『ラブライブ!スーパースター!!』 ブログトップ
- | 次の30件

第3152日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第7話;すみれへの不憫と恋のこれからと。〉【修正版】 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 ちょっと非道いな、幾らなんでも。そう思わざるを得ない程、第7話「決戦! 生徒会長選」に於ける平安名すみれの扱いはネタとか雑を通り越して、悪意と嫌悪すら感じさせるものでありました。
 同じスクールアイドル活動を行うメンバーからは発言を遮られ、無視され、挙げ句に名前を忘れられる始末。むろん、これを目くじら立てて指摘することはないのかもしれません。既にそれだけの関係性──ふざけが許されるゆるい空気と日常のトーンが彼女たちの間で成立している、と考えればよいのでしょう。とはいえ、ちょっとなぁ……と思います。
 生徒会長選に立候補するよう説得にかかる可可と千砂都から逃げたかのんが部室に立て籠もり、必死に抵抗している場面です。06分31秒からのシーンとなります、──
 すみれ;スクールアイドルを続ける身として、この平安名すみれが──
 可可;かのーん!
 すみれ;(可可の両頬を摑んでこちらへ向かせながら)見なさい!
 可可;どちら様ですか。
 すみれ;知ってるでしょ!
 千砂都;あれ、えーと、す……す……なんとかさん。
 すみれ;すみれったらすみれよ。す・み・れ! メンバーの名前忘れてどうするの?
 千砂都;済みません、新入りなもので──
 すみれ;まぁ、いいわ。生徒会長選挙と聞いて正直それ程気は進まないけれど──
 可可;なら結構です。間に合ってます。一昨日来やがれ、身の程わきまえろ、デス。
 すみれ;なにさらっと非道いこといってんの──
──と。
 作者の名前は忘れてしまったが以前、野性時代青春文学賞を受賞した『りはめより100倍恐ろしい』っていうスクールアイドルカースト小説があった。内容はすっかり忘れて記憶の底からも引っ張り出せませんが、このタイトルだけは印象にしっかり残っている。即ち、イジメよりもイジリの方が数段上の悪意を秘めていますよ、それが暴走したらとんでもないことになりかねませんよ、と言外に語っているわけですが、此度のすみれの扱いを観て、わたくしは否応なくこのタイトルを思い出してしまうたのであります。それはおそらく自分のイジメラレ体験とピタリ、と重なる部分があったせいでもありましょう。
 然り、なにげないイジリが周囲の納得と理解を得たと同時にエスカレートを始め、それが爆発した事例なんて現実社会に於いても小説のなかでも数多先例を見出すことが容易であります。為にすみれの、グループ内での扱いが弄られキャラの立場を確立してしまったことに異を唱えるわけではないが、すくなくとも笑って鑑賞できる程の脳天気さは幸いと持ち合わせていない。改善を、とはいわない。彼女たちの関係性が極めて健全である描写を今後は挿しこんでいっていただきたいと願うのみ。……いやあ、まぁ、こんなおふざけ、ボケ具合、どんな集団に於いてもあるものではありますけれどね。ただ、それをどう受け止めるかは、この場合であればすみれ本人の感じ方、メンタルによって如何様も変化いたしましょう……。
 恋の自宅で飼い犬(その名は、チビ)に追いかけ回され、屋敷のあちこちを走り回るてふ描写に眉を顰める向きもあるようですが、それについては正直なところ、あまり思うところがないのですよね。むしろその直後にある恋とメイドの会話、かのんたちへの恋の台詞の前振りとして、作品世界に馴染む演出であった、と考えております。
 ただ、この一連の場面──大型犬に追いかけ回される、という描写に眠っていた『ラブライブ!サンシャイン!!』の悪夢を思い起こし、例の廃校疑惑と併せて冷めてしまった人も多い様子。
 そうしてもう1つ、悪夢を想起させる材料が本話にはありました。尾行がバレそうになったときのかのんたちの隠れ方がそれであります(16分25秒-16分36秒)。劇場版『ラブライブ!サンシャイン!!』で千歌たちは、月と歩く曜を商店街から尾行しておりましたが、曜が振り向いた際の隠れ場所、隠れ方が、まさに本話と同じであったからです。劇場版では面白く、可笑しく感じた演出も、流石に2度目は不感症になる。柳の下にドジョウは2匹もいないのです。
 なお、千砂都が本話から普通科の制服で登場。転科のことはかのんにさえ伝えていなかったようです。当初は可可と共に違和感の正体を突き止めようと観察、原因が判明したときのかのんと可可のリアクションが堂に入ったコンビネーションで、こちらの気持ちをほっこり、ほっこりさせてくれます。そうか、前回予告で流れた2人が頬をくっつけてびっくりしている場面は、千砂都の制服を見ての反応であったのか……。
 03分16秒からのシーンです、──
 千砂都;シャキッとしなさい!
 かのん;ん?
 可可;うん?
 かのん;ちぃちゃん?
 可可;(目をこすりながら)なにか、違和感が……
 千砂都;これからは前よりも、みっちりダンスの練習するんだから。
 かのん&可可;あ……
 千砂都;疲れてる場合じゃないよ?
 かのん&可可;ああ……!?
 千砂都;うぃーっす! どう、普通科の服? えへ。
 かのん&可可;えぇ……ええっ!!??
