第3628日目 〈官房長官の本を切り口に、政治史を過去へ遡ってみたい。〉 [日々の思い・独り言]

 間もなく大下英治『内閣官房長官秘録』を読み終わる。残り、30ページ。2023年04月14日20時09分時点の話だ。
 それが決定的なターニングポイントになったわけでは勿論ないが、1月のあの日以後、小説なるものを受け付けられぬ体になり、ノンフィクションへと完全に軸足を移したことは、あれから今日まで読んできた本を並べてみれば自ずと明らかになる。
 拾い読みや摘まみ読みができるのが、ノンフィクションの良いところと思う。全体像や流れを摑んだりするには初めから終わりまで読み通すのが必要だけれど、ひとたびそれができたら類書については拾い読みや摘まみ読みが可能になるのは、ノンフィクションならではの利点といえまいか。つまり、或るジャンルを踏破するには全体が把握できる基本書籍を数冊揃えて、それをとにもかくにも最初から最後まで読み倒してしまうのが入り口になる。
 ──バテちゃうよ? 当たり前だ。でも大丈夫、それがやがて快楽になって、ちょっとしたハイな気分を味わうようになる……そこまでイッテしまえばシメタもの。朧ろ記憶を総動員して類書を探し、どんな買い方集め方をするにせよ時間的にも気持的にも然程の負担なく1冊を読み終えることができるようになる。
 偉そうに書いているが、〈日本の、戦後政治〉というタグをつけたここ数ヶ月の読書履歴を顧みると、Twitterで読了報告した伊藤昌哉『自民党戦国史』上下(ちくま文庫)、いまはもうあの場所にはない八重洲ブックセンターで買った山川出版社の「もういちど読む」シリーズの『政治経済』と『日本戦後史』を昨秋から年末に掛けて読んだことで、上でいうた流れを大雑把ながら摑めるようになったと思うている……のだが……どうなんでしょうね(えへ)。
 戦後政治に関しては安倍さんや菅さんの著書、ジャーナリストたちが書いた本を一渉り読んで、だんだんと過去に遡ってゆこうとしている。というよりも、『内閣官房長官秘録』も前に読んだ松田賢弥『陰の権力者 内閣官房長官菅義偉』もそうだったが、官房長官時代の菅さんを取り挙げた本はたいがい、菅さんが恩師とした梶山静六や、野中広務や加藤紘一と云った人々を取り挙げる関係上、好むと好まざるとにかかわらず過去の官房長官たちの事績、翻っていえば過去の政権について触れることになる──それ即ち、読み手も過去の政権、政局へ目を向けるようになるわけだ。ふしぎと興味ある事柄に出喰わすと人は、底に沈んだかすかな記憶をいつまでも大事にし、なにかの拍子に浮上してきたとき巧くキャッチして、それに関連した本を見附けられるようにできている。向学心ある人、知識欲旺盛な人には、そのかすかな記憶が刺激剤となって、本屋さんに入ると棚の前をぶらついて関連書籍と出会うのだ。
 官房長官は総理の女房役であり、政権の要でありナンバー・ツーであり、内閣の取り纏め役であり、与野党の調整役である。かれらの事績を語ることはイコール、歴代内閣を語ることであり時の日本の情勢を確認することである。この数週間で読み終えた、或いは読んでいる本が官房長官という「陰の権力者」なる異名も頷ける役職についての本ばかりであるために、興味関心は〈戦後政治〉全般へ及ぶようになった。それは必然であった、とわたくしは考えている。
 取り敢えずいまのわたくしの、この方面での読書の目標は、一連の官房長官についての本を切り口に過去の歴代内閣と個々の政治史を辿って、この世の中に政治というものがある、と知った大平内閣の時代まで遡ることだ。これを、この方面に於ける当面の読書目標としよう。◆

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