第3452日目2/2 〈『LLSS』S2#05感想文について。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 標題の件、以下のように申しあげます。
 本来なら既にお披露目されているはずの『ラブライブ!スーパースター!!』第2期第05話感想文ですが、明日中に公開致します。
 鬼塚夏美の愚人ぶり人格破綻者ぶりに腸煮えくり返る思いを抱くも、数日かけてどうにか抑えられるようになりましたので、上記のように申しあげる次第。
 感想執筆等のため観返して再燃する可能性極めて濃厚ながら、最終話まで感想を書くと決めてしまった以上、今回(とおそらく来週の第06話も)は事務的にであっても片附けてしまおう、というわけであります。文章は感情を暴走させる、といいますのでその点はくれぐれも自重して。
 単なるヒール役ではない、ただの精神構造と思考回路に重篤な欠損あるキャラクターを『ラブライブ!』シリーズでお目に掛かるとはね……。
 うーん、かのんたちは株式会社オニナッツに対して法的措置を講じて、契約撤回を申し出ることはできないのかな……別のアニメになってしまうよ、という意見はこの際無視で。◆

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第3452日目1/2 〈現代語訳「浅茅が宿」;上田秋成『雨月物語』より。5/9〉 [近世怪談翻訳帖]

 女の声が返ってきた。1日とて忘れたことのない、──記憶にある、若々しく溌溂とした声ではなかったけれど。随分とねびたれた(年齢を感じさせる)声ではあったけれど──たしかに妻の声である。夢ではないか? 否、現実だ。そうすぐに信じた。
 勝四郎は震える声で、家のなかの女性──妻宮木にいった。
 「俺だよ、宮木。勝四郎だ。随分と待たせてしまったが、いま京都から着いたところだ」われながら喉の奥から絞り出したみたいな声だった。「まさか、まだここにお前が住んでいるなんて……知る人のいなくなった浅茅が原に、まさかお前が独りで……」
 刹那の後、扉の向こうで閂を外す重い音がした。それから、そっと静かに、扉が開かれてゆく。燈火の灯るのを背にして顔を覗かせた女人は、咨、幾分やつれこそしたものの、かつての面影を面に残した宮木である。
 屋内からの明かりが、暗がりのなかを進んできた勝四郎の目には眩しく感じられた。が、目がそれに馴れてきて、改めて宮木の顔をまじまじと見ると──どれだけ面影を宿しているとはいえ、やはり流れた歳月と世情の艱難が、容(かんばせ)の上にしっかりと刻印されているのがわかる。肌色は垢づきのためもあって黒ずんでおり、張りは失われていた。目は、疲労が蓄積されていたり、もしかすると病気を患っているのかもしれない、ひどい落ち窪みようであった。以前はきちんと結っていた髪もいまはサンバラ髪になって梳っていない様子で、艶はなくなっている。手入れをしていないその髪は、背中へ流れて腰まで落ちていた。
 7年ぶりの再会に、さめざめと涙を流す妻。彼女を前に勝四郎はその変わり様にしばし言葉を失っていたが、気を取り直すと、こういった。
 「てっきり戦に巻きこまれて死んだものだとばかり……生きているとわかっていたら、無駄な時間を過ごさず、無理を押して帰ってきたのに……」
 そうして7年前の夏の朝[21]、真間を発って今日帰ってくるまでのことを、あれこれ話して聞かせたのである。「ずっと淋しい思いをさせてしまって、済まなかった」と結んで、勝四郎は自分の話を〆括った。
 身じろぎもせず、ただ涙を流しながら聞いていた宮木が、今度はこの7年間のことを問はず語りした。
 「秋には帰る、というあなた様を信じて待っているうち、世は戦乱となり、ここも戦場になりました。どんどん人が消えてゆき、野良者がうろつくようになると、夜は勿論、昼間も安全とはいえなくなったのでございます。そんな連衆から何度となく脅されたり襲われそうになりました。けれど、わたしはあなた様の妻でございます。あたらそのような輩に手籠めにされて貞節を汚すよりは、と思い、堅く戸を閉ざして退けてまいりました[22]。
 でも、約束した秋になってもあなた様は帰らない。秋の間、待てど暮らせどあなた様の姿はない。様子を知らせる文もない。ならばいっそのこと、わたしが京都へ参ろうか、そうしてあなたを捜そうか──本気でそんな風に考えたのですよ。
 でも、京都への道は至る所に関所が設けられた、というではありませんか。ますらをにさえ固く閉ざされた扉が、どうしてたをやめの前に開かれましょう。泣く泣く諦めてわたしは、あなた様もご覧になったはずの、あの(といって、宮木は勝四郎の背後の松の木を指さした)、雷に砕けた松を話し相手に、狸梟を孤独を紛らす友にして、今日まで暮らしてきたのです。
 そりゃあ、ちょっぴりは恨みもしましたよ[23]。帰ってくる、といった季節に、事情は先程の話でわかりましたが、帰ってこなかったのは事実なのですから。文の1つもお寄越しになりませんでしたものね。
 でも、もう良いのです。なにはともあれ、あなた様は無事に、こうして帰ってきてくださった。なんの思い残しもありません。わたしはただ、再びお逢いできたことが嬉しいのです[24]。
 お帰りなさい。あなた……」
 話し終えるや泣き崩れた妻を勝四郎はすぐに抱きとめ、肉が落ちてすっかり細くなってしまった体をかき抱いた。宮木も夫の背中へ腕をやり、胸元へ更に深く顔を埋めた。
 「夏の夜は短い。つもる話は明日にして、もう寝(やす)もう」
 勝四郎はそういうと、家の扉を閉め、宮木を伴って布団へ横になった。□



[21]「そうして7年前の夏の朝?勝四郎はそういうと、家の扉を閉め、……」
 →コイツら、家の扉口でなに長語りしてるんだ? 一旦家に入れや、といいたい。そんな風に思うのである。隣近所の人が訪ねてきて立ち話してるんじゃないんだからさ。
[22]「けれど、わたしはあなた様の妻でございます。あたらそのような輩に手籠めにされて貞節を汚すよりは、と思い、堅く戸を閉ざして退けてまいりました」
 →ここから宮木の死因について考えることはできないか。この台詞や後の漆間の翁の台詞、或いは真間に独り残った宮木を手籠めにしようとしていた人のある描写などを総合すると、彼女の死因は病気とか餓死とか、そうした自然死の類ではない、と思える。
 野良者たちが遂に家に押し入って、宮木を手籠めにして挙げ句殺したのではないか。いわゆる強姦殺人、押し入り殺人である。深読みすると、そんな結論を導き出してしまう。
[23]ちょっぴりは恨みもしましたよ
 →女が、「ちょっぴり」といったときは、「かなり」のいい換えでもあることに留意せよ。
[24]なんの思い残しもありません。わたしはただ、再びお逢いできたことが嬉しいのです。
 →霊が、この台詞を想い人にいっているかと思うと、自然と涙が出て来るな……。◆

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