 千砂都;本当は退学して、普通科を受け直そうと思ったんだけど、理事長先生が転科を許可してくれるって。
 かのん;でも、どうして?
 千砂都;これからは、かのんちゃんたちと同じ目標に向かって頑張りたいと思って。
 かのん;それで……。
 千砂都;内緒にしてて、ごめんね。
 可可;愛です。(千砂都の前に回って、)[中国語で話す] 可可、感動しました。
 千砂都;そんな大したことじゃないけど。
 かのん;じゃあ、授業始まる前にクラスの皆に紹介しないとね。
──と。
 ……実際のところ、かのんが紹介する以前にクラスメイトでモブ3人衆の1人、「ここの」が気附いてしまいましたがね。かのん同様、他の普通科の生徒たちにも千砂都の転科は青天の霹靂であったらしい。ここのの動転から、そのように想像できます。その後は転校生を迎えたが如く(まぁ、そんな感覚だよね)、クラスの皆が席のまわりに集まって、戸惑い顔の千砂都に質問攻勢をしておりました。もっともそれは以前からかのん経由で普通科にも馴染みのあって好感を持たれていた千砂都だからできたことであって、音楽科の他の生徒であったら、うまく皆のなかに馴染むことはできなかったかもしれない。
 となると問題になるのは、やはり恋であります。彼女が普通科の制服を最終的に着ることになるのは既定路線。初期設定であったかのんの黒タイツが本編では綺麗さっぱり抹殺されたことを考えるに、恋が普通科の制服を着ているのは当初のイメージ画であって本編では普通科の制服は着ませんよ、となる可能性はないではないが、確率としてはあまりに低い──というよりも、いま頃そんなことが運営側、スタッフ側からアナウンスされたら暴動必至でありましょう。おいコラ、ふざけんな、と。
 それはともかく、恋が普通科にもし転科してきたら、相当な反発が生まれることは容易に想像できる。しかも生徒会長選挙中は音楽科と普通科の融和、相互理解を訴え、実現に努めるというていたにもかかわらず、当選後の挨拶、所信表明演説では文化祭を音楽科中心で開催すると明らかな公約違反を宣言したのですから、反発はかなり強いものになるでしょう。
 それをいう前に躊躇いが生んだ空白の時間があったことで、本当にそれが恋が最初から考えていたことなのか、或いはそんなこと考えてはいなかったが創立者の娘という立場が、学校への想いの強さが発言を土壇場で180度転換させたのか、それは定かではない。
 このような状況を生み出した恋が、かのんたちのスクールアイドルに合流するのは極めて難しくなった、と見ざるを得ないでしょう。況んや普通科への転科をや。
 かのんの説得と根回しでどうにかできる段階では、既になくなっております。かのんと千砂都が中心になって恋の気持ちを確かめ、普通科と葉月恋ひいては音楽科との橋渡し役となる予感はありますが、さて、どうなることやら。
 第7話をわたくしは、暗雲の立ちこめる回になった、と昨日の原稿に書きました。次回第8話でこの暗雲がどのようにして一掃されることになるのか、不安であると同時に非常に楽しみにしているのもまた事実なのであります。誰が雷を以て雲を払い、ヴァルハラへの虹の橋を架けるのか──。
 ──いやぁ、それにしても相変わらず可可は可愛いですね。
 そうして、第7話のエンディングを歌うのは葉月恋(青山なぎさ)、「リエラのうた」以外ではじめてこの人の歌う声を聞いたのですが、美しい。しん、と染み渡ってくる声です。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3151日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第7話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 懸念が現実になろうとしています……『ラブライブ!スーパースター!!』第7話「決戦! 生徒会長選」は暗雲の立ちこめる回となりました……ここまで順調に積み重ねてきた評価が一転、地に堕ち塵芥に塗れる予感を濃厚に漂わせる不穏な空気が、本話にはぷんぷん漂っております。
 ストーリーは大まかに紹介すると、以下のようになります、──
 夏休み明けの9月、最初の登校日。延期になっていた初年度生徒会を発足させるため、結ヶ丘女子高等学校では生徒会長選を行うことになった。本命候補は葉月恋。創立者の娘であり、彼女自身この学校に特別な想いを持っていることを誰もが知ることから、立候補は勿論、最初から当選は確実視されていた。
 が、彼女の暴走を不安に思い、普通科蔑視を快く思わぬ人たちがいるのも、また事実──従って普通科からも誰か候補者を。そこで浮上したのが澁谷かのん、代フェスでの新人特別賞の受賞、サニーパッションに招かれて行った神津島でのライヴの成功など知名度では恋とタイなかのんが対抗馬と目されるのは当然。が、実際に普通科から立候補したのは平安名すみれであり、投票結果はペナルティを科されたせいもあって恋の圧勝。
 しかし講堂に集まった生徒たちが聞いた恋の挨拶は反発を招くこと必至で、実際かのんの隣のクラスでは公約違反に対する抗議署名を集める運動が展開される。新生徒会長の掌返しな発言にいま一つ納得のゆかぬかのん。下校する恋のあとを尾け、彼女の自宅で知った事実とは──。
 ──以上となります。
 前回予告から或る程度のドタバタというか、コメディタッチの回になることは予想できていました。そのあたりについては期待にそぐわないものとなった。恋が生徒会長になったらスクールアイドル活動は弾圧されてしまう、と可可が妄想するシーンは殆ど禁酒法時代のアメリカであります。Aパートでのかのんに立候補を勧める可可と千砂都のやり取りも面白かったし、相変わらずのすみれの、もはや不憫とさえ思われる扱いも堂に入ったものとなってきた。すみれといえば尾行時の扮装の帽子も『ラブライブ!』で矢澤パイセンが被っていたのと同様、アレな形のもので、通りすがりの子供たちに指さされていましたね(16分49秒)。
 が、それを帳消しにして余りある程の瑕疵を、本話は残しました。
 恋の自宅で偶然たち聞いてしまった、恋と葉月家に仕えるメイドの会話が、それです。いえ、これまでにもそれを想起させるシーン、発言、会話は出てきました。学校にこだわる恋の態度、恋と理事長の間で交わされた含みのある会話、などなど。加えていえばおそらくはそこに、恋のスクールアイドル活動を忌避する理由もある、と思われます。
 件の会話を再現してみましょう。21分55秒からのシーンです、──
 恋;聞いていたのですか?
