第2769日目 〈ナイトキャップ代わりに、東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』。〉 [日々の思い・独り言]

 前途を暗くするような案件を2つ、個人的に抱えている。1つは争続、1つは転職。あら、韻を踏みましたね。それはさておき。
 やるべきことが多くて、あっという間に1日が過ぎ去り、自分のことが殆どできない、という有り様。言い訳ではなく、本当のこと。本を読む時間は今年でいちばん少なく、精々が1時間程度だ。ゆえ、太宰治『二十世紀旗手』もようやく4本目の「創生期」に入り、でもこれ結構好きかも、と思いつつページを繰っている。が、それは毎日ではない。就寝前のナイトキャップ代わりには東川篤哉の代表作、『謎解きはディナーのあとで』を1作ずつ、こちらは毎晩読んでいる。
 東川篤哉の本書は親本を以前の勤務先の同僚から借りて愉しく、新幹線のターミナル駅にあるスターバックスで読み耽ったのが、良い思い出だ。当時はまだドラマ化前だったので脳内キャスティングを勝手に試して面白がっていたが、当初櫻井翔と北川景子という配役には、小首を傾げてしまったのだ。微妙に的外れな気がしてならなかったからだ。
 当初、わたくしが読みながら思い描いていたのは、影山:玉木宏、宝生麗子:松井玲奈だったのだ。(当時の)総大将玲奈ひょんに関しては逆に周囲が「え?」と困惑する側だったのだが、その後、『ニーチェ先生』や『神奈川県厚木市ランドリー茅ヶ崎』での演技を見れば好配役であったことがおわかりいただけるだろう。勿論、当時のわたくしの配役の主たる根拠となったのは寧ろ、『マジすか学園』と『SKE48のマジカル・ラジオ』だったのだが……。
 個人的配役も実際の配役も、どちらもけっして悪くない、と譲らぬわたくしだが、そのあたりはさておき。
 なんだろうな、この、サクサク読み進められて、キャラクターは皆適度に常識的でいながらその実相当な序婦式外れで、出来する事件は一件一筋縄で行かぬように見せかけながらその実問題編となる箇所をじっくり読んで推理すれば概ね名探偵・影山執事とほぼ同じ結論に辿り着ける論理と不合理のギリギリの一線に踏み留まる内容で、そうして後腐れなく気持ち良くエンディングを迎える、ミステリ小説を読む快感を堪能できる作品のクオリティの高さは。あれだけ売れまくっていまなお版を重ね、新しい読者を生み出している現実に納得できる。
 喜ばしいな、斯様な良き就寝前の小説があることは。今日、CMでおなじみ某新古書店でもていなかった第3巻を購い(なかなかこの巻、110円コーナーには落ちませんあぁ)、いつ第2巻が読み終わっても安心できる状況は作り出した。
 むろん、松本清張を忘れたわけではない。『西郷札』を読もうとベッドの宮台に手を伸ばしたら、間違って第1巻が手に触れて、戻すのも面倒だからそのまま読み始めたらすっかり夢中になってしまい、いっそ全巻読んでから清張に戻ろう、と思っただけのことである。
 信じていない人、いる? あ、やっぱりいるよね。読者諸兄よ、あなた方に幸いあれ。◆

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