第3029日目 〈小説「人生は斯くの如し(ヘンリー・キングの詩より)」あとがき 〉 [小説 人生は斯くの如し]

 顧みるまでもなくGW中はひたすら、この小説の改稿に心血を注いでいたように思います。それを人は時に、現実逃避、というようですが、そんなこと気にしない。
 日中はやるべきことに全神経を注ぎこみ、ふと落ち着いたときに無理に食事し哀しみ紛らせの情事に耽り、時計の針が日付の変わるのを知らせる頃にMacの前に坐って小説を書き直し始める……それは明け方まで続き、終わると睡眠導入剤代わりの日本酒を呑んで烏の鳴き声を遠くに聞きながら眠りに落ちる。数時間後に起きたら再びやるべきことに全神経を注ぎこみ……の繰り返し。
 改稿のピークであったGW前半は、まさにこんなサイクルで生きておりました。後半は自分の入院/手術の準備で大わらわとなり、派遣会社の対応に不審を抱き、憮然とした状態で病院の入院患者となった。検査と投薬と休息とで時間の感覚が殆どなくなり、手術の記憶もわりかし飛んでいる。気附いたら迎えの人が退院手続きや支払いを済ませてわたくしは待合室の片隅で呆けて坐り、そのまま夕刻帰宅した。
 そんななかでよく時間をやり繰りして、全9回の改稿を無事終わらせられたな、と感心しています。久しぶりに小説を書く難しさを痛感し、物語を紡ぐ喜びに法悦を覚え、あの頃から今日まで自分はどれだけ成長したのか悩んだりして、1回分が書き終わるたびに簡単な推敲を済ませて予約投稿すると、もう精も根も使い果たしてそのまま(アクセス数の解析すらしないで)電脳空間とMacから離れて、あしたのことを考える。
 第7回を書き直しているときかな、唐突にスピンオフとでもいうべき短い会話劇が思い浮かびました。本編から数年後の或る晩の一コマではありますが、案外とこれが本当の結末というべきものなのかもしれません。誰も不幸にゃならないよ、予定調和のハッピーエンドを書くのが好きなんじゃ。お披露目予定はありませんが、ネタ切れになったら唐突に公開するかもね。呵呵。
 書誌的なことを最後に、備忘として記します。本作は2011年2月に初稿が書かれ、それがほぼそのまま本ブログにお披露目された。その後、印刷したものをベースに朱筆を入れた版があったが、そちらは未完である。今回お披露目したものはそれとは異なり、2011年版を基に新たに書き直したエディションだ。いわば本作には2011年版を基にした2つのヴァリアント──未完の朱筆入れ版と今回の2021年版が存在している。出来映え等に関しては個人の印象としては、断然2021年版に軍配を挙げたい。
 まぁバックグラウンドとかいろいろ情報の提供不足はあるかもしれませんが、すべてが提供されたら読んでいてもツマラナイでしょ? と詭弁を弄して去り際に一言、最後までお読みいただきありがとうございました、と謝意をささげて作者、遁走。◆

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