 かのん;1人ってどういうこと? お金がない、って──
 恋;そのままの意味です。この家に残っているのはわたくし1人。お金もありません。このままでは学校を運営してゆくことも──
 かのん;え……?
 恋;母が遺した学校を続けるためには、わたくしが頑張るしかないのです。
 かのん;葉月さん……。
──と。
 これってなんだかおかしいな、と思うのですよね。
 創立者の家が学校の経営資金を負担することは、現実にあり得るのでしょうか。そりゃあ、幾許かの拠出はあるでしょうが、葉月家の経済を逼迫させる程の(いい換えれば恋をそこまで追いつめる程の)金額が毎年必要になるのか、と……。わたくしの認識が甘いだけかもしれませんが、どうしてもそのあたりに引っかかりを覚えてしまうのであります。
 創立1年目の新設校とはいえ、この学校は生徒の親からの寄付金を募ったり、或いは後援組織やそれに類する団体からの出資があるとか、私立学校でよく行われている経営維持の方策は採られていなかったのか。私立学校法も見てみましたが、ますます結ヶ丘女子高等学校の創立は摩訶不思議な経緯をたどっている印象を強くしただけでした。
 卑近な例にはなりますが、わたくしが通った私立高校は当時、創立10年目を迎えた学校だったが、創立前から理事長(当時は校長)であった人物と縁のあった代議士(閣僚経験者)を中心とした後援団体を作り、そこからの資金援助を主柱として学校を開き、第1期生を迎えた、と、校長や教頭、或いは創立当時を知る人たちから同窓会等で仄聞したことがあります。そんな経験があるから、なおさら結ヶ丘女子高等学校の創立経緯や経営母体と葉月家の存在もしくは関係性に疑問を感じてならぬのであります。
 もっとも、アニメのなかの学校に現実を当て嵌めようとしているわたくしの行為が極めて滑稽で或ることは承知しております。
 学校絡みでいうてしまいますが、神宮音楽学校の制服と結ヶ丘女子高等学校の制服って、まったくデザインが同じなんですね(20分14秒-20分22秒までの画面で確認できる限り)。わたくしはこの点にも不思議を感じてしまうのです。神宮音楽学校を前身とした学校であるならば、そこで採用されていた制服はむしろ音楽科が継承すべきものではあるまいか、と。ここになんらかの意図を──アニメスタッフの、ではなく、創立にかかわった人々の──感じてしまうのは、流石に穿ちすぎでありましょうか?
 それにしても、放送スタート前から不安視されていた問題の1つが、いまここに至って現実となることを、はたして誰が予期したでしょう。えーっと、『ラブライブ!』って学校が廃校問題に曝されないと成立しない物語なの? 学校を救うためにスクールアイドルやって廃校を阻止しよう、っていうのがシリーズ全体のコンセプトなの? それなら時によって『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』がシリーズ番外編の如き扱いをされているのも理解できる。
 が、そんなコンセプトが実際に存在するなら、わたくしは『ラブライブ!』シリーズに三行半を突き付けたい。観るだけ無駄、という気はないが、視聴者を愚弄するな、とぐらいはいってやりたい。スタッフ諸氏による視聴者置いてけぼりにも、自己満足とオナニーにも付き合う謂われはまるでないのだから。
 それにしても不安なのは、脚本の花田十輝氏であります。この方、巷間いわれているように原作附きアニメの脚本では非常に冴えた、良い仕事をするのですが(例;『響け! ユーフォニアム』等)、原作なしのアニメ脚本ではたいていどこかで場当たり的な書き方をして、それが当該作の致命傷になってしまう、という残念な傾向が見られます(例;『ラブライブ!サンシャイン!!』等)。『ラブライブ!スーパースター!!』では学校の廃校問題とは無縁の様子だったので、、花田氏の冴えた仕事ぶりを期待して、それが現実となって最終回を観終えられたら、と思うていたのですが……。
 とはいえ、この問題について結論を出すのは、まだ早い。次回第8話を観てみないことには、なんともいえぬ。現時点ではまだ憶測と不安を表明するに留めるのが無難でありましょう。
 ──過去放送分の感想文が長くなってしまっていたことを反省していましたが、本話より可能な限りスリム化を図ることにいたしました。よって、まだまだ述べたりぬ部分もありますため、改めて稿を起こして「落穂拾い」をしてみたい、と思うています。
