第3076日目 〈憲法を知る最適・必読の1冊;『あたらしい憲法のはなし』を買いました。〉 [日々の思い・独り言]

 過日、民主主義の本を買いこんだことを、ここでお話ししました。まだ読書に取り掛かる段階には達していないのですが、一方で日本国憲法の、良い本はないか、と探していました。
 良い本、とはいうても憲法研究の基礎文献とか、一条一条について詳細な註釈や解釈が付された本でなければ、憲法を巡るこれまでの論争等について記したものでもない。わたくしが欲しかったのはもっと根本から憲法の性質や制定された意義等々を丁寧に説いた本だったのです。
 法律を専攻した馴染みのクラブの女性に訊いても、こちらの希望に該当するような本は思いあたらず、書店をぶらぶらして気になるものがあれば手にしてみるけれどなんとなくピントが違っていたりで、今日までそうした本に出会うことがなかった──これはおそらく、どれだけ自分が憲法を巡る話題に鈍感で、憲法改正がホットな話題の時期に書店に特設されたコーナーを素通り同然で過ごしてきたかの証しといえましょう。
 が、今日見附けた1冊は、こちらの要求というか希望を十全に満たす本でした。
 かつて民主主義の本を色々買いこんだなかに、戦後文部省が中高生向けに作成した民主主義の教科書を全文復刻した文部省著『民主主義』(角川ソフィア文庫 2018/10)があった。これは上下2巻から成る、民主主義とはなにか、民主主義によって日本はどのように生まれ変わるのか、等々を説いた本ですが、今回購入した日本国憲法についての本も同様の目的の下に書かれた本だったのです。書名を『あたらしい憲法のはなし』(高見勝利・編 岩波現代文庫 2013/09)といいます。
 日本国憲法は、昭和21(1946)年11月3日公布、翌22(1947)年5月3日に施行されました。憲法の精神と内容を簡明に記した3種の小冊子をまとめたのが本書であります。いずれも新憲法の公布/施行に際して書かれたもので、収録順に、①中学生向けに作成された小冊子(「あたらしい憲法のはなし」文部省 1947/08)、②全国の家庭に配布されたパンフレット(「新しい憲法 明るい生活」憲法普及会・編 1947/05)、③新憲法の解説書(「新憲法の解説」内閣 1946/11)、となります。
 買ったばかりということもあり、ざっとページを繰ったに過ぎませんが、最初に収録される「新しい憲法 明るい生活」は象徴天皇や国民の義務、総理大臣や国会、裁判等についてわかりやすく書かれており、これを読んでいると、如何に今日の政府が憲法を置き去りにして暴走乃至は迷走しているか、考えさせられるのではないでしょうか。
 まだ「新しい憲法 明るい生活」しか読んでいない者ではありますが、憲法改正にまだ明確な筋道が立っていない現代を生きる一人として、当時憲法普及に尽力した人々の想いにいま一度立ち返ってみたいと思うのであります。
 本書には上にあげた3種の小冊子の他、「大日本帝国憲法」と英文対訳「日本国憲法」の、いずれも全文が併載されている。こういうのが欲しかったんです……すぐ原典にあたることのできるような簡便な1冊が。
 『あたらしい憲法のはなし』は現代に於ける憲法入門の最適の、そうして必携必読の1冊と申せましょう。◆


あたらしい憲法のはなし 他二篇――付 英文対訳日本国憲法 (岩波現代文庫)

あたらしい憲法のはなし 他二篇――付 英文対訳日本国憲法 (岩波現代文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/09/19
  • メディア: 文庫




民主主義 (角川ソフィア文庫)

民主主義 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 文部省
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/10/24
  • メディア: 文庫




共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。