第2996日目 〈1980年代、テレヴィはドラマとアニメで花盛り。〉1/2 [日々の思い・独り言]

 1980年代、テレヴィはアニメとドラマだけしか流れていませんでした。ヴァラエティ番組、ですか? ビートたけしと萩本欽一、志村けん(一時期まではザ・ドリフターズと言い換えてもよい)とみのもんたがかかわる番組ぐらいじゃないですか、放送されていたのって。いまのように芸人が乱立してどんどんテレヴィがつまらなくなってゆく時代とは逆行していたんですよ、バブル経済に支えられた日本のテレヴィ番組は。本気にしないならご両親に訊いてみたら如何だろう。
 ドラマは話題になったものしか観なかったですね。『スチュワーデス物語』も『愛しあってるかい!?』も、『男女7人夏物語/男女7人秋物語』も『ふぞろいの林檎たち』シリーズも、『西部警察』も『金八先生』シリーズも、わたくしには無縁の世界であった。観ていなかったわけではない。初回から最終回まで通して観たことがなかった、というだけの話だ。でもそれって、観たことがない、と同義だよね!?
 正直にいえば、当時ちゃんと最後まで観ていて、なおかつその後も自分のなかでフェイヴァリット・ドラマとなり得ている当時の日本のドラマは、んんん、『セーラー服通り』と『あぶない刑事』、『ベイシティ・コップ』の3作かなぁ。いずれもCSで放送されると録画して、Blu-rayに焼きましたよ。それ以後『セーラー服通り』と『ベイシティ・コップ』は再放送されたという記事を目にしたことがないから、或る意味貴重ではありますな。
 1980年代のドラマといえばわたくしにはむしろ海外ドラマであった。就中アメリカ・ドラマが毎日観られる恩恵たるや! テレビ東京が夜8時ぐらいの時間帯で流していた(火曜日だったっけ?)海外ドラマでいちばん覚えているのは、『ブルーサンダー』です。映画版とはがらりと雰囲気を変えて、ロス市警の特別チームを主役に据えて、ブルーサンダーのパイロットとナヴィ役の青年(チビ助、と呼ばれていた)の他に2人組の地上支援班が別にいるのが印象的だった。ストーリーは、1980年代のアメリカらしく脳天気だけれどちょっぴりわさびの利いた、明るい雰囲気に満ちた、1回完結型。どうでもよいことですが、もし読者諸兄でこの番組を未見であるならば、先に映画版を観ましょう。その方がおそらくドラマ版を落ち着いて観ることができます。
 1980年代のアメリカ・ドラマって、ヴェトナム戦争帰りの元軍人を主役に据えた作品も目立ったように思います。その代表格というべきが、『特攻野郎 Aチーム』。土曜日の昼2時ぐらいから放送されていたので、いやぁ、学校が終わったら走って家に帰って手を洗うのももどかしくテレヴィの前に陣取ったりしてね。
 でも、進学してから気が付いたのですが、1980年代のドラマで描かれたヴェトナム戦争って、なんだかやけに明るかった。それを負の遺産として背負いこむのではなく、そのときの経験を用いて事態をプラスの方向に持ってゆく、というパターンの作品が多かったかな。『Aチーム』はまさしく、という感じの作品でした。とても楽しく、頭を空っぽにして、ハンニバルやフェイスマン、クレイジー・モンキー、コングたちの活躍に一喜一憂して、勧善懲悪がなされるのを胸のすく思いで眺めていた。
 他にも勿論、大量の海外ドラマを観てきましたよ。わたくしと同世代の方々ならば、量の差こそあれ思いは同じなはず。どれを取っても日本のドラマとまったく違った。ストーリー展開の早さ、流れるようなカメラワーク、なによりも会話の軽妙さが海の向こうとこちらとでは全然違う! NHKで日曜日の夜だったかしらん、シビル・シェパードとブルース・ウィリス(あのブルース・ウィリスですよ)の探偵ドラマ『こちらブルームーン探偵社』はこれらのすべてが詰まった、この類の作品をクリエイティヴする人は皆々必見の作品と断言しますね。頼りにならぬ私見によれば、20世紀最後の20年でこれ程までにロマンティックでエスプリの効いたサスペンス・コメディはなかった。双璧? その候補すら、ない。