 次回第8話は、「結ばれる想い」。映像で観る限り、第7話までの間で欲求不満にさせられた要素の幾つか、そうして今後のストーリー展開に決定的な影響を及ぼす要素が、解決されるようです。楽しみに次回放送を待ちましょう。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3145日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第6話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 改めて『ラブライブ!』は友情の物語でもあるのだな、と実感させられた第6話「夢見ていた」でありました。新たな出会いによって結ばれた友情、犬猿の仲と称されるもその実……という友情、そうしてむかしから育まれてきてより堅く結ばれた友情、……。
 これまでの9人から5人に減らしたことで生まれた最大のメリットは、丁寧に描かれた人間関係の掘りさげである。始まった当初こそ戸惑いと不安が入り交じっておりましたが、特に9人いなければ『ラブライブ!』ではない、というわけでもない。むしろ5人になったことで物語の密度が濃くなり、各々の関係性や内面の描写がより丁寧に描かれるようになりました。
 それを如実に表したのが第6話に於けるかのんと千砂都、シリーズ通じて定番な組み合わせとなった幼馴染みの2人だった。そうして彼女たちが子供の頃から育んできた友情、互いの気持ちは、もしかすると視聴者が考えていたよりも堅く結ばれたものであり、また、シリーズでいちばん深く関係性が掘りさげられたものだったように考えます。
 本稿は前回に続いて、澁谷かのんと嵐千砂都の絆、相手への感情など触れてゆきましょう。今回はシナリオの再現が多くを占めるかもしれませんが、あらかじめその旨ご承知置きください。

 第6話は千砂都の回想から始まりました。近所であってもはじめて遊びに来た公園で遊んでいると、以前からそこを遊び場にしていた女の子3人から吊し上げに遭ってしまいます。どうやら縄張りを荒らされたことで生じた諍いであったでありましょう。その結果、自分たちの縄張りを荒らした罰として、いじめっ子連(この場合はどうしてもそういういい方になってしまうなぁ)は千砂都の髪留め紐を取りあげてしまう──と、ここで貴重な光景をわれらは拝むことができます。片方のみながら千砂都の髪下ろしシーンが見られるためであります。もうなんというか、可愛いとしかいい様がありません(00分19秒)。
 懸命に取り返そうとするもだんだん涙目になってくるのは仕方ないところ。子供ですもん、女の子ですもん。いじめっ子の一人に指摘されてバカにされるも千砂都は、「泣いてないもん!」と抗う。この場面ですが初見では、よくある反応だよね、と見過ごしてしまうのですが、だんだん本話を観てゆくとこれが伏線と申しましょうか、千砂都の原動力の1つになっていることに気附かされるはずであります。
 第5話でかのんが子供時代を回想して、千砂都が自分に宣言というか誓ったことがあったのを覚えておられるでしょうか。「私、かのんちゃんができないことをできるようになる」という台詞ですが、第6話での回想シーンはいずれも先程の「泣いてないもん!」とこの台詞の背景と理由を語るものとなります。
 いじめっ子連に取られた髪留め紐を取り返そうとあがくも千砂都の心はもう崩壊寸前でした。そこに駆けつけたのが、かのん。あわやこらえきれずに泣き出しそうになるかと思われた瞬間に、助けに駆けつけるかのんが、やたらカッコイイのです(00分48秒)。いじめっ子連の前に毅然と立ち塞がり、「ちぃちゃんをいじめちゃダメ! ちぃちゃんの大事なもの、いますぐ返しなさいよっ!」というかのん(00分52秒-00分59秒)、やはりこの人は弱い者の立場に立つことのできる<お姉ちゃん>気質の人なんだな、と納得させられたことであります。
 00分48秒からのシーンです、──
 [回想]
 かのん;こらーっ!!
 (公園の入り口から走ってくるかのん。それを見る千砂都といじめっ子連)
 千砂都;かのんちゃん……
 (千砂都といじめっ子連の間に割って入る)
 かのん;ちぃちゃんをいじめちゃダメ!
 いじめっ子A;なんなの、あんた!?
 かのん;いいから、ちぃちゃんの大事なもの、いますぐ返しなさいよ!!
 いじめっ子A;いらない!
