コイレ・シリアとフェニキアへの陛下の道」にも関わりを持ってくる。「陛下の道」とはペルシア属州127州(これについては明日)に巡らされた<王の道>を指すのだろう。これは帝国の主要街道である。コイレ・シリアはシリア地方南部の地域をいい、広義ではレバノン山脈やアンチレバノン山脈以南、ユーフラテス川南域をいう。この場合はシリア・パレスティナ地方と考えてよいだろう。即ち旧南王国ユダがあり、エルサレムを近辺に置く地域だ。そこにも<王の道>は通っていた。帰還したユダヤ人がエルサレムを再建して力を取り戻せば、国家運営に支障を来す、という懸念が先走って、書記官シムシャイらは王に書簡を送ったのであろう。
ここで第2章に名の出るペルシア王の在位期間を、自身の備忘も兼ねて記し留める。
キュロス2世;前559-530年
アルタクセルクセス1世;前464-424年
ダレイオス2世;前424-405年
ペルシアには同名の王が複数あるケースが多いけれど、本ブログでは描かれる内容や史書から判断、かつ諸書を参考にして上記の王として以後進めてゆく。
本章で教えられるのは、立場や視点が変われば一つの歴史はがらり、と様相を変えて読者の眼前に迫ってくる、ということだ。真実は幾つもあるが事実は一つしかない。この言葉を梃子にして読み替えられたイスラエル・ユダ両王国の歴史を、われらはペルシア王家伝来の諸書からかすかに知ることができる。──これは歴史解釈の悩みのタネといえるかもしれない。が、その面白さこそ歴史解釈、或いは<歴史を読む>ということの醍醐味かもしれない。
今日はTSUTAYAで借りてきたものと架蔵するものから、『あまちゃん・総集編』前編と職場の同僚に奨められてすっかり先が気になってしまうようになった韓流ドラマ『屋根裏のプリンス』第3巻、今年亡くなった好きな俳優に敬意を表してロビン・ウィリアムス主演の『いまを生きる』と『グッドモーニング・ベトナム』を観ました。さすがに背中が痛くなるね。
ちかごろ休みの日は外に出ないで部屋を片付け、ブログ原稿を書くばかり。自宅で映画を観るのが最高の慰めであり、最高の愉しみです。
しかし『あまちゃん』ですが、昨年の「紅白歌合戦」で披露された本当の最終回も、いつかソフト化されてほしい。ロット数限定での発売で構わないから、是非。あれほど感動的な朝の連続ドラマの最終回が他にあっただろうか? 勿論、不可能を承知でいうておる。
さて、クリスマスの日から4日間の連休に入るときはなにを見ようかな。◆