第3158日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第8話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 遂に5人が揃った。まだグループに名前はないけれど、今宵ここに葉月恋が合流して、5人体制のグループ活動が幕を切って始まった。
 第8話「結ばれる想い」は第3話に匹敵する神回と称すべきエピソードで、新メンバー加入エピソードとしては歴代最高の感動をもたらしてくれた。恋推しにはこれ以上望むべくもない記念回で、おそらく『ラブライブ!スーパースター!!』全エピソードを通してもっとも記憶されて然るべき転換点であったろう。
 もし録画している人がいて、過去回を保存していて、時間が許すならば、第7話と第8話は連続して観るのが宜しい。両方を合わせて1つのエピソードと捉えるのがいちばん自然で、かつ全体像も細かな仕草や台詞も有機的につながっていることに気附かされるだろうから。Blu-rayでもDVDでも1巻2話収録という原則が崩されなければ、この第8話は、第7話と一緒に収められるはずだから、リリース後に観直したって勿論構わない。
 昨日の予告編でも書いたように、観進めるうちに胸のうちが熱くなってきて、同時に心も目も潤んできて、5人揃っての初ステージ終了後の青空に浮かんだサブタイトルが映し出されるときには、もう涙腺は決壊してこれまで経験したことのない感激に打たれたことを改めてここで、ご報告しておきたい。うぅん、アニメを観てこんな風な気持ちに襲われたのって、映画館で『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』以来ではないかなぁ……なんだ、この対極っぷり。
 それはさておき、第8話は前回ラスト、葉月邸での恋の告白から始まる。ここで恋の母、葉月花が学校創立にかけた想いの一端が娘の口から語られ、門前にて「このことは他の皆には話さないでほしい。不安にさせたり、入学したことを後悔させたくないから」とかのんたちにお願いするのですが、まだこの時点で、全校集会での発言への反省こそあれ、それによってより深まった溝、音楽科と普通科の対立を融和させる打開策は、恋のなかにはなかったと考えてよい。それがための発言であったろう。
 絵里同様に恋は1人で抱えこむタイプであるようだが、絵里と決定的に異なるのは、絵里に於ける希のポジションに立つ人物が恋にはいなかったことだ。もっとも、創立から数ヶ月の新設校、できたてほやほやの生徒会とあってはそれも宜なるかな、というところではあるが。
 ──ああ、それにしてもチビという名の恋の飼い犬がかのんにばかりじゃれついて、懐き、別れを惜しむのはどうしたわけだろう。第9話の予告でも、かのんの背中にもたれかかるチビの姿が確認できる。かのんの頬に汗が浮かんでいること、スマホで自撮りしている様子が気にかかるけれど、想いはチビの一方通行のようである。動物を飼ったことのある人なら覚えがあるかもしれないけれど、どうもそうした人の体にはペットの匂いが染みついている様子なのだ。具体的な臭いとして残っている、という意味ではなく、動物の鼻にはそれが感じられる、という意味での臭いが染みついているというのである。
 むかし、10代から20代前半までウサギを飼っていたことがあった。庭に放し飼いしていたせいで、ミニウサギとしてはずいぶんと長寿を保ち、周囲の人々に愛され、また賢くかつワイルドに育った子であるが、それが身罷って翌年かその翌年か、白樺湖へ旅行に行ったとき、湖畔のレジャーランドで一頭のポニーをあやす機会があった。家族の者が他にいたにもかかわらずそのポニーは、わたくしにだけ懐いてきて、離れるときは数メートルと雖も後についてきたのだ。そんな経験を持っているがために、かのんがコノハズクのマンマルを飼っていることでチビは彼女に特に懐いたのではあるまいか。過去の経験から、そんな風に思う。
 脱線した。
 このあとかのんたちは対立が激化する普通科と音楽科の生徒双方への折衝を試みたがあえなく撤退、予想以上に溝が深いことを否応なくわれら視聴者も知ることになりました。部室で見えないトンネルの出口を探るかのんたちの前に現れた、恋。そこで恋の口から衝撃の告白が飛び出す──かつて神宮音楽学校には廃校阻止を目的に創部された「学校アイドル部」があり、葉月花が学校アイドルとして活動していた、そうして自分も入学したらスクールアイドル活動を通して結ヶ丘女子高等学校の存続を図るつもりであった、と。