 (去ってゆくいじめっ子連。ブランコに坐る千早都の髪を団子にして、取り返した紐でまとめるかのん)
 かのん;よし。
 千砂都;ありがとう。でも、仕返しされるかも。
 かのん;大丈夫。ちぃちゃんのことは私が守るから。困ったら私を呼んで。
 千砂都;かのんちゃん……。
 [千砂都 モノローグ]
 千砂都;私はこのとき思った。このままじゃ嫌だって。いつかかのんちゃんを助けられるようになりたい。いつか必ず。
──と。
 駆けつけてくるかのんにいじめっ子連といっしょに目を向ける千砂都にとってはまさしく騎兵隊の登場、いじめっ子連には想定外の援軍の出現だったのでしょうね。
 併せてこのゼウス・エクス・マキナ的な登場の仕方、もはや様々な物語に於いて紀元前よりお馴染みとなったものだが、あらためてこうやって正面切って使われると妙な感動さえ覚えさせられます。そんな御託はともかく、駆けつけるかのんの格好良さに改めて、彼女に惚れ直した人も多いのでは。わたくしもその1人であります。もっとも惚れ直すとはいうてもこのときのかのん、小学校に上がっているかどうかも不明な年齢なんですけれどね。
 このあと、代フェスの会場になり、第5話で千砂都がかのんに誓ったステージでの場面になるのですが、第5話を観たとき気になっていたこと──千砂都のスカートの膝小僧が汚れていた理由は、いじめっ子連と争ったときにできた汚れだったのか、と納得させられたことも、併せてお伝えしておきます。
 それにしても幼少時のかのんと千砂都、単体でいても目を引きますが2人揃って横に並ぶとなんとも神々しさが増したコンビ(カップル?)になりますね。最強クラスの幼馴染みかもしれません。
 かのんと千砂都の結びつきの固さ、相手への想い、そうした点が表現された台詞を、以下に再現しましょう。
 まずはBパート、12分00秒-16分59秒の場面です。ここは結ヶ丘女子高等学校音楽科のレッスン室と中庭を舞台にした、千砂都と葉月恋の会話です。
余談ながらこの場面のなかで、ようやく<恋ポンコツ化への道>が定められたように感じます。コロンボ刑事ばりの行動を披露したばかりでなく、なんともいえぬ絶妙なボケ具合が相俟って歴代生徒会長の系譜の後継者にふさわしい人物と化していっております……なかの人の壊れっぷりもまた見事なものでありますから(ex;【2021年4月10日配信】ラブライブ!スーパースター!! Liella!生放送 ~私たち、デビューしました!~)、歴代の系譜が仮になくともその道は既定路線であったように思われてなりません。青山なぎさは葉月恋を演じるべくしてこの世界に舞い降りた人、と申しあげてよいと思います。
 脱線しました。上記時間帯の、千砂都と恋の会話です。曰く、──
 恋;おはようございます。
 千砂都;わぁ、すごいね。
 恋;以前、フィギュアスケートもやっていたので。
 千砂都;それだけ踊れたら、なんでも出来そう。
 恋;嵐さんのダンスにはかないませんよ。──今日、大会ですよね。
 千砂都;うん、午後からなんだけどね。最後に動きを確認しておこうと思って。
 恋;そう……。澁谷さんたちは、やはり……?
 千砂都;うん、かのんちゃんたちはライヴあるし。
 (恋、視線を椅子の上の、千砂都のカバンに移す。それを自分でも気づかぬ間に凝視している)
 千砂都;どうかした?
 恋;(われに返って)い、いえ。では、がんばってください。
 (千砂都、準備運動を始める。恋、レッスン室を出るもすぐに立ち止まる)
 (恋、レッスン室のドアを開けて、顔を覗かせる)
 恋;あの。
 千砂都;うん?
 恋;いえ。
 (恋、レッスン室のドアを閉めて去る。が、すぐに再び顔を覗かせる)
 千砂都;うん?
 恋;いえ。
 (恋、レッスン室のドアを閉めて去る。千砂都、流石に怪しく思うてドアを見つめる)
 (恋、レッスン室のドアを開けて三度[みたび]、顔を覗かせる)
 恋;あの~。
 千砂都;(ドアの脇から)なに?
 恋;ひっ!
 (レッスン室から中庭に移動、千砂都も恋も夏服姿である)
 千砂都;そうか、見ちゃったのか。
 恋;信じてください、けっしてワザとでは。ただ偶然というか、そのぉ。
 千砂都;大会で優勝できなかったら、ここを辞めるつもり。決めたんだ。
 恋;そんな……。
 千砂都;海外で修行するのも悪くないなぁ、って。
 恋;どうして?
 千砂都;かのんちゃんの力になれないから。
 恋;え?
 千砂都;それなら、ここでダンスを続けてたって意味ないもん。
 恋;すみません、わたくしには意味が……。
 千砂都;私ね、小さい頃よくいじめられてたんだ。
 [回想 千砂都、公園の片隅、茂みのなかで一人しゃがんで絵を描いている。それを見掛けた女の子4人が──]
 女の子1;なにしてるんだろう? (千砂都、顔を引きつらせる)
 女の子2;ひとり?
 女の子3;友だちいないの?
 女の子4;暗い子、嫌い。
 千砂都;(モノローグ)むかしの私は気も弱くて、体力もなくて、いつもなにかに怯えてた。
 [千砂都、公園から逃げるように走り出し、住宅街の道で転んでしまう]
 千砂都;あ!! (千砂都、転ぶ。大声で泣き出してしまう。そこにかのんが通りかかって声を掛ける)
 かのん;どうしたの? (千砂都が顔をあげると、脱げてしまった片方の靴を持ったかのんが前屈みになって心配そうな顔で千砂都を見つめている)
 千砂都;(モノローグ)助けてくれたのが、かのんちゃんだった。
 かのん;(ブランコに坐っている千早都に)あっちでいっしょに遊ぼうよ。
 千砂都;私は……。
 かのん;行こうよ。(なお渋る様子の千砂都にてを差し伸ばすかのん)私が一緒にいるから。ね?
