第3704日目 〈趣味の問題、生理の問題。──近松闘争について。〉 [日々の思い・独り言]

 近松闘争は既に幾度も起きている。迎えるか、拒絶か。その争点は、対立双方の生理に求められる。好むか否か、だ。是非にも迎えるを望む男と、断固それを拒んで視界に入れたくない女。
 数次にわたる近松闘争は、常に不毛な空気を孕んで、都度両者の表面上の和解で幕を閉じる。歩み寄っても双方の間に火種として燻る以上、闘争は終わらない。おそらくはよくわかっている。
 これまでお目にかかったことのないようなお値打ち価格でいま、『近松秋江全集』全十三巻(八木書店)が売られている。秋江にそこはかとない愛着を抱く男と、その作物に生理的嫌悪感を隠さぬ女の、今回で何度目になるかの闘争だ。
 置く場所ではなく、趣味の問題である。克服できぬ、妥協点すら見出せぬ、折り合い付くこと至難の生理の問題である。
 双方が完全合意する日は来るか。男がすっぱり諦めるにしても、女が三行半をチラつかせて翻意を迫るにしても。
 どうする、男? どうする、女?◆

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