第3431日目 〈この国は、まだ大丈夫だ、と実感する。〉 [日々の思い・独り言]

 白血病治療の錠剤が結構とんでもない金額で、腰を抜かしたのは今月初めのこと。1週間分で2万円を超えるとは……しかも、ジェネリックなし。
 これまでそんな金額をいちどに、薬代として支払ったことがないから、ボッタクリではないか、と調剤局の人に問おうとしたのも無理からぬ感情の動きであったろう。
 こんな金額を聞いてびっくり仰天するのは、或る意味で身体になんの支障も感じることなく生きてこられた証しでもあるのだろうけれど、それにしてもねぇ。周りの人達──役所の人や地域療養センターの方々が訊き返すところから察して、やはりこれは薬代として日常認識される金額を遙かにオーバーしているのだろう。
 しかし、2万円超とはまだ序の口なのである。1日1錠を7日分が内訳。実はこの1錠という服用量、薬が身体に副作用をもたらさないかどうかの試験的な処方であったのだ。つい先日の通院で、特筆すべき(報告すべき)副反応や体調不良がなかったことから、1回の服用量が増えたのである。やれやれ。
 が、読者諸兄よ、驚く勿れ。1日2錠とはまだ本来の服用量ではなかったのだ。これが2週間分で、8万円超。……計算するな、たった2週間で10万円を超える金額をわたくしは、調剤局に支払っているなんてこと。
 然れどこの金額、まだきっとマシなのであろう。国指定の難病を持つと或るマンガ家は日常的に入院と退院を繰り返し、食事制限(と事実上の行動制限)があり、入院の一切にかかる金額と薬にかかる一切の金額は、おそらく一般サラリーマンの月収と肩を並べるかどうか、でないか。
 それを思えばわが方の負担する金額など……などと考えてはいけない。高額であることにもはや変わりはないのだ。金額の多寡にかかわらず、もう既に家計をどれだけ逼迫するか想像するだに恐ろしく、暗澹とし、自棄にもなる金額なのである。
 ──果たしてどなたからであったろう、役所の方で高額医療の限度額申請を行ってみては、とアドヴァイスを下さったのは。藁をも摑む勢いで翌日、早速に区役所へ出掛けたね。思い立ったが吉日、すぐに行動へ移せることが、リモートワーク、フリーランスのメリットだ。別件で別窓口に行った終わり、「こういうのってどこへ行けばいいんですかね?」と訊いたら即座に返答が返ってきた。曰く、「うむ、では国保の窓口へ行け」と。
 そこで事情を説明すると、その場で高額医療の限度額の書類──限度額適用認定証が発行された。対応してくれる職員次第でその場で発行されるケースと、「翌日以降にまた来てくれ、そのときに発行します」と遅きに失する可能性なきにしも非ずな対応のケースがあるらしい、とはネットの不確実な情報であるが、もしそれが事実で、わが居住する自治体にも適用されるならば、わたくしは非常に幸運であったことになる。対応してくださった職員の方に感謝である。
 それにしても、国保にずっと加入していて良かったな、きちんと納めるべきを納めていて良かったな、と思う。この限度額申請、国保に加入していてもちゃんと保険料を納めていなかったら適用外の可能性もあるらしい。親が口を酸っぱくして納税や支払いのことを五月蠅くいってくれていなかったら、いま頃はかなり納付期間に抜けがあったに相違ない。4-6月に来る県民税・市民税と国民健康保険の納付を1年分全納し、国民年金を2年分全納するようにしているのは、母から口を酸っぱくしていわれてきたことが、老後や享年なんてものをそろそろ意識するようになったいま現在になって実を結んだためだ(?)。感謝すること頻りである。
 その一方で感謝すべきはやはり、国の制度である。21世紀になってから国の補償制度はたびたび根本から揺らぎ、世間ズレした無能な政治家たちによって悪い方向へ制度変更されそうになったりしたこと屡々であったけれど、最低限の義務を果たしていさえすれば、相応に国は、というより自治体と管轄省庁/機構は報いてくれるようになっている。
 これを、此度わたくしは実感した。春に娘が生まれたときもそうだったけれど、わたくしはこの国の国民で本当によかった、と胸を張っていうことが出来る。斯様に制度が揺らぐこと、これまで度々あったと雖も頼るべき制度がまだきちんと機能しているこの国は、良い国だ。此度の出来事を通して、心の底からそう思う。◆

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