 [千砂都、躊躇いながらもかのんの手を取る。コンクリートマウンテン〔山形遊具〕の上から夕暮れ時の街並みを眺める千砂都とかのん]
 千砂都;(モノローグ)かのんちゃんはいろんなことを教えてくれた。前に進む大切さだったり、新しいことを見附ける楽しさだったり。
 [心奪われたように街を見つめる千砂都を見ながら、かのんが満足した表情でにっこり笑う。回想終わり]
 千砂都;だからいつか、かのんちゃんの横に立てる人になりたくて。
 恋;それがダンスとどういう関係が。まさか、──
 千砂都;うん、始めたのはね、かのんちゃんがきっかけ。
 恋;まあ。
 千砂都;かのんちゃんの力になるには、いまの自分じゃダメだって。かのんちゃんができないことを1人でできるようにならなきゃ、って。
 恋;1人で?
 千砂都;そう、1人で結果を出して、自分に自信を持てるようになりたい。それまではかのんちゃんと一緒になにかをやるのはやめよう、って。
 恋;それで、スクールアイドルに入らなかったのですか?
 千砂都;うん、自分で決めたことだからね。ダンスで結果を出して、かのんちゃんの力になれるって自分に思えるまでは。だから、今日は勝負の時。そろそろ行くね。
 恋;ダンスで──ダンスで結果が出たら、どうするのですか?
 千砂都;そんなの決まってるよ。
──と。
 『ラブライブ!』、『ラブライブ!サンシャイン!!』及び『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』に於いて幼馴染みとは闇堕ちする存在と定められていた部分がありました。為、千砂都の存在を知ったときは「ああ、プルータス、お前もか」と天を仰いだのですが、懸念はどうやら杞憂に終わったようであります。千砂都は自分で自分自身と相手を信じる固い心を揺るぎなく持つ人でした。安堵。
 そうして第6話のクライマックスというてよい、神津島から急遽戻ってきたかのんが、ダンス大会のステージを控えた千砂都の許に駆けつけ、尊敬と敬慕の気持ちを告白するシーン。まぁ、どうやって戻ってきたのか、という疑問はありますが、それはさておき。
 大会前夜、かのんと千砂都は神津島と原宿界隈という場所の違いこそあれ、満月を眺めながら電話で話していました。その際、千砂都の様子が普段と違うことを不安に思うたかのんが、悠奈に直談判──「あの、お願いがあるんですけど!」(11分38秒)──する。それは、本土に戻って千砂都を応援したいという内容だったのでした。
 ダンス会場での会話は文字に起こすと非常に長いのですが、ここは敢えてメモに再現したものを中間省略することなしに載せることにいたします。16分38秒から20分08秒の場面となります。曰く、──
 (千砂都、かのんからのメッセージを読んでいる最中、こちらに走ってくる足音に気が付く)
 千砂都;うん?
 (会場の廊下を走ってくるかのん)
 千砂都;かのんちゃん!? ……どうして?
 かのん;(呼吸を整えて)ははは、来ちゃった。なんか電話で話してたとき、変だなって思って。(千砂都の手を握る)なんかちぃちゃん、すごい不安なんじゃないか、って思って。勘違いかもしれないけど。
 千砂都;うん……
 かのん;あ、私が伝えたかったのは1つだけ。私、いつもちぃちゃんのこと、尊敬してる。真面目にがんばって、すこしダメでもめげたり、落ちこんだりしないし。だから、──
 (千砂都、かのんの手を放す)
 千砂都;やっぱりダメだな。
 かのん;え?
 千砂都;1人でがんばらなきゃいけないのに。自分で自分に自信持てるまで、かのんちゃんがいないところで1人でやろうと思ったのに。
 かのん;ちぃちゃん……。
 千砂都;かのんちゃんが来てくれたとき、やっぱりホッとしちゃった。──かのんちゃんは悪くないよ。悪いのは弱い私。かのんちゃんに頼らないって、今日ここでかのんちゃんのできないことをできる自分になるんだって。
 かのん;ちぃちゃん……。
 千砂都;こう見えて私、負けず嫌いなんだ。
 かのん;だったら私も思ってた。ちぃちゃんに助けてもらってばっかりだって。
 千砂都;え?
 かのん;歌えなかったとき、失敗したとき、いつもちぃちゃんが助けてくれた。
 千砂都;それはかのんちゃんがいたから。
 かのん;じゃあ、2人一緒だね。
 千砂都;え?
 かのん;2人ともがんばってきた。お互いがお互いを見て、お互いを大切に想って。私ね、あのとき、本当に感激したの。全身が震えた。
 [回想;第5話での幼少時の2人の場面、別アングルで]
 千砂都;私、かのんちゃんのできないことをできるようになる。(かのん、心打たれた表情)かのんちゃんの歌みたいに。大好きで、夢中になれるもの。私も持てるように、がんばる! (同上)
 [回想、終わり]
 かのん;なんてカッコいいんだろう、って。私もちぃちゃんのこと、見習わなきゃ、って。真似できないぐらい、歌えるようにならなきゃ、って。
 千砂都;あ……。
 かのん;ありがとう。あの言葉があったから、私、いまこうして歌っていられる。
 (かのん、ピースサインを作る。千砂都も笑顔でピースサインを作る。指先を重ね合わせて、)
 かのん;うぃっす、
 ちさと;うぃっす、
 2人;うぃっーす!!
