第3600日目 〈念頭に置く読者、について。〉 [日々の思い・独り言]

 「読者の存在を忘れるな」、「読者を意識して書け」……まァ、よく聞かされる話です。「読者のことを考えないで書かれた文章は、絶対に読まれない」……いやいや、耳の痛い話です。
 物を書いてお金をもらう。これがプロの物書きの定義ならばわたくしも、長いことプロとして食ってきたことになる。専業でいた時期もあれば、副業で続けてきた時期もある。ああ、後者の方がずっと長いか。
 そんなわたくしの問題点は、あまり読者を意識していないこと。これに尽きる。
 よく四半世紀以上も物書きでいられた。仕事をくれる編集者には本当に感謝しきり。とはいえ、毎回毎回、読者を意識せずなわけでは無い。そんなことしてたら疾うのむかしに廃業、もしくは失業していますよ。呵呵。
 無報酬の本ブログに於いても、(正直なところ)あまり読者は意識していない。いいたいことをいい、書きたいことを書いているだけである。公開された日記、というのが実態に近いか。
 そんな風にあまり読者を意識していない本ブログであるが、それでもわたくしの脳裏にはいつも3人の人物がいる。その人たちを話し相手に想定して、趣旨が通じるか、選んだ言葉や表現にまだるっこしかったり引っ掛かりを感じさせるようなことがないか、などして書いている。気持ちよく会話が終わればこちらの勝ち、相手が納得したり「よくわかった」と返事してくれたらこちらの勝ち、時に論破を試み成功したらばこちらの勝ち、である。
 実話怪談を書いているHさん。しばらく一緒に仕事をした年少のNさん。これがいつだってわたくしが心に描いている読者だ。それはむかしもいまも変わらぬ愛だと思うていただきたい。むろん、話題によって念頭に置く読者は変わってゆくが、それを書き始めたらキリがない。
 かつて永野護は、『ファイブスター物語』の或るエピソードはたった1人をやっつけるために描いた旨『NewType』誌のインタビューで答えた。……わたくし? やっつけるつもりは勿論、誰に対してもないけれど、たった1人を念頭に置いて書き物をすることはある。そこに愛が息づいているならば、そんなやり方も1つの方法だろう。◆

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