 まさに「えっ!?」である。学校アイドル部のプレートの謎は解け、花がそこで活動していた裏附けも取れた。「えっ!?」とは恋自身にスクールアイドル活動を始める意思があったことに対してである。可可ではないが、「あんなに嫌がってましたですのに?」だ。
 にもかかわらず、恋はどうして自分でスクールアイドルアイドル活動をすることなく、むしろかのんたちの活動を牽制し、水を差すような行為を続け、その一方で独り彼女たちの活動を複雑な表情で見守っていたのか。
 自分で活動しなかったのは、花がなに一つ、当時の記録を残さなかったことから、活動そのものを後悔していたのではないか、と邪推した結果である。かのんたちを(本人の言葉を借りれば)「邪魔をし続けてしまった」のは、これはわたくしの想像でしかないが、「好きだから」「やりたいから」「歌いたいから」という気持ちだけで活動開始をすることのできたかのんと可可(クーカー)への憧れと羨望は隠しきれず、またそうやって自由に活動をして結果も出している彼女たちへの嫉妬も、同時にあったのかもしれない。
 葉月恋は、とんでもなく重いものを背負わされた生徒会長であった。絵里にもダイヤにも菜々にもない重圧を、葉月恋はその細い肩に背負って、周囲の誤解を甘んじて受けながらひたすら学校のために毎日を生きてきた。或る意味で恋は、殉教者である。母の想い、母への想いを支えにして、茨に覆われたと映る道を歩こうとした。
 が、それを救う存在が現れた。勿論、澁谷かのんである。かのんとスクールアイドル活動を共にする唐可可と嵐千砂都、平安名すみれである。彼女たちが手を差し伸べたことで、恋は救われた。見えないトンネルの出口を探していたのはかのんたちばかりでなく、恋も同じだったのだ。かのんと恋が出会ったことで物語は大きく動き始め、道は交わり、出口を示す光が彼女たちの視界に映ったのである。そうして彼女たちは1つになり、新たな一歩を踏み出した──。
 恋の心を動かした、全校集会でのかのんの台詞を、以下に引用する。12分38秒からのシーンである、──
 かのん;葉月さん、私から話したいことがあるんですけど。
 恋;澁谷さん……
 理事長;良いでしょう。壇上に。
 かのん;[壇上に上がり]……うう、すごい注目されてる……。
 [「神宮音楽学校アイドル部 Diary」と表紙に書かれたノートを、恋にささげて見せるかのん。マイクを手にして]
 かのん;さっき、スクールアイドル同好会の部室でこのノートを見附けました。この学校ができる前、ここにあった神宮音楽学校学校の生徒たちが書いたものです。その生徒たちは廃校の危機が訪れたとき、アイドル活動で生徒を集めようとしたのです。そのときの日誌に、こう書いてあります。──
 『学校でアイドル活動を続けたけれど、けっきょく学校はなくなることになった。廃校は阻止できなかった。でも、私たちはなに一つ後悔していない。[恋の前に進み、ノートを開く]学校が一つになれたから。この活動を通じて、音楽を通じて、皆が結ばれたから。最高の学校を作りあげることができたから。』
 恋;お母様……
 かのん;『一緒に努力し、一緒に夢を見て、一緒に一喜一憂する。そんな奇跡のような時間を送ることができたから。だからわたしは、皆と約束した。結と文字を冠した学校を、かならずここにもう一度作る。音楽で結ばれる学校を、ここにもう一度作る。それが私の夢。どうしてもかなえたい夢。』──
 [マイクを置く]
 かのん;この学校を作った葉月さんのお母さんは、音楽で結ばれることを望んでいたんだよ。この学校は、その夢をかなえるための学校。普通科も音楽科も、心が結ばれている学校。スクールアイドルはお母さんにとって、最高の思い出だったんだよ。
 恋;最高の……思い出……[回想/第7話冒頭:恋の母;恋、スクールアイドルはお母さんの最高の思い出! かのんがいうたように、後悔していた顔ではない][母の言葉を思い出して、泣きじゃくる恋]
 可可;[ノート内写真で恋の母が着ていたスクールアイドルの制服]これも、ノートと一緒に。
 恋;お母様……[受けとって]お母様……!
