第2912日目 〈忖度を蔑ろにしたしっぺ返し - 未来をつなぐために為すべきこと。〉 [日々の思い・独り言]

 時間をかけて作りあげた関係を自ら壊すなんて、なんて愚か者だ俺は。
 7月に出逢って、その日に恋に落ちた。一目惚れだった。でもこんなことは、過去に何度もあった。今回もそうだろう。が、一方でこれまでとはなにか違うと感じてもいた。
 具体的にどのタイミングでこの気持ちが本物とわかったのか、定かでない。気附いたら、一目惚れで始まったかりそめの恋が深く相手を想うそれに変質していたのだ。
 顧みると兆候は確かにあった。先月末の祥月命日は別として、ほぼ欠かすことのなかった月命日の墓参を7月以後、一度もしていなかったのだ。交際相手がいた頃でも月命日には墓前へ足を向けていたのに、今回はただの一度も行っていない。意識に浮かぶことすらなく。
 これがどれだけ大きなことか、おわかりいただけるか。婚約者逝ってから32年、ずっと心のなかにあり続けた影を、27歳年の離れた女の子がいとも簡単に消し去ってみせたのだ。凄い。
 しかし、それに気附いた瞬間から、不安と苦しみと喜びが綯い交ぜになった毎日が始まる。好きという気持ちを表に出さぬよう努めながら接するのは、辛い。もっともっといろいろ話したり彼女のことを知りたいのに、それを口に出せずにブレーキを掛けている。わたくしは大人というよりも老人だ。ハンス・ザックス気取りの、ただの臆病者。
 そんな風でもこの4ヶ月半でそれ相応の関係はできあがった。プライヴェートについてもパーソナル・ヒストリーについても、業務中にときどき交わす会話や業後のお喋りのなかで教えてくれた。勿論、わたくしも自分のことを。でもまだわれらは互いのことを、十分には知っていない。
 先週、彼女を食事に誘った。返事は、かならず是非、と。これまでにも何度か帰り際、今度飲みに行きましょう、はい行きましょうね、という会話はしていたけれど、かならず、とは今回初めて登場したワードである。
 なお、アルコールからご飯に眼目が変わったのは、彼女が現在網膜下出血をやっており、飲酒原因の可能性ありとてアルコール断ちしている、そう話していたことに起因する。
 この食事の誘いが冒頭の「自ら壊す」につながる。いくらシフトがなかなか合わなかったとはいえ、誘ってから1週間後のことである。2回目の同シフト、2人シフトとしては初めての日だ。このときの会話、状況を当日、iPhoneのメモアプリに残した。思い出したことや状況説明など補足しながら引用する。
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 普段は分けている前髪を下ろしている。実に似合って可愛い。それを言うと、「ありがとうございます、でもこれだとビール買う時年齢確認されるんですよ」と。続けて、「いつも買ってるお店だと顔パスなんですけど、新しい人とか違うお店だと年齢確認を求められます。(なにか身分証出すの?)免許証出します」。
 実年齢よりも幼く見える。年齢相応には確かに見えない。未成年と思われても可笑しくない……とはわたくしの気持ちが入った評価であるか。「若く見られて良いじゃない」と言うた後この子の年齢思い出し、「複雑だね」と私言う。「大人に見られたい」との答え。
 ふと思い出して知己の女性の話す。その人は18歳で結婚した、童顔であるが、夫のビール買うとき指輪でパスされていた(成人扱いされていた)。「良いなぁ、強いなぁ、指輪」心底より羨ましそうだったので、「あなたも貰えばいい」と返す。すると「くれる人いない」、と返事あり。
 業後、評価を改められる様なこと言ってしまう。以下会話。
 「この前話していたご飯の件なんですけど」
 「え、この前……この前って?」
 「今度行きましょう、って言ってた」
 「ああ、すみません、この前っていつだろうって。そんなお話が(ありましたね)。はい」
 「あの、本当に誘っていいんですか」
 「ああ、どうなんでしょうね」(「どういう意味ですか?」だったか?)
 「あなたのご予定もあるだろうから、確認しておこうと思って」
 「予定ない日の方が多いんです」
 「なら今度誘いますね。いまアルコール飲んでないって言ってたけど、お店もそれ考えて選んだ方がいいですか?」
 「うぅん、どういう事ですか?」
 「目のことで禁酒中って言ってませんでしたか?」
 「ああ、別にどっちでも……」
 このとき本拠点からの回答待ち案件があり、それが来ないと帰れない。いつもなら一緒に退勤して廊下で立ち話して別れるのだが、回答待ちと雑用片付けて帰るので先にあがってください、と事前にいわれていた。そのあとでの上記の会話。
 ここで**さん業務に集中したい様子に気づいて、しまった、と思う。「また日曜日、お話しさせてください。すみません、あなたの今の状況を考慮しないで」と言って去る。この間、**さん、わざとらしいぐらいモニタを凝視して、こちらを見ることなし。忙しい時に能天気な会話してくるな、と、内心かなりイラッとされたかもしれない。蔑まれたかなぁ。嗚呼!
 もう日曜日はこの話題、出すのやめようか。このまま、職場だけの関係になるしかないのか。
———

 嗚呼、読者諸兄よ、このやり取りをなんと見る。是か非か、否か諾か。ご裁断を。
 明日は日曜日、あれから何週間も経った気がする。3日とはそんな錯覚を起こすには十分なのかもしれない。
 逢うのが怖い。見かけは普段通りでも心は閉ざして、注意を払うことなく会話も一問一答で終わり、せっかく縮まった距離も遠くなるのか。厭だ、と思うても既に評価を根本から引っ繰り返すに足る材料を与えてしまったのだ。自業自得。忖度を蔑ろにしたことへのしっぺ返し。
 これからの短い、限られた期間で関係修復、関係改善はなるか。望んだ間柄となるには、どうすればよいか。考えろ。
 くれぐれも過去の轍は踏むな。諦めるな、腐るな、気取るな。前に進む勇気とブレない気持ちだけが、未来を作る。現在と、望む未来をつなげられるのは、その想いを強く持つ者、即ち俺だけだ。
 明日は日曜日、これまでのような友好的ムードをふたたび作り出し、親しみある物言いと態度が互いにできるように尽力し、ふたたび食事に誘って日程を組んでしまおう。コロナ禍のなかで第3波が来ているけれど、収束なんて待っていられない。JAM.
 候補となる店はリストアップした後、現地調査済み(帯に短し襷に長し、というのが悩ましいところ)。OKをもらい、当日ドタキャンされることなく待ち合わせの時間に会い、愉しい時間を過ごして、次の約束を取り付けてそれも実現し、できれば年内には恋人同士となれますように。
 わたくしは自ら蒔いた失態の種を一粒残らず拾いあげて、あらためて<大地>に希望の種を蒔き水遣り役を担いたい。わたくしは職場の同僚にして同じ役職者の彼女、****さん以外の誰も望んでいない。諦めるな、腐るな。ふたたび、JAM.◆

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