第3564日目 〈この3週間で、こんなCDを買ったり聴いたりした──たとえば、フリッチャイの《第九》など。〉 [日々の思い・独り言]

 けっして調子づいたわけではない。そんな風にしてハメを外したら、あとで手痛いシッペ返しが来るのがわかっているから。
 この前、すこしずつ日々の生活のなかに音楽を聴く時間が戻ってきたことへの感謝を、ここに綴った。ノー・イヤフォン、ノー・ライフな点に違いはないが、聴く時間がほんのちょっとずつ延びてきていることと、反動のように襲ってくる耳鳴りが耐え難い程大きくなってそれが幾日も続くことは減少を一途をたどっていることが、違いといえばいえようか。
 それが証拠に、というわけではないけれど、この3週間で購入したCD(いずれもDisc Unionにて)は5枚に及ぶ。──すくないな。往時の1/10だ。その代わり、購入した1枚、1枚にじっくり耳を傾け、何度も繰り返して聴くようになった。なんだか原点回帰した気分です。
 10日程前か、YouTubeでフリッチャイ=ベルリン・フィル他の《第九》第4楽章を聴いた。フルトヴェングラーの〈バイロイトの《第九》(1951)〉の流れで偶然にたどり着いた演奏だ。レコード店で働いていてクラシック担当だったにもかかわらず、フリッチャイの演奏はバルトークぐらいしか聴いた覚えがない。
 正直なところ、最初のうちは聞き流していた。BGMだったのだ。それが歓喜の主題が奏でられたあたりから耳がそちらへ引き寄せられ、最後にはペンを置き、本を置き、ひたすら音楽に集中していた──なんと自分好みの《第九》! 恰幅がよく、音に厚みある、悠然として堂々たる演奏!! 独唱陣も合唱団も、文句1つだに付けようなきクオリティ!! おまけに名バリトン、フィッシャー=ディースカウが参加した、正規録音では唯一の《第九》!!!
 翌日、病院の帰りに寄ったDisc Unionでフリッチャイのベートーヴェン選集を見附けたときは、自分の幸運を喜びましたね……まったく珍しくないセットものですが、興奮冷めやらぬタイミングで、まさにその演奏を収めたCDを買えたときは、嬉しくてたまりません。
 このフリッチャイはハンガリーに生まれた、20世紀を代表する指揮者の1人である。同郷の指揮者にはショルティやスワロフスキー、セルなどがいる。
 そうして、ハンガリー出身の作曲家といえば前述したバルトークの他、〈鍵盤の魔術師〉といわれ、わたくしも長い期間その沼へド嵌まりしたリストがいる。《メリー・ウィドウ》という惚れ惚れするくらい魅力的で、甘くて切ないオペレッタを書いたレハールもいる。
 リストについてはピアノ向けに編曲したシューベルト歌曲をボレットが弾いた盤と、大好きなピアニスト、ベルマンが弾いた《超絶技巧練習曲集》と《巡礼の年》のCDのレヴューがあるが、これはお披露目のタイミングを完全に逸してしまった。レハール《メリー・ウィドウ》聴き較べの一文も然り。
 ──Disc Unionでいちばん最近購入したものに、オイストラフがヴァイオリン独奏したブラームスの協奏曲2作があるけれど、こちらについて触れるのは別の日と致しましょう。◆

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