第3430日目 〈山上容疑者は司法の目を欺くか?〉 [日々の思い・独り言]

 安倍元首相銃撃事件から2週間。新聞等での報道から事件の背景と経緯、動機、今後についての情報は、概ね出揃ったように見える。昨夜から今朝にかけて新聞各紙は、殺人容疑で送検中の山上容疑者に鑑定留置が実施される旨報じた。
 刑事訴訟法第167条は鑑定留置についてこう記す。曰く、「被告人の心神または身体に関する鑑定をさせるについて必要があるときは、裁判所は、期間を定め、病院その他の相当な場所に被告人を留置することができる。第2項;前項の留置は、鑑定留置状を発してこれをしなければならない。」と。
 要するに、刑事責任能力を問うために身体を拘束して然るべき所で精神鑑定を行う、鑑定留置を行うためには書類が必要になる、という意味。なお、この間、鑑定留置状が発行された段階で拘留は停止されて、停止中は取り調べできない由(刑事訴訟法第167条の2)。
 鑑定留置、とは難しい言葉だが、昨今は大きな刑事事件が起きるたび聞くようになった言葉でもある。今年1月の東大農正門前での刺傷事件、3年前の京アニ放火事件、6年前の横浜の病院に於ける点滴殺人、いずれも鑑定留置が実施され、刑事責任能力はあると判断、起訴された。
 鑑定留置の内容は、医師と被疑者の面接によるヒアリング、という。それを基に医師が診断書をまとめ、検察が起訴するかどうかを判断する。
 ──というのだが、ならば人を欺くに長けた者、人心を操る術に秀でた者が相手の場合、聴取内容はどこまで信を置くに値するか? その実明晰な思考を持ち、自分自身を封印して他者になりきるテクニックを持つ者ならば、病院も検察も裁判官も欺き続け、保釈されることも可能なのではあるまいか。
 山上容疑者は如何に? 狡猾に立ち回って無罪を勝ち取り、保釈の日を迎えるか。可否は現時点で不明である。が、晴れて外の世界へ帰還を果たしたとしても、決して世論は貴方を許さないだろう。死ぬも生きるも地獄、という。◆

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