 [千砂都から始まった拍手が講堂に広がってゆく]
──以上。
 これをきっかけに、普通科と音楽科の間にあったわだかまりは、おそらく完全にではないだろうけれど払拭された様子だ。というのもこのあとに続く生徒たちのシーンは、学園祭の準備に双方の科の生徒が共にあたる場面であったり、学園祭当日のステージ運営に勤しみ成功を労う場面であったりするのだから。
 その象徴のようになった場面が、かのんが「普通科も音楽科も、心が結ばれている学校」というた際に映し出される生徒が、Aパートでかのんたちに物言いしていた生徒たちであるところ。かのんの話を聞く彼女たちのなかにはこのとき、改心というわけではないだろうけれど、過去の自分たちの言動を顧みることはあったのだろう、と想像する。案外とこのときに映し出された生徒たちが集会後、率先して手を取り合って、普通科とか音楽科とかの別なく学園祭準備に励むことで、他の生徒たちが団結して事にあたるようになったのかもしれない、と考えると、とっても幸せな気持ちになる。
 いずれにせよ、恋の想いは実った。これまで記憶の彼方にあって思い出せなかった幼少時に聞いた母の言葉──アルバムを見て、「スクールアイドルはお母さんの最高の思い出!」というたときの母の表情の晴れやかな様を思い出したことで、ようやく彼女は自由に振る舞うことができるようになったと思う。そのあとに続く理事長の台詞を思い合わせると(「なにもいわないでほしい、って、ただあの子が自分で決めるのを見守っていてほしい、って(頼まれてたんだから)」)、恋は実は母の想いという名の下に理事長の掌で転がされていたような感、なきにしもあらずなのだけれど……ね。
 そうしていよいよかのんによる、恋の勧誘の場面である。シリーズで何度も繰り返されてきた恒例のシーンであるけれど、やはりこのシーンがなくては始まらないところがある。これは穂乃果による絵里勧誘のシーンと共に、メンバー加入としてはベストスリーに入るものではないか。けっして恋推しとか『ラブライブ!スーパースター!!』贔屓の気持ちからばかりいうのではない。
 17分06秒からのシーンである、──
 かのん;葉月さん。ううん、恋ちゃん。[恋に手を差し伸べるかのん]一緒にスクールアイドル、始めませんか?
 恋;いままで、澁谷さんたちの邪魔をし続けてしまったわたくしに、そのような資格は……
 かのん;私、恋ちゃんと一緒にスクールアイドルとして歌いたい。この学校のために。いや、この場所で作られたたくさんの想いのために。
 [中庭で学園祭準備をしていた生徒たちの前で、かのんたち4人に歩み寄ろうとしていったん足を止め、逡巡する恋。←この場面、好き]
 千砂都;大丈夫、できるよ。
 すみれ;素直じゃないわね。
 可可;私たちはいつでもファインファインですよ。
 [涙を拭う恋。そよ風が恋の背中を押すように吹いてくる。よろける恋、よ改めて前を見、かのんの手を取る]
──以上。
 このあたりが神回認定の絶対的根拠。神宮音楽学校と結ヶ丘女子高等学校、2つの学校を結びつけた「たくさんの想いのために」、一緒に歌おう、とかのんは提案する。もはや学校存続という目的を大きく飛び越えて、時代は違っても同じ場所で紡がれた想いをここで、私たちが1つに結び付けよう、とかのんはいう。
 それは当然、葉月花の想いを汲んだものとであると同時に、ここで音楽を通じて生まれたであろう様々な想いを受け止める大きな受け皿としての、スクールアイドルアイドル活動である。このあたりが神回認定の絶対的根拠、そうしてシリーズ全エピソードを通して最高峰の、至高のエピソードと信じて止まぬ絶対的根拠だ。
 そうして第8話では遂に(こればっかりやな)、あのシーンが再現される。ステージ前の円陣と掛け声である。ここについては四の五のいうまでもないから、手っ取り早くそのシーンの会話を再現、引用しよう。19分43秒からのシーンである、──
 恋;入学希望者、増えるでしょうか?
