第3620日目 〈告白。──病気が発覚したこと。自分の病気について調べてみた。〉 [日々の思い・独り言]

 ──6月1日(水)午後、内科2診にて宣告の時を迎えたみくらさんさんかである。
 担当医はMRで撮影された写真と骨髄検査の結果を見せて、まずは一言、すっぱりと病名を伝えてくれました。曰く、慢性リンパ性白血病です、と。地元の内科医と先日の担当医の話から覚悟していたが、「慢性リンパ性白血病」とな?
 それは一体どのよう病気なのか?
 先般水泳の池江璃香子が発症して話題になったアレと、よく似た病名だがどのような違いがあるのか?
 それを知りたい。実は先日初めてこの病院に来た日の帰り、いちばん近くにあるスタバの隅っこの席で若干絶望オーラを出しながら、スマホで「白血病」を検索していた。白血病とは要するに血液の癌だ。血液中の白血球(系細胞)が無限に増殖してしまうことから起こる。
 ここで高校生物のおさらい;白血球は単一の細胞に非ず。骨髄球系細胞やリンパ球系細胞、といった形態も役目も異なる細胞の総合体である。これらいずれかの細胞が癌に変化すると、「骨髄性白血病」と「リンパ性白血病」のいずれかになる。更にここからそれぞれ「急性」と「慢性」に分けられる。癌化した白血球の細胞の増殖が非常に早いのが、急性。増殖しているとはいえその速度が緩慢なのが、「慢性」。つまり、ひとえに「白血病」というても大きく分けて4種類あるのだ。
 先述の池江璃香子が公表したのは、急性リンパ性白血病でした。では今度は「リンパ性」とは?という話になるので、ちょっとそれについても書いてみる。
 リンパ球、という細胞が人間の体内にあるのは、高校の生物の授業で習っている。覚えている、いない、ではなく、習っているのだ──でもご安心を。こんな風に問答無用の表現を採用しているわたくしも、じゃあリンパ球ってなによ、と訊かれた場合答えることはできない。えっへん。でも、調べたのだ。知らないことを知る──とっても愉しい作業ではないか!
 というわけで、「リンパ球」とはなにか? そも「リンパ」とは?
 リンパ、という言葉にいちばん馴染みを持つのは、首のリンパ腺が腫れる経験した人かもしれない。わたくしの周りにもこれまで、何人かこういう人がいた。なかなか腫れが引かず痛みがひどく、かなり辛いらしい。
 同僚(というか同期)は研修期間中にこれにやられて、しばらく仕事に来れず、手術する旨会社に連絡をしてから結局そのまま退職されてしまった。上司がいうにはその声、非道く哀れを催させるものであったとか(それを契機にその会社は欠勤連絡についてはメールでも良し、と勤務規定を改めたが、それはさておき)。が、この場合経験者のいう「リンパ腺」とは「腺」ではなく「節」、きちんといえば「リンパ節腫脹(しゅちょう)」という病気である由。
 このリンパ節は体のあちこちにあって、リンパ液を集める部分。上述の「首のリンパが云々」という場合、「頸部リンパ節」の腫れを指す。リンパ液は細胞と細胞の間を通る液体から作られる液のことだ。毛細血管に吸収されて残りはリンパ管に流れこむ。リンパ管は文字通りリンパ液を運ぶ管で、リンパ液が固まってしまわぬよう特定の方向、つまり心臓の方向へ運ぶ働きを持つ。
 ここでようやく話を戻せる。「リンパ球」とはなにか、だ。
 それは白血球の成分の1つである。分類すれば、Bリンパ球、Tリンパ球、NK細胞、などあるそうだが、ここでは立ち入らない。一言述べるとすれば、これらのリンパ球がスクラムを組んでウィルスの病原体や癌細胞をやっつけるのだ。しかもコイツらは頭が良くて、一度攻撃した病原体や癌細胞を覚えており、再びこれらが体内で作られると再びスクラムを組んで攻撃、退治するのである。
 リンパ球とはなにか、以上。え? とかいわないで。文字数を同じうすれば良いわけではない。
 このリンパ球がどうした理由か不明ながら癌細胞化して、無限に増殖してゆくのが、「(急性/慢性)リンパ性白血病」である。
 どうしたときに、人は自分が白血病だと気附くのか。症状として幾つか挙げられる。倦怠感や発熱、息切れや動悸、鼻血や歯茎からの出血、体重減少、など。臓器に癌細胞化した細胞が入りこむと、関節が痛くなったりリンパ節が腫れたりする。脳や脊髄といった中枢神経に入りこむと頭痛や吐き気を引き起こす。これらがどうやら白血病の症状、兆候であるようだ。
 顧みて思い当たるフシは多々ある。或るときから急に倦怠感を覚えて起きるのが辛かったり、ちょっとしたことで動悸が激しくなったりしたものな……もっとも病名が判明したあと症状など調べて知ったことだから、後付け感たっぷりあるのは否めぬけれど。そうそう、体重減少は余りありませんでした(きりっ)。
 血液内科で告知されたわたくしの病気は、慢性リンパ性白血病、であった。慢性とはゆっくりと進行してゆくことだ。ゆえ緊急入院は免れたけれど、長期の療養は必要になった。投薬治療を続けながら定期的に通院するだけの話だが、正直なところ、終わりの時が来るのかはわからない。急性であればその点はっきりしやすい部分もあるらしいが、慢性はかなり長い期間の通院と投薬が必要になる、といわれた。
 が、それは急性も同じで、完治/病院通い終わり/投薬療養終わり、の時が訪れるのかどうかは同じである。池江璃香子も現役復帰したことで「病気が治った」と勘違いされているようだけれど、わたくしと同じように定期的に通院しては診察前の血液検査を欠かさず行い、予後の経過観察にこれ務めているはずである。
 さて、それでは、どんな人が白血病になるのか。宮崎仁『もっと知りたい白血病治療 患者・家族・ケアにかかわる人のために 第2版』(医学書院 2019/11)に拠れば、こうだ、──
 
