第3720日目 〈フラウィウス、揃う。〉 [日々の思い・独り言]

 幾度も幾度も迷うた果てにフラウィウス・ヨセフスの著作が、想定していたよりも低い価格で揃うたことを報告し、祝い寿ぎ、後の戒めとしたい。
 既にちくま学芸文庫版『ユダヤ戦記』と『ユダヤ古代誌』をネットで購入したことをお伝えしてある(第3702日目、第3707日目)。また、その後については第3713日目でさらりと触れた。本稿は、いわば後日談だ。
 文庫で読めるヨセフスの著作を、本文ならびに訳者の文章を流し読みしているうち、やっぱり……と考えを改める事態になった。エウセピオス『教会史』と同じく『戦記』も『古代誌』も固有名詞の表記をより一般的なものへ改めてあるのみならず、いろいろな点でやはり元版となる山本書店版『ユダヤ戦記』と『ユダヤ古代誌』を手許に置いておく方がよい、と結論したのである。
 ちくま学芸文庫版と同じ時期に購入を迷った山本書店版『ヨセフス全集』全巻揃いはその時点で未だ誰に買われることなく残っていたけれど、送料を含めれば10万円近くとなれば今回もまた(早々に)諦めるにはじゅうぶんな理由となった。神の恩寵というてよいか、偶々同じ頃に全集諸作がバラ売りされていて、それらを個別に購うても件の全集揃いの半分の金額にもならぬのが判明したことも大きい。
 斯くして一時的な可処分所得増に恵まれて、然れど慎重に状態と金額(送料含む)を比較検討して、まずは『ユダヤ古代誌』全十一巻と『ヨセフス研究』全四巻を、次に『自伝』と『アピオーンへの反論』を、最後に──注文済みと思いこんでいて実際はそうでなかったと気附いた『ユダヤ戦記』全三巻を注文、振込を済ませて……二日と開けずにそれらが届けられたのは嬉しかったけれど、流石に置き場所の確保は困った!
 お断りしておくと、実は『自伝』と『反論』はそれぞれ独立した山本書店版ではなく、2020年05月に青土社から合本で復刊された一冊である。訳文に修正が施されており、訳者のあたらしい解説を付してある。これらに限って山本書店版を選ばなかったのは、既に図書館で青土社版を手にして読んでいたのと、こちらの要求を完全に満たす『自伝』と『反論』が売られていなかったからだ(帯附き書込みなし、濡れ皺やブレなし。経年劣化に伴うダメージは許容範囲、但しヤケは程度による)。後者の理由──条件をクリアしていない『自伝』と『反論』を除いていったら山本書店版はみな消えてなくなり、青土社版だけが残った、という次第──。
 床に積まれたハードカバーのヨセフス著作群を、鼻の下をだらしなく伸ばして眺めている。聖書やユダヤ教/キリスト教、古代オリエント史とローマ帝国史を勉強してゆく際の基本文献を、日を経ず揃えられた幸福(と奥方様の愛ある理解への感謝)のゆえに。
 今後勉強するのがどんな分野であろうとも、良質のテキストと基本的な参考文献──辞書をはじめとしたレファレンス・ブックは手を尽くして状態の良い、場合によっては能う限り最新の版を(が、常に新しく出版されたものがモア・ベターでない点に注意)、あまりお金をかけることなく自分のまわりへ侍らせるようにできれば良い。時に必要となろう息抜きのためにその分野の(軽い)読み物も用意できれば、なお好い。
 いまのわたくしにこれを当てはめて、聖書・ユダヤ教/キリスト教、古代オリエント史/ローマ帝国史に即していうならば、……次は死海文書となる。ディック『ヴァリス』に淫してそれを知って爾来三十年余の時を隔ててようやく、死海文書それ自体へのアプローチである。
 まずは日本語訳のテキストだがこちらについては既にアタリを付けてある。問題は参考文献なのだが……図書館で端からあたっていって、自分に合うものを見附けるより外にない。が、それも時間がかかりそうなので、取り敢えずは手持ちの三冊を徹底的に読みこむことに専念するのが吉であろう。
 勿論、並行してヨセフスもぽつぽつ読んでゆきますよ、ハイ。◆

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