第3378日目 〈こんな夢を見た(その11):This is Mine,〉 [日々の思い・独り言]

 われらは操を立てたに過ぎぬ。他へ与することを潔しとしなかっただけのことだ。侵入者を力持て排除することになんの後ろめたさを感じ、また世人はなどてそれを非道の行いとせしや。
 かの日に記した夢には続きがある。正しく「続き」というてよいか迷うが、他の日に見た夢とはいえ舞台を同じうする点で「続き」というのは、ゆめ間違ってはいないだろう。
 重ねていうが、別の日の夢である。われらは薄暗く、空気の湿った、果て知らぬ上階まで吹き抜けがある廃業したショッピング・モールにいる。今度は広場に坐りこんでいるのではない。吹き抜けに面して各階にあつらえられた回廊を歩いている。後ろには、子ら。
 階上へ延びる棒状の、青白い灯が消えかけている。広場を見おろすと真ん中あたりに水溜まりができていた。ポツン、ポツン、と滴がしたたり落ちるたび、水面に波紋の広がるのが見える。
 階段らしきものを登った覚えはない。が、われらは確かに元いた階から上の階の回廊へ、登り来たっている。見おろすたびに水溜まりのある広場が眼下に遠くなってゆくからだ。上階へ、上階へ移ってゆくに従ってわかってきたことがある──吹き抜けのいちばん上には巨大な天窓があり、そこから星の瞬き、月の影が窺える。そうして天窓に黒い影があった。子らの歌う声が後ろから聞こえてくる。それは賛美歌だった。
 われらはいちばん上階の回廊に達した。そこで見た黒い影の正体を、わたくしは書くことができない。余りにおぞましい光景でもあったから。
 が、同時に、しかと理解してもいるのだ。そのおぞましいモノからしたたり落ちる滴が広場に溜まっていたことを。そのおぞましい光景を作り出したのは他ならぬ自分であることを。そのおぞましい光景を作らずして〈いま〉はなかったことを。
 通過儀礼だった。自分のなかに実はまだ巣喰っていたアレを処刑して──抹殺、駆逐、調伏、表現はなんでもいい──、このなににも代え難い〈いま〉を実現させたのだ。後悔はない。
 「あなた」と妻がいった。「還ってきてくれて、ありがとう」
 返事をして、かのおぞましきモノを見あげる。妻の台詞は本当は、ソレへの勝利宣言だったかもしれない。
 明け方の夢は正夢になる、という。これが予知夢であることを願う。◆

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