第2768日目 〈あまりに熱量ある青春の残滓に接して、みくらさんさんかは涙する。〉 [日々の思い・独り言]

 むかし使っていたレンタル倉庫から取り出した荷物が、ダンボール箱で数箱分ある。内容物が箱の表面に記入してあるのでそれを信じて開けてみると、なんということか、まるで違うものがそこから出てきた──。
 箱の中身は、これまで書いたエッセイやレポート、論文、小説、覚え書き、短歌、戯曲、等々。古いものでは中学2年の作文に始まり、いちばん新しいところで1990年代後半に認めたレポート類となる。
 なつかしさとよろこびでに胸が張り裂けそうだった。擬古文で書いた恩師の追悼文や本ブログの原形といえるような放談、能楽や上田秋成にまつわる文章など古典文学関係の書き物があとからあとから出てきたのだ。1つ1つを丁寧に読んでいる時間はなかったのだけれど、そのどれに目を通しても当時の思い出が鮮明に浮かんでくる。研究職に就くことを望んで動いていた時分であるのも手伝って、斯様に多量のエッセイや論文が残されたのだろう、といまや当時の残滓すら欠片も持たぬいまのわたくしは顧みて斯く分析する。
 いやぁ、しかしよくこれだけの量を書いたなぁ、とわれながらその生産力に感心してしまう。日付を確認すると、1990年代前半から中葉にかけては自主的に書いたものが、ほぼ2週間に1編の割合で書かれている。内容が精読や調べ事を踏まえてのものになるから、或る意味でこの2週間に1編の割合で書かれたエッセイは、たとい短いものであったとしても、体力と知識欲に満ち満ちていた若き日ならではの作物といえよう。
 遅まきながら訪れていた青春の墓標に接して、いまの自分の零落ぶりを落涙を禁じ得ぬところである。
 ……箱に記入された内容物と、実際の中身が違う、というところから本稿は出発した。開梱した1箱目からこの為体では、他の箱も疑ってかかるべきかもしれない。この1箱のみが、他とは別の場所に置かれていたので、逆にこの箱だけが例外だ、と思いたいのだが、果てして……?◆

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