第2960日目 〈賢明な判断を下せ。〉 [日々の思い・独り言]

 iPhoneに保存している写真を昨夜、日本酒を呑みながら眺めているうち、哀しくなってきた。
 そこにいるのは、もう2度と会うことも話すこともない人たち。知り合った場を離れて縁が自然消滅したのではない。否、去ったあとも以前と同じ密度の交わりを続けてきた。この絆は鉄で結ばれたもの、避けられぬ事態によってでない限りわれらはいつだって顔を合わせることができる──そう信じて疑わなかった。
 が、鉄は経年劣化して錆び、鉄の鎖はそれによって輪が壊れてゆめ修復できないことがある。そんな単純明快な摂理を、わたくしはすっかり忘れていた。かつて仲間たちとの縁が途切れたのは、かれらとわたくしの間に起こった出来事による。かれらにいわせればわたくしの多情多恨であり、わたくしにいわせればかれらが事実を知ろうとしなかったことへの呆れが原因である。序でにいえばかれらは、かれら自身の行為によって人1人を死に追いつめたことを知らない。いつかお話しよう。
 かれらを思い出すのは苦痛でしかない。ならば写真を削除せよ。仰るとおりだ。が、斯く反論しよう。それができたら苦労しない、と。写真を消すことであの頃の思い出の一切がわたくしのなかから消えてしまうように思えて、怖いのだ。
 結果がどうあれ、あすこで知り合った人々との交流があらゆる面で、これまでの社会人生活でいちばん濃密で、充実して、幸福であった。しかし、過去をなかったことにして、それを修復することはできない。前に進むより他ないのだ。そんな流れで久しぶりに、ノーノの作品のタイトルを引きたい。即ち、──<進むべき道はない、しかし、進まなければならない。>
 そうしていま(まさしくjust now!)、わたくしは過去を反省材料としなければならないとじゅうぶん承知しつつも衝動に駆られて、同じような過ちを犯そうとしている。いちばん大切に想う人から、一時のメランコリーに流されて離れようとしている。離れたが最後、もう2度と──かつての仲間とはまったく違う意味で、それこそ文字通りの意味でもう2度と、逢えなくなってしまうとわかっているのに。連絡先も知らないままなら、偶然に縋ることもできまい?
 咨、どうかそのときのわたくしが感情に流されることなく賢明な判断を下し、その人を哀しませたり失望させたり怒らせたりすることがありませんように。
 それを、わたくしは祈る。光の世界を与えてくれる人への、二心なき想いをこめて、祈る。◆

 ※お知らせという名の追記
 明日から当面の間、23時メドでの更新となる予定です。ご了承の程願います。□

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