第3543日目 〈萩原朔太郎の痛罵が心地よい1冊──『恋愛名歌集』を読んでいます。〉 [日々の思い・独り言]

 萩原朔太郎『恋愛名歌集』を読んでいる。若き頃は短歌の実作を試みた、詩史に名を残す詩人が44歳のときに書き下ろしで発表した、万葉から新古今集までを対象に、書名通り恋歌を中心に据えてコメントを付し、また総論として歌風の変遷や特徴など簡潔明瞭に述べた1冊である。昭和6(1931)年05月、第一書房から刊行された。
 朔太郎は冒頭「解題一般」で、巻末にまとめられる総論を読んでから、各集選歌のパートを読んでほしい、と読者に向けている。
 素直なわたくしは作者のお願いに従い、昨日からそのようにしている。こちらも万葉集から新古今集まではみっちりと学び、独りし読書に励んで9つの歌集を1首の洩れもなく飛ばすことなく完読した者だ。ゆえに朔太郎が万葉集と八代集に対してどのような歌を選び、そのような評価を下しているか、とても興味深いのだが……、
 ……興味深いのだが、実際に読んでみるとこれがまた手厳しく、痛快無比である。時代風潮というのはけっして見逃すことできぬファクターであるが、それを考慮しても万葉讃美、古今痛罵の言葉は鋭く、或る意味で正岡子規の伝統和歌・旧派歌人への攻撃よりも胸の深いところまで突き刺さってくる。
 確かに古今集は、他の歌集を知ったらば尚更つまらぬ集で収める歌には凡庸極まりない一首は多々あると雖も、流石に「低脳歌」とか「駄歌」なんて言葉は捻り出せぬ。いわれてしまえばご尤もなので、その痛烈な切り捨てに唸らされても反論する気なんて全くないけれどね。
 なんとなく総論に関してはメモを取っているので、読了して抜き書きノートを併せて作成したら、ここで感想文をお披露目しよう。◆

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