第2568日目 〈初めての店で買い物(ネット通販)したら、大満足な結果で終わりました。〉 [日々の思い・独り言]

 旧国名を屋号に冠した店で本を買った。インターネット通販のそのサイトを覗いていたら、現物を見ること年に一度ありやなしやでオークションサイトや古書店のサイトに出品されれば絶版ゆえに高値が付く、大好きな漫画家のコミックスが安価で売られているのを発見したのだ。しばし検討の後、その漫画家が連載していた少年誌の創刊40年を記念した特別号と江戸川乱歩の『探偵小説四十年』上下を一緒に購入した。
 その直前にブックオフ・オンライン(以下BOL)で購入した文庫が、外からもはっきり判別できる程の<イタミ>──ヌレとシワ、ヤブレてふ三拍子揃った状態で送られてきたことに呆れ果て、交換か返品・返金いずれかを求めるメールを出したら対応するカスタマーサービスの凄まじき恫喝、上から目線かつ投げやり対応に落胆してここに代わる通販サイトを探していた矢先に出会ったのが、冒頭に述べた旧国名を屋号に冠した店のサイトだったのである。勇を鼓してここで買い物してみようと思うたのは、勿論好きな漫画家のコミックスが売られていたこともあるが、と同時にこの店のレヴェルを見極めるといういやらしい理由もあった。が、それを見極めずして買い物なぞできるものであろうか。否。
 さて、BOLのシステムに馴れた者にはそこからが長かった。注文確認のメールが来たはいいが、発送や支払いに関するメールは待てど暮らせど送られてこない。もしかすると多量の迷惑メールや不要メールに混じって削除してしまったのか。確かめようにも<ゴミ箱>にはもはやそれらのメールは一通たりとも残っていない。不安に駆られてそこのカスタマー・センターに電話したら、BOLのように一拠点でなく各店舗にて在庫管理が行われているので、商品がすべて揃った時点で支払いやその後の発送にまつわるメール連絡がされる由。それを聞いて安堵した。けれどもその一方でこうも思うた、最初のメールにそれを書いておいてよ、と。
 さりながら当面の懸念は去った。あとは待てばよい。そうやって日が過ぎ、一週間ばかりが経った或る日、待ち望んでいたメールが来た。曰く、商品は全点揃った、状態に支障なし、ついてはいついつまでにどこそこの口座へこれだけの金額を振り込まれたし、入金確認後は早急に発送手続きを行い貴兄の許へお届けしよう、と。そうして指定された口座へお金を降り込んだのだが、今度はそこからがまた長く感じられ……1月末日。ようやっとそれは到着した。購入のクリックから約10日。もうちょっと経っていたかな。
 なお、これは2回目の買い物で経験したことだが、発送準備完了のメールから一定期間入金するのを忘れていたりすると、所謂督促のメールが送られてくる。いついつまでに入金が確認できなかったら今回の注文はキャンセルさせてもらうぜベイビー! って趣旨の。ここまで軽い文章ではないけれどね、誤解する人がいるかもしれないから念のため。
 到着した段ボールを、なんとなく左右に振ってみる。カサともゴソとも音がしない。過剰なまでの隙間埋めがされているのか。どんだけの緩衝材を詰めたんだ。そんな風に思うても仕方ない程に、微塵も中身が動く形跡はなかったのである。開梱前から溜め息を内心で吐いてしまったが、気を取り直してカッター片手に開梱作業。そうして箱を開けた目に飛びこんできたのは──あのお馴染みの緩衝材たち……丸められた新聞紙や油紙、円柱形のビニール・クッションや色を塗ったら遠目にはスナック菓子と偽ることもできそうな小指程の大きさの発泡スチロールなどではなく、段ボール箱の底と同じサイズのボール紙の上に一段が均一な厚みになるようにして重ねられた本があり、それら全体をわずかのズレもないラップ包装が施されており。倉庫で梱包に携わった経験のある方なら実感されることだろうが、複数の商品をズレたり傷附けたりすることなく(たとえば本なら縁が曲がったりしないように)ラップ包装するのは技術が必要なのである。まぁ、1日で習得できてしまうような技術だけれどね。加えて乱歩については、これが店舗在庫だったのだろうか、2冊共に丁寧にビニール封されており、管理カードが入ったままである。管理カードを抜かずに送られてきたのがルールなのか人為的ミスなのか定かでないが、この梱包の丁寧さにはびっくりし、感動し、ひとえに嬉しかった。一回一回の作業に手抜きがなく、心配りがされていて、ブックオフ・オンラインのように機械的なスピード重視品質低下の流れ作業に堕していない証しといえよう。
 わたくしがBOLについて斯くまでいうのは、エンド・ユーザーとしてのみならずそこで働いて出荷に携わっていての実感と反省に基づくものである。とまれ、今回の、ここでの初めての買い物はじゅうぶん満足できる結果に終わった。
 ここがBOLと大きく異なるのは、取り扱いジャンルの傾向がサブカルに重きを置いており、従って商品も書籍や音楽・映像ソフトのみならずフィギュアやトレーディング・カード、AV機器、同人誌や同人ソフトなどなど多岐にわたる。このあたりはまんだらけと同じと思うてよいか。もっとも、まんだらけでは乱歩はともかく、内田百閒の随筆や田中阿里子の歴史小説が取り扱われることはないと思うけれど。
 前述の文庫の一件があるまで、わたくしはBOLに相応の信用を置いていた。が、それは本来ならば出荷する以前に入庫させるべきですらなかった商品を、検品を疎かにして発送したことで(ちなみにそれはサイトのガイドラインにも同様の趣旨が明記されていて、またスタッフの研修に於いても徹底されているはずなのだが)地に堕ちた。カスタマー・センターの担当者の対応がそれに拍車をかけた。一事が万事である。
 信用失墜しようが先方にはわたくし以外の顧客が何十万といることだから屁とも思わぬだろうが、BOL以外の買い物先を探す必要が今回生じたことで、もとより屋号のみは知っていたその店で今回不安混じりの初めての買い物をしてみた。これは大当たりであった、と報告しておく。取り扱いジャンルの傾向とわたくしの嗜好が大なり小なり齟齬を来していることから、一ヶ月に一度程度利用すれば上等といえるが、今後も折に触れてここで買い物するであろうことは確かである。初回の満足はその後も継続されており、一度限りの奇跡ではない、とわかったからだ。
 その店の屋号は、駿河屋である。◆

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