 いちばん記憶にあるのは、ホテル内で犯人を追いかけていたブルース・ウィリスが途中で転んでそれを見失ったとき、カメラに向かって「犯人はどっち行った? あっち? (ここでカメラが縦に揺れる)よし、ありがと」と言って追跡を再開する件(吹き替えの声優は荻島真一)。これを観たときは本当に衝撃的でしたね、小説では絶対に再現できない場面だったからです。シビル・シェパードとの男女のウィットに富んだやり取り(所構わぬマシンガントークともいう)も違う意味で刺激的だったけれど、これを実現させたシナリオ・ライターもまた凄い。
 どうでもよいお話ですが、1960年代に活躍したザ・ロネッツという、フィル・スペクターがプロデュースした女性ヴォーカル・グループがあるのですが、その代表曲「ビー・マイ・ベイビー」が2人の珍しいベッド・シーンで流れたのがやけに記憶にぐっさり突き刺さりましてな、その数年後、ザ・ロネッツのCDでその曲を聴いた途端、『こちらブルームーン探偵社』の件の場面がいきなり甦ってきてねぇ、いや、びっくりしましたよ。
 日本のドラマで『こちらブルームーン探偵社』の類縁を求めるなら、『あぶない刑事』に指を折ります。というよりも、他に類縁と呼ぶべきものが、ない。とはいえ、『あぶない刑事』自体がアメリカの刑事ドラマや映画などから随分と影響を受けて作られた、と仄聞しますので、この対比もあながち間違いとは言い切れないと思います。
 そういえばNHKでは他にも海外ドラマを多数放送している。というよりも、NHKこそむかしから海外ドラマを日本の家庭に途絶えることなく供給してくれた、海外ドラマ・ファンには恩人ともいうべき存在なのであります。自分が夢中になってみていたドラマの半分ぐらいはNHKで放送されていた番組でしたね、綜合・教育の別を問わずで……『頑固じいさん孫3人』『名犬ファング』『アルフ』『フルハウス』『大草原の小さな家』『ジェシカおばさんの事件簿』『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』『マイコン大作戦』『ダウリング神父の事件簿』、そうして忘れちゃいけない、グラナダ版『シャーロック・ホームズの冒険』!!!
 そうして民放に目を転じれば、『V』に『新スパイ大作戦』『エアウルフ』『ナイトライダー』『悪魔の手触り』『特捜刑事マイアミバイス』『俺がハマーだ!』『私立探偵レミントン・スティール』そうして、『ファミリータイズ』。これは「全米熱中テレビ」と副題がついておりましたね。
 1990年代に入ってからもNHKと民放は多くの両作を電波に乗せてくれましたし、わたくしもその恩恵には多分に与った者ですが、済みません、本稿、あくまで1980年代のドラマに限定しているので。そうじゃなければ、『ツインピークス』とか挙げてますよ、当然のことながら!
 また、ちょうどテレヴィ局各局が深夜放送をレギュラー化し始めた頃でもあり、むかしの海外ドラマが時間の穴埋め的に放送されたのも慶事としかいいようのない出来事だった。それでなかったらどうして10代の多感な時期に、創作意欲も読書欲も旺盛で、目にするもの読むものすべてを創作に取り入れようとしていたあの時代に『ミステリー・ゾーン』の衝撃を受けようか。毎週VHSのヴィデオ・テープに3倍速で録画して、それこそ擦り切れる程に観返したドラマなんて後にも先にも『ミステリー・ゾーン』だけですよ。現在CSで全シーズン全エピソードがHDリマスター版で毎日放送されていて、仕事帰りの晩酌時に観るのが習慣になっています(勿論、Blu-rayに焼いている。願わくば第2次、第3次『トワイライト・ゾーン』並びに『四次元への招待』の放送を!)。むかし放送された回については案外とストーリー展開やオチ、次に誰がしゃべるか、どんな台詞を言うか、意外と正しく記憶に残っていてわれながら驚きであります。
 そうそう、1980年代はアニメも毎日放送されていました、と言いましたね。が、ちょっとこのままでは際限なく長くなること必至なので、キリも良いことですし一旦ここで筆を休めて、アニメについてはまた明日の話題とさせていただきます。久しぶりに、胸を張ってこう書くことができます。即ちそれってこういうこと、曰く、”to be continued”と。◆

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