第3420日目 〈世にはびこる心霊動画を観すぎて食傷気味のわたくしが、今日ここでお話ししたいこと。〉 [日々の思い・独り言]

 好きでよく観ていたCSの番組に、心霊動画/心霊ドキュメンタリーがある。エンタメ〜テレやファミリー劇場、ディスカバリーチャンネルやヒストリーチャンネルの番組表を眺めていると、否応なく目に入ってくるのだ。
 『ほんとにあった呪いのビデオ』や『心霊闇動画』、『北野誠のおまえら行くな。』、『戦慄トークショー 永野が震える夜』、海外だと『世界10大ミステリーを追え!』や『潜入! 世界の心霊スポット』とかね。他にも事故物件探訪や『ほんのろ』の亜流番組、心霊ドキュメンタリーという名の行き当たりばったり的なドラマ仕立ての番組などなど──。
 好きでよく観ていました。その時間帯で他に録画予約している番組がないときは予約して、後日呵々大笑しながら感傷に耽った。もうね、全く以て怖くない。〈文法〉がわかってからは尚更。
 文法は〈定石〉ともいう。即ち、──
 カメラが横パンもしくは縦パンして戻ったり、画面にノイズが走ったあとは、そこになにかがいたり、不可解な音/声が記録されている(とされる)可能性はほぼ100%です。映し出された何かに気が付くのは撮影者だけで、かれ/彼女は直後、叫び声をあげて、カメラは床へ放られます。ごく稀にそれを覗きこむ不届きモノがあるのはご愛敬。
 貞子へのオマージュがあの世でも行われているのか知らぬけれど、出て来る女性の霊は大概白装束に長い黒髪で、最初はうなだれているせいで顔は見えません。稀に伽椰子・俊雄母子モドキも登場するから、そちらのファンは安心してくれ。
 ネタに詰まったのか新機軸を狙ったのか、向こうから女の幽霊と紹介される役者さんが雄叫びを挙げながら撮影者一行を目掛けて走ってくることもある。しかも影附き。走る足音、草を踏む音、等々すべて込み。なんだよ、この人、生きてんじゃん。
 投稿者や映像の関係者たちにインタヴューしたあと、その人たちの誰かが8割ぐらいの確率で姿を消したり、悲惨な事故に遭ったり、或いは亡くなっています(自死を含む。勿論、番組上の演出です)。な、なんというご都合主義的展開……。これまで何百人の関係者がナレーションだけでこの世から葬られたんやろ。『ダーティ・ペア』も真っ青じゃ。
 番組スタッフは走る、罵倒する、殴りかかる、恐喝する、侵入する、郵便物を漁る、近所に聞きこみを敢行する、場もわきまえずに詰問する。時に失踪し、事故に遭い、ストーキングされる。殆ど違法すれすれの行為がパッケージソフトになって堂々と罷り通るのは、それが仕込みでありお芝居であり、大雑把であっても筋書きが存在しているから。
 などなど、などなど。
 ──実はなにも映っていなくても、そこに心霊現象が映りこんでいる、とこじつけられることもある。人間の心理現象を巧みに突いた(否、それ程でもないか)技術の勝利といえるか。一々を真面目に、冗談もわからぬ苦虫噛みつぶした顔で検証してゆけば、斯様な例証は枚挙に暇がないだろう。なんだかつまらないけれどね。加工の痕跡を消す努力を惜しむな、ということでもあります。
 なんというかですね、先が読めてしまうのですよ。たとえば『ほんのろ』も10番台と20番台の巻にはガチヤバ級の心霊動画が収められて、初見以来ずっとこれが流通したままで平気なのかな、と他人事ながら心配しているが、それはさておき。
 ときどき、この手の番組を怖くて観られない、と曰う方に会いますが、どこが怖いのだろう。怖いかなぁ……? ではそんな方のためにわたくしが特別に、この手の番組を怖がらずに観る方法を伝授しよう。えっへん。
 まず、視聴する時間帯は、朝5時頃がベストだ。スズメがチュンチュン鳴き、カラスがカーカー鳴き、早い家では雨戸が開き、新聞配達のバイクがそろそろ配る新聞も終わりが見えてきた頃。そんな時間帯に、目蓋が半分落ちた目で番組を観てごらん。正直、イライラしてきますから。勿体ぶってないでさっさと恐怖の本体を拝ませろや、とね。
 ついでにいえば、そうして観終わったあと恐ろしいぐらいになにも残らないことに愕然とするはずだ(或る意味、これがいちばん怖いかも)。いまの時間、なんだったの? と。
 次の方法は録画した場合にのみ有効だが、一旦早送りして最後まで観たあとでもういちど最初から観る。さあ、これで次の展開はわかっているのだから、なにも怖がる必要はない。──咨、ただカップルで観て震えあがりたい方々にはお奨めしない。そのあとに控えている褥の睦が主目的なのだから、わざわざここで疲弊する必要はないし、真面目に画面へ目を向けている必要もない。勝手にやってけろ。
 先程の時間帯の話にも関係してくるが、よくわたくしはその時間に、コンビニで買ってきた有名ラーメン店が出しているラーメンを食べていた(二郎系が多い)。要するに、飲んだくれて朝帰りになったが、すぐに布団に潜りこむのも「なんだかなぁ……」というときには格好の暇つぶしに、こうした心霊動画番組を観ていたのだ、うん、ラーメン食べながらね。──番組関係者がこれを読んでいたら、不埒な鑑賞方法を謝りたいが、かといって改めるつもりもない。
 なぜ改める気がないか?
 それは、──
 もう、わたくしはこの手の番組の視聴を卒業する。潮時だ。ちかごろ身内が入院したり、病気が発見される、ということがしばしばある。むろん偶然であり、また生きていれば必定のことと承知しているが、続いてしまうとわが身を顧みて原因を探ってしまう……火事のときもそうだった、テロ現場に居合わせたときもそうだった。当然、今回も──。
 為、好きでよく観ていたが退き際を探っていた心霊動画番組の類の視聴を、この機会に卒業する。なんかね、厭なのです。霊障とか因果とか、そんなことを意識の片隅で考えてしまうのは。
 モキュメンタリーとの付き合いはこれでピリオド。さらば、茶番劇。◆

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