第3723日目 〈ガンジーからKipper少年へ。〉 [日々の思い・独り言]

 ラダー・シリーズLV1『ガンジー伝』(The Gandhi Story by Jake Ronaldson)を読み終わった。途中ちょっと日が開いたので一念発起、最初から最後まで、生理現象を除いて中断することもなく半日を費やして。
 嘘偽りなく、『ガンジー伝』は面白かった。
 世界史や倫理の教科書の記述以上のことは知らなかった〈インド独立の父〉ガンジーの生涯、理念、行動、勇気について識ることができたから。易しく書かれたとはいえそれを英文で吸収することができたから。それによって面白さはより増して、自分のなかにしっかり刻みこむことができたから。
 白状すれば、ワードリストに頼ったのは十回や二十回じゃ利かない。いまではそれが却って、良かった、と思うている。「わからなければ飛ばす」が英語多読の原則(の一つ)とはいえ、単語がわからないからとて飛ばす箇所が多ければ、伝記やノンフィクションと雖も内容を摑むことなんてできまい。だったら一回(一冊)くらいは開き直って、徹底的にワードリストを使い倒して「訳せないけれど、わかる」(繁村一義・酒井邦秀『英語多読』P75 アルク 2018/07)状態に自分を持っていってしまった方が、後々のことを考えれば遙かに楽ではないか。
 ともあれ、一冊を読み切ったときの達成感と高揚感は、よく知らなかったモハンダス・カラムチャンド・ガンジーの生涯に通じることのできた満足と相俟って、なににも代え難い悦びをわたくしに与えてくれたのである。

 それを祝い寿ぐのが本来かもしれぬ。が、実は、そんな気分にはなれないのである。
 斯くの如く『ガンジー伝』を読み終えて意気軒昂と次の本(Run, Melos, Run by Osamu Dazai)へ向かおうとして、踏み留まった。──も少し易しいものを、多量に読んでみたいな。
 そこで脳裏をかすめたのが、古川昭夫他『英語多読入門』だった。購入動機の一つでもあったのだが、本書第3章「英文を実際に読んでみよう」は多読の初期段階の人へオススメのシリーズから一冊、もしくはその一部を載せており、どの物語を自分は読める、読みやすいと感じたかによってその後の読書の指針を得られるようになっている。
 たとえば最初の「The Jumble Sale」はYL(読みやすさレベル)は0.3、総語数81語のLeveled Readers(LR)で、Oxford Readers Tree(ORT)のStage3の一冊。古物市に不要品を出品したKipper少年と家族にフォーカスした日常系エピソードが、シンプルな英語の文章とユーモラスなイラストで綴られている。
 次の「It’s Natalie Nevada!」はYL0.6、総語数5,300語のGrated Readers(GR)で、Building Blocks Library(BBL)のBBL5の一冊。憧れの歌手Natalie Nevadaが町にやって来るのを知った少女Amyがレモネードを作って販売したお金でチケットを買おうと奮闘する、Self Helpと友情のストーリーである。
 両方とも、一読すぐにストーリーも台詞もわかる一篇だ。でも、どこかで(全部ではないが)日本語の文章に置き換えている自分がいる。けれども──二回目、三回目、と繰り返し読んでいると、英語を英語のまま(なんの疑問もなく)読んでいることに気附き、日本語に置き換えるのではなく「あ、英語だとこういう表現になるのか」と合点している自分を発見したのである。同じ表現、同じ単語に何度も接しているうちに、そんな「わかった」体験を積み重ねていたのだ。
 『英語多読入門』第3章には上記二作以外に、冒険物語「The Cave」(FRL LV2)、「The Sheep Station」(FF LV8 ──下から二番目のレベル)、「Hotel Casanova」(chapter 1-2 CER LV1)、「The Three Musketeers」(chapter 1-2 MMR Beginner Classics ──『三銃士』!)が収録されており、嬉しいことにこれらを朗読したCDが付録についている。
 上述「The Jumble Sale」を収めたOxford Readers Tree(ORT)は、Kipper少年一家を中心に据えた日常系エピソード(Stage1-4)と、Kipperと飼い犬Floppyを中心にしたファンタジー風味の冒険物Magic Keyシリーズ(Stage5-9)がある。そのStage1はwordless、つまり表紙にだけ文字があって物語自体はイラストで展開される絵本になっていて、読んでいて(見ていて?)とても愉しい。洋書を扱う大きな新刊書店にて6冊パックで売られている。こちらについては多少なりとも思い入れがあるので、後日改めて述べことに決めている。
 
 いまはつくづくしみじみ思う、過去の栄光その残滓を潔く振り捨てて、英語の多読を始めてよかった、と。
 これは来年秋からを予定しているシェイクスピア読書マラソン、今後の聖書読書は勿論、ありとあらゆる場面でその効果を発揮するはずだ(いや、別にシェイクスピアの戯曲を原語で読もう、と企んでいるわけではありませんが……)。
 しばらく虚心坦懐に多読に耽り、いつか再び──多読を始めるそもそもの原因となった─Ursula K. Le Guin『VERY FAR AWAY FROM ANYWERE ELSE』が昔のように読めたら、こんなに嬉しいことはない……勿論ホームズもキングもエミリもね。あと、レスターの怪談集も。◆



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