第2987日目 〈長編小説『ザ・ライジング』の補足です。〉 [小説 ザ・ライジング]

 『ザ・ライジング』まとめ記事の補足です。本当ならもうすこし早くお披露目すべきなのだが、どんどん原稿が溜まってゆき、それを片っ端から予約投稿している関係で、必然的に本稿の公開は後ろ倒しになってしまう。ご寛恕いただければ幸甚と存じます。
 では、なにを補足しようとしていたか? 音楽の話であります。
 そも主人公が吹奏楽部に所属していることでヒンデミットの《交響曲ロ短調》や、友人が合唱部のためハウエルズやブリテンの合唱曲に言及している。また、先日長瀬智也が事務所を退所したことで新たなステージに上ることを余儀なくされたTOKIOなど、まぁいつものわたくしの小説通り細部を埋める役回りで、幾つかの固有名詞を散りばめてゆくことになりました。本作のタイトルにもなったブルース・スプリングスティーンの「ザ・ライジング」については、改めて申すまでもありません。
 が、いまここでわたくしが補足として取りあげたい音楽とは、作中で取り挙げられたそれのことではなく、いわば執筆中の場面に流れたと或る一曲のこと。或る意味でこの曲がなければ、本作のクライマックスを構築することは難しかったかもしれません。それぐらいに重要な曲であります。
 その曲とは、シベリウスの交響曲第2番ニ長調Op.43。第5章で主人公が海上にあがってき、亡き婚約者の影を見る場面があるのですが、その場面の背景にわたくしは勇壮なこの交響曲の、第3楽章から第4楽章へ移行する箇所をBGMとして流したのです。
 残念ながらそのBGMが、誰の演奏であったかは覚えていません。わたくしは北欧音楽オタク、シベリウス・マニアでしたから、様々な指揮者とオーケストラの第2番が記憶のなかに宿っている。されどいま件の場面を読み返してみていちばんしっくりするのは、バーンスタインとVPOのDG盤かなぁ、と思うたりしております。カヤヌスやバルビローリの演奏も良いけれど、サカリと渡邊暁雄も捨て難いけれど、映像の後ろに流れるに相応しいテンポや恰幅のよさなど考えればやはり、レニー=VPOの右に出るものはありません……。
 これがクライマックスに流れる音楽であるわけですが、あともう1曲。映画でいえばエンドロールに流れる歌が椎名へきる「PROUD OF YOU」だとだけ、最後に添えておきたい。この歌、椎名へきる史上最高にして無二の1曲ではある。異論があることは重々承知、それでもわたくしはそう信じて疑わない。どうしてこの歌であったのか、それを語るには必然的に<あの日>とそれに続く日々の出来事を語らなければいけない──が、それはいくらわたくしとて語るを控えたい出来事でもある。為、ここを以て擱筆。◆

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