第1970日目 〈【今日の音楽】クリュイタンス=ベルリン・フィル:ベートーヴェン交響曲を聴きました。〉 [日々の思い・独り言]

 今日は久しぶりの追加出勤で、昼で仕事は終わりでした。ランチは駅のパブでポークジンジャーとライスのセットで済ませ、なんのあてもなく小雨降るなかをいつものスタバへ、なぜか移動。習慣とは恐ろしいもので、自分でもびっくりの行動でした。成る程、仕事が終わったらスタバにこもって原稿を書く、という判で押したような生活──そんな殆ど変わらぬ行動をを2年強もの間取り続けていると、なにを考えずとも体はそのように動いてくれるらしい。
 むろん、これは基本的な行動形態であって、会社のあるビルを出たときに今日はどこのスタバ、或いはカフェドク、エクセルシオール、上島珈琲店を<仕事場>にしようか、と検討することはある。まぁ、会社から半径3キロ以内に9店舗を構えるスタバが選択結果の過半を占めるのは致し方ないこと。
 取り敢えず今日は足の赴くままに馬車道のスタバへ向かい、そのまま約4時間ばかり原稿を書いていたのであります。否、厳密にいえば聖書の読み直しとそれに伴う原稿の書き直しを行ったのだ。
 「ルカによる福音書」後半に於いてはお披露目されていない章があったことを読者諸兄はお気附きいただけると思うけれど、今日の作業はそれに結びつくもので、要するに一旦は予約投稿したと雖も気に喰わぬ出来であること著しく、直前になって公開を中止、数日放っておいたものに改稿の大鉈を振るった次第でありました。やっぱりパソコンで直接書いた原稿は、つい書き流してしまってあとから読み直すとろくでもない仕上がりになることが多いなぁ。すくなくとも聖書読書ノートとしては、あまり褒められた出来映えではない。
 もっとも、こんな大言壮語した後にお披露目した件の原稿群をお読みいただき、いつもと大して変わらないじゃん、いや、むしろ……、といわれてしまうのがオチかもしれませんが。
 ──原稿を書き直している間はずっと架蔵のアンドレ・クリュイタンス=ベルリン・フィルによるベートーヴェンの交響曲を聴いていました。勿論、iTunesに取りこんだ後iPhoneへ落としたものです。かつてはセラフィムから出ていたシリーズで、カラヤンとアバド以外のベルリン・フィルの演奏に初めて本格的に触れたのが、このコンビによるベートーヴェンだったのでした。しかもこれはベルリン・フィルにとって初めてのベートーヴェン交響曲全集である、という。
 聴いたのは、第1,2,3,7番。重量感のあるなかに一抹の軽やかさが同居した、完全無欠のベートーヴェン──わたくしも本格的クラオタをやっていた時分、楽聖の<不滅の9>のセットは数10種類を集めたものでしたが、実は全9曲の演奏に満足できる全集と出会うことは稀で、そのうちの1つがクリュイタンス=BPOによるものだったのです。もう1つはブリリアント・レーベルの活動初期に出された(と記憶する)ブロムシュテット=シュターツカペレ・ドレスデンの全集。もはや手許に殆ど残っていない、かつてのコレクションの残骸のなかにこの2種の全集はまだ残っています。
 そうして発見したのはクリュイタンス=BPOによるこのベートーヴェン、原稿を書きながら聴くBGMとしてはなかなか殊勝に役目を果たしてくれていること。まさに集中力は維持され、原稿書きに没頭することができました。まさかいまどき楽聖の交響曲を環境音楽的に流しながら聴くことに目くじらを立てるような人はいないと思うけれど、このような効能があったのは事実。勿論、偶然でしょ、といわれてしまえば返す言葉はありません。
 なお、本稿執筆中に聴いているのは、交響曲第6番《田園》第1楽章であります。これもなかなかどうして美しく、悠然とした、生命力に満ちた演奏です。いつまでもこの演奏に身も心も浸していられたらなぁ、安逸の時間のなかに沈みこんでしまうことができたらなぁ、と夢想する。
 最近のベートーヴェンはなんだか外見だけはご立派で、何度も繰り返して聴く程の魅力を感じることができない。奇数曲は深刻ぶった顔つきだけれどその深刻ぶりはポーズに過ぎず、偶数曲は総じてふんどしの緩い演奏が目立つ。これがちかごろのベートーヴェンの交響曲を聴いていての、率直かつ感覚的な感想。繰り返して聴くには値しない、自分好みではないし、ゆえに所蔵空間を逼迫しようとも手許に残しておきたいとまでは思えない──そんな録音が群雄割拠するこの事態、最早やんぬる哉、というところであります。
 斯様な状況で聴くクリュイタンス=ベルリン・フィルのベートーヴェンとは、或る意味に於いて<最後に帰り着く場所>であり、<常にそこへ立ち帰る場所>であるように思います。これをグローバル・スタンダードとするにはちょっと無理があるかもしれないけれど、1つの里程標としての役割はじゅうぶんに果たすことができる。聴き較べの基準としても、これに優って相応しい演奏があるとは、思えません。
 ──さて、今度は原稿書きのBGMとして、チェビダッケ=シュトゥットガルト響のブルックナーを試してみようかな。◆

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