 (千砂都、かのんに抱きついて見あげる)
 千砂都;待っててね! (決戦の場へ走ってゆく千砂都)
 かのん;(走り去ってゆく千砂都を笑顔で見送りながら)行ってらっしゃい、ちぃちゃん。
 (結ヶ丘女子高等学校理事長室で、ちぃちゃんダンス大会優勝の学内ニュースと千砂都の転科願いを微笑みながら見つめる理事長)
 (舞台は神津島へ戻る。夕暮れ時。サニパ、歌い終えてかのんたちを紹介する)
 悠奈;ありがとう! ではここで、本日のゲスト!
 摩央;私たちがいまいちばん注目している──
 サニパ;結ヶ丘女子スクールアイドル!!
 (舞台裏)
 かのん;(千砂都に)大丈夫?
 千砂都;うん。私ね、ずっと夢見ていた気がする。こういう日が来ることを。
 かのん;うん。
──と。このあと、4人揃っての初めてのステージで新曲、「常夏☆サンシャイン」が披露される。
 千砂都の夢、それは既に自身が言葉にしているように、かのんの横に立てるだけの自信を持って、一緒に同じことをやること。そのためにストイックなまでに千砂都は自分を鍛えあげ、スキルを磨き上げてきた──背水の陣を敷いてのダンス大会挑戦であったが、それは自他共に認める結果で終わりました。つまり、千砂都はすべてに於いて納得できるだけの材料を持ってかのんの許に合流して、コーチ的立場ではなく、つまり外野の助っ人ではなくメンバーの一人としてともにスクールアイドル活動に邁進することができるようになったのです。
 代フェスではダンスは綺麗なのに力を感じない、と評していたサニパの二人が、千砂都が合流したあとのパフォーマンスを見て、摩央「これが4人の力」(22分06秒)と驚嘆したのも無理はない。というよりも第5話で自分たちが感じていたこと、恐れていたこと(きみがもしメンバーだったら、グループとしては脅威だったけどね;悠奈)がいま眼の前で現実になってしまったのだから。
 逆にいえば昨年東京代表になったサニパをたじろがせるだけの力を、いまの時点でかのんたちグループは既に持っていることの証か。これで恋が加入したら一体どうなるのか……。末恐ろしいスクールアイドルグループを覚醒させてしまったサニパのこれからに要注目、か。

 ここに書くことが叶わなかった内容はずいぶんとあります。トレーニングメニューの話ですとか、可可のITスキルの高さ(いや、手先の器用さ、という方がよいのか)、理事長先生のこと、これからの恋の動向の予測などなどであります。
 幾つかの話題についてはまた別の機会にでも、と思うております。
 次回第7話「決戦! 生徒会長選」は、09月15日放送予定。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3144日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第6話感想文、1日延期のお知らせ。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 えーとデスね。『ラブライブ!スーパースター!!』第6話「夢見ていた」感想文ですが、まだ完成していません。本日お披露目を予定しておりましたが、1日延期させていただきたく本日、このような原稿を(断腸の思いで)書いております。一部には既に予告していたが斯様な結果になってしまい、申し訳ない。
 とはいえ、YouTubeで第6話が観られるのは09月14日(火)11時59分までとのことなので、感想メモから一部分だけ抜粋して、併せてリンクを貼ることにしようか、と思うておるのです。お茶濁し? そういわれることに否定はしない。が、敢えていうなら、「まぁ、こんな日もある」。
 第6話では初めてグループでエンディングが歌われ、同時に新曲「常夏☆サンシャイン」も披露された記念回。物語の上でも相当に感激な展開が待ち受けていた回でもある。要となるかのんと千砂都についても然りですが、恋の保護者的な眼差しや、いつもながらの可可とすみれのコントもお楽しみいただける回になっております。
 来週の第7話「決戦! 生徒会長選」は、箸休め回のようでありながら、恋の動向が注目を浴びそうな予感がプンプンしております。

(以下メモより)
 回想と現在がリンクして、本話を感動的なものにしている。2人の想いや絆が炸裂した回。これまでシリーズに登場した幼馴染みのうちで一番丁寧に関係が描かれた2人ではないか。
 電話で話した後、悠奈に「お願いがある」というたのは千砂都と話していたとき異変を感じた。 → 相手を思う気持ちからの行動力。
 出会い。転んだちさとを助けて、一緒に遊ぶようになる。
 髪留めの紐、大切なもの → 由来は描かれる?
