第3712日目 〈あの世界への鍵をなくした男の話。〉 [日々の思い・独り言]

 ラヴクラフトが友人諸氏へ宛てた書簡から、ダンセイニ卿について触れた箇所を適宜訳出した自費出版本を今日、受け取った。巻末底本一覧に拠れば、アーカムハウス刊『Selected Letters』全5巻からではなく宛名人毎に編まれた書簡選から訳出したようだ。
 まだぱらぱら目繰った程度に過ぎないが、きちんと読む日の訪れがいまから楽しみである。これだけまとまった形で、ラヴクラフト・トーキング・ロード・ダンセイニが日本語で読める機会はないから、その意味ではとても貴重な一冊といえるはず。感想等は別に認めるが、まさか初っ端から校正ミスに出会うとはおもわなんだ。
 ちょうど部屋の片附けをしていて、ダンセイニ卿やラヴクラフト・スクールの作家たちの翻訳や原書、或いは研究書を詰めこんだ棚の整理へ取り掛かろうとしていた矢先これが届いたのは、一種の僥倖だと思うことにしたい。
 先日、何年も前に書いた(実際は、書きかけた)友人への手紙の下書きが出てきて、懐かしく読んだ。レポート用紙10枚以上に及ぶ、わたくしの幻想文学遍歴を綴った手紙である。読みながら嗟嘆せざるを得なかった。幻想文学への愛着と執着は当時から既に薄れかけていたのに、それを読んでいる〈いま〉は更なる拍車がかかり、近頃は省みることも甚だ少なくなった。だんだん、その世界、その雰囲気に入ってゆくのが難しくなっているのを感じる……『銀の鍵』のようだ。
 ゆえに夢中になって読んだ偏愛の群れもいまや事実上の場所塞ぎと成り果てている。それでも好きな作家の翻訳を見附けると、矢も楯もたまらず買いこんでしまうのだから、なんとも未練がましい自分である。最後に読んだのは……マンビーとオニオンズだったな。
 余命宣告されたわけでないし、終活に取り掛かっているわけでもない(あれ? 以前「終活始めました」みたいなものを書いた覚えがあるけれど……まぁいいか。時は流れる、のだ)。が、最近は、二十歳前後に書き継いで結局残り1/3という辺りで書くのを止めてしまったHPL論……恋文、というが相応しいようなエッセイの集まりである……や、未完の『世界幻想文学講話』を書き継ぎ推敲して遺してゆきたい、と夢想してもいる。やり残したことを仕上げる作業に、この分野に関しては取り掛かりたい。そう倩思うことが多くなったのだ。
 まずは前述した、友人に宛てて中途で止した件の手紙を完成させる。加除修正・推敲して、本ブログでお披露目する(許可は得ている)。それが、始末の最初になるかな。まったく、昨日の今日で忙しい話です。◆

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