 かのん;正直いうと、わからない。けど、やるしかない。信じるしかない。
 恋;強いのですね、かのんさんは。
 かのん;そんなことないよ。ただ、私ね。始まりの瞬間が好きなの。
 恋;え?
 かのん;そうだ、(かのん、ピースサインを前に出す。)
 恋;なんです?
 かのん;せっかくだから、やってみようと思って。
 可可;うわぁー、もしかして! やります! 可可、夢見ていました!!
 千砂都;うぃっす、じゃ駄目なの?
 可可;スクールアイドルですから!
 かのん;この学校を、歌で結んでゆこう。
 [構図そのままで舞台と衣装が変わる。学園祭のステージ直前である。]
 かのん;1!
 可可;2!
 すみれ;3!
 千砂都;4!
 恋;5!
 かのん;結ヶ岡女子高校スクールアイドル部、ソング・フォー・ミー、ソング・フォー・ユー、──
 5人;ソング・フォー・オール!!
──以上。
 こうして披露されたのが、〈Wish Song〉。第1話の〈未来予報ハレルヤ〉、第3話の〈Tiny Stars〉、第6話の〈常夏☆サンシャイン〉と来て、またしても神品というより他ない1曲が披露された。しかも歌詞の一節、「きみにはもう、涙は似合わないよ」。これ、恋にささげるにこれ以上はないぐらい相応しい一節ではないか。
 5人揃っての初めての歌となった〈Wish Song〉は恋をあたたかく迎え入れ、これまで頑なであり過ぎて凍りついていた恋の心を溶かす、雪解を知らせ、春の訪れを知らせる歌である。この場面でのかのんの表情が慈母の如くで、非常に神々しい。これからの5人の活動は大いに期待の持てるものと思わせる場面でもあった。
 どうしてもこれだけは、と、最後に触れておきたいことがある。円陣を組んだ際の、可可の表情と台詞「うわぁー、もしかして! やります! 可可、夢見ていました!!」である。
 本話は恋の加入までが前面に押し出されて、そちらにばかり目が行きがちであったが、可可のこの台詞を聞いたとき、そうして輝かしいまでの喜びの表情を目撃して、当然の如く思い至ったことがある。
 そうだ、この瞬間をいちばん待ちわびていたのは、待ち望んでいたのは、いちばん夢に見ていたのは、われらライバーではなく可可だったに違いない。上海にいたときから可可は、いつの日か自分がスクールアイドルアイドルを結成してステージで仲間と共に歌い、踊り、喜びと苦労を分かち合うことを夢見ていた子であった。
 そのシンボルが、彼女のなかではライヴ前の円陣と掛け声であったのだ。ようやく夢が実現したことを、可可はこの瞬間、大いに実感したに相違ない。だから、上に引いた台詞であったのだ……。忘れてはならない。『ラブライブ!スーパースター!!』というこの物語は、可可の純粋で一途な(時に暴走しがちな)気持ちと行動から始まったのだ。『ラブライブ!スーパースター!!』最大の功労者である可可に、神の愛と恵みを。
 ──次回第9話は「君たちの名は?」。いよいよグループ名が決まる。Liella! というグループ名が決まる。名附け親は誰か? プロジェクト・スタートから間もなくアナウンスされた名前の由来がそのまま劇中で披露されるとなると、名附け親は恋である可能性が非常に高いけれど、勿論、かのんである可能性も可可である可能性も、ある。申し訳ないが千砂都とすみれは、その役に就くことはないだろう。まずは来週の放送を待ちわびて、その発端と過程を楽しもう。
 予告では既に恋は、普通科の制服を着ていた……これまでの確執を過去のものにするため、格差意識の象徴ともいえた音楽科の制服を撤廃して、普通科の制服に統一した? それとも単純に、千砂都同様恋も普通科に転科してきた? 音楽科の廃科はまずあり得まい。こちらも来週のお楽しみ、か。
 メンバーが5人揃った以上、次週からは「ラブライブ!」エントリーに向けての、いわば第2章の始まりとなることは必至。いよいよである。途中でμ’sやAqoursが言及されたら嬉しいね。◆

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