第2965日目 〈いまの御時世、トロロープを範と仰ごう!〉 [日々の思い・独り言]

 アンソニー・トロロープというイギリスの小説家がいた。とにかく長い小説を書いた人である。いまはお馴染み、街角に立つ赤い郵便ポストの発案者でもある。この人程機械的に執筆する技法を、崇めるが如くに遵守し、信奉した小説家もいなかったのではないか。そうして或る意味で、会社に勤めながら物書き業に勤しんでいる人たちにとっては、仕事術の手本となるような人物でもある。
 自伝に曰く、毎朝午前5時半から執筆を始めてきっかり3時間それに費やして時間になると、どれだけ興が乗っていようが、どれだけ中途半端なところであろうが執筆を切り上げて朝食にして、郵便の仕事に出掛けたという。15分で250字を書くことを維持することに努め、1つの作品を書いている間も出版を待っている作品が常時、1作か2作はあったという。おお、なんてこったい。これがどれだけ凄まじく、実現困難・継続至難な行為か、働いている人ならおわかりになるはずだ。
 時代が違うよ、とかいうな。なにも変わらない。トロロープの執筆作法についてわれらが学ぶべきは沢山ある。時間を無駄にするな、限られた時間を最大限有効に使え、そのなかで最高のパフォーマンスを発揮して、能う限りクオリティの高い作品を残せ、せめて斯く心がけよ。──これがトロロープからわれらが学ぶべきことだ。
 現在この国は緊急事態宣言で、飲食店を中心に20時までの営業が当然となっている。社会人よ、その傍ら趣味でも生業でも文章を書く人々よ、あなたはどこで執筆を行う? まっすぐ帰宅して家で書きます、っていう人はここではお呼びではない。そうではなく、帰る前にどこかに──喫茶店に寄って書くことにしています、という人と、わたくしはお話がしたい。
 仕事がたとい18時ぴったりに終わって退勤したとしても(まぁ、そんな社会人、そうそう多くはないと思うが)、残された時間はわずか2時間弱。執筆に割ける時間は1時間半あれば万々歳であろう。その限られた時間で目に見えるような一定の成果を出すには、集中力と思い切りの良さ、そうして有限の時間を最大限に活かす計画性が必要だ。
 いま、わたくしは退店勧告をされた。しかし、なんとかこうして原稿を仕上げることができている。あとは自宅に帰って、推敲をしよう。ひとまず、落着。◆

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