 白血病は他のがんと同じくはっきりした原因をみつけることがむずかしい病気です。……特別に白血病の原因となるような化学物質(ベンゼン、トルエンなど)や放射線(原子爆弾被爆者、原子力発電所事故による被曝などに曝露したことがはっきりしているケース以外は、原因不明といっていいでしょう

──と。また、──

 なぜ白血病になるかという、くわしい仕組みについては、世界中の学者たちがしのぎをけずって研究しています。

──とも。いずれもP24から。
 白血病になるのに特定の原因はない。大部分の患者はここに該当する。それと自覚して病院に行ってみる人は、まずいない。前述したような症状が現れてようやく、ちょっと診てもらおうかな、と嫌な予感を覚えながら診察して突然病名を告げられるケースが圧倒的に多い、ということだ。
 左視野の一部が霞んで見えるとて受診した眼科の血液検査で白血球数の異常なる増殖によりこの病気を疑われたわたくしのケースは、けっして珍しくはなかったようである。ちょっと安堵、他の患者やその家族の気持ちを考えれば不謹慎であるとは承知しているけれど。
 そうか、原因不明で、世界中の研究者が解明に躍起になっているのか……今回自分が慢性リンパ性白血病であると告白したことを、研究者たちに知られてはならぬ。もし知られたら──生体サンプルにされないよう、夜道に気をつけなくちゃ(完全に医療機関研究機関による誘拐前提)。
 国内に於ける慢性リンパ性白血病の発症率は極めて低い、稀有なる疾患と仄聞する。欧米ではポピュラーな病気──どころか慶應義塾大学医学部に拠れば「最も頻度の高い白血病」という。その発症率、欧米が白血病全体の3割を占めるに対してわが国は十分の一。要するに10万人に1人の確率です。
 ……なんだ、この違いは。事実が報告されているとはいえ、それにしても……である。欧米と日本で発症率がこうも違うのは、どういうことなのだろう。なにに起因するや。食事を筆頭とした生活習慣や衛生面の違いからなのか、それとも或いは……。
 巷間いわれることだが、白血病の治療に終わりはない。症状が安定したから、血液検査の結果が正常値に戻ったから、という程度で完治というのではない。そも完治か否かの線引きが極めて困難という。わたくしも担当医からそのようにいわれている。自分の判断で薬を嚥むのを止めるな、とも。その薬──イムブルビカカプセル140mgも、わたくしの体に適合するか様子を見るため最初は1日1錠から始まり、2錠に増やして通常の3錠を毎朝嚥むようになってた。限度額適用認定がなかったらこの薬、20万円弱するんですよ。
 死ぬまで続くわけでは勿論ないが、終わりのない治療であることに相違はない。いうなれば、夜の果ての向こう側にある穏やかな朝を求めてあてのなき旅をしている気分である。
 自分の経験を伝えて誰かの役に立てるなら、誰かの気持を強くできるなら、わたくしはいつだって語ろう。◆

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