 千砂都のかのんへの感謝や尊敬というのは、穂乃果に対する海未やことりのそれと異質。
(以上メモより)

 さて、明日は早い。もう寝ます。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3140日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第5話;かのんたちが訪れた島、神津島にわたくしも行きたい。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 すみれ:この先の島も東京なんて、ちょっと信じられないわね。
 かのん:そして、そこでもスクールアイドルをがんばっている人たちがいる。すごいなぁ、スクールアイドルって。
──『ラブライブ!スーパースター!!』第5話「パッションアイランド」(15分20秒)より


 恒例の合宿回かと思いきや第5話は、まさかのライヴ遠征回となりました。しかも向かう先は神津島であります。
 竹芝客船ターミナルから夜行の大型客船で最大9時間55分といいますから、23時に出港した場合、神津島着は翌朝8時15分。これを海外に移し替えると、羽田空港からモスクワシェレメーチエヴォ国際空港までの所要時間と大差ない(約10時間10分)。
 うーん、遠いといえば遠いけれど、同じ日本だし、夜行の客船なら寝てれば着く、朝目が覚めたら島は目と鼻の先なわけだから、モスクワに行くよりは気持ちの上でも感覚の上でもやはり、近いというべきか。
 そもかのんたちが神津島くんだりまで出かけたのは、サニーパッションから島起こしイヴェントの一環であるライヴに招待されたからでした。港でサニパの2人に出迎えられたかのんたちは、悠奈の家が経営すると思われる民宿に荷物を置いたあと、島の名所めぐりに繰り出します。それは悠奈の発案でしたが、どうしてもわたくしはわずかな微笑と共にここで回想せざるを得ないのです。
 なにを、ですって? μ’sの合宿回ですよ。殊第1期第10話「先輩禁止!!」に於ける、あの海未ちゃんのドヤ顔と共に披露されたトレーニングメニューに恐れをなし、脱走を企てた<3バカトリオ>の脱兎の如き行動力と、呆れてそのまま(なし崩し的に)海辺での戯れに雪崩れこんだ他メンバーの活き活きとした表情を──『けいおん!』にも同じシチュエーションがありましたね──。
 もはやデジャヴなんてものではありません。が、悠奈たちの目的の1つが観光地になっている地元の案内、となれば、かのんたちが島での遊びを満喫することに、なんの理由がいりましょうか。
 わたくしも作中で描かれた名所各地を探しながら神津島観光協会、東海汽船のHPで紹介される神津島のあちこちを閲覧してまわっていて、すっかりこの島のファンになってしまったことを、あらかじめ告白しておきたいと思います。あとで触れますが、やはりこの島が天体観測で人気の島、というあたりがポイント高いかな。
 かのんたちが飛び込みを怖じ気づいた飛び込み台。それは赤崎遊歩道にある飛び込み台のことでして、作中でも描かれる通り、高い土地込み台と低い飛び込み台がある。『LLSS』では低い方からは小さい女の子が飛びこむ。それをしっかり見ているかのんの動き(16分33秒)が個人的にはツボ。足がカクッと開いていて、目が点になっている。
 ロングショットでの作画のため、こうなるのは当然なのですが、なんともいえぬ風情を漂わせた一コマでありました。こうした細かな、小さな描写がキチンとされていると無暗に嬉しくなる者なのであります、わたくしは。
 神津島観光協会のサイトでは「足がつかない岩場ですので小さなお子様連れの方は十分気を付けてください」とある。作中では地元の子と思しき女の子が躊躇なく低い飛び込み台から飛びこんでいるが、んんん、地元の子に関してはもう馴れているからノー・プロブレム、というところ?
 参考までに、前後で交わされたかのん、可可、すみれの会話を再現しておきます。16分35秒からの者となります。曰く、──
 かのん:いいなぁ、私もあっちにしよう、っと。
 すみれ:センターは、誰?
 かのん:私、かな?
 すみれ:じゃあ、お手本見せなさいよ!
 かのん:(すみれと可可に振り返りながら)私……だがいどごろぎらい~。
 悠奈:いいから、行く行く~!
 かのん:助けてー!! う゛わー!!!
 →かのん落下、かのんの手を取ろうとしていた可可とすみれもあえなく落下。悠奈は普通に飛びこむ。それを、先に海のなかにいた摩央と低い方から飛びこんだ女の子、遊歩道から親子連れが眺めている。
 摩央:飛び込みというより、落下ね。
──と。
 アフレコ現場はきっと、とっても和気あいあいとしていて、笑いの絶えない、アドリブの玉手箱のような光景なのだろうなぁ。特に澁谷かのん役の伊達さゆり。声優デビューとは思えぬ程の演技力といえます。声の表情や色味の付け方、瞬時のトーンの切り分けなど、経歴を聞いていなかったら「もう何年も活動している方なのだろうな」と錯覚してしまうぐらいの、尋常でないレヴェルの人なのですよね。
 さて、まだ夜間勤務明けの原稿執筆に馴れていないため、もう眠くて眠くて仕方ない。為、前述した天体観測のお話だけ簡単に済ませて筆を擱くことといたします。でもこれはけっして手抜きとかそんな類のことではない──顧みれば、この2つの話題だけきちんと書ければ本望、と思うていた部分もあるゆえ擱筆の判断を下した次第(序でにいえば本稿のお披露目が1時間遅くなったのは、書きながら寝てしまったがゆえでもありました)。
 身内の影響で子供の頃から星空を仰ぐことは大好きでした。仕事の帰りに神社の境内やマンションの広場でぼんやり夜空を見あげて、1個1個星座を探していったり、人工衛星の流れる様を眺めたり、メガネで矯正する視力で何等星まで見えるか目を凝らしたりすることには、いまでも無上の喜びと感じております。
 実はわたくしが長野県によく足を運ぶ理由の1つは、この天体観測にあります。近所の写真店の親爺が主催する星空撮影のツアーに参加させてもらって出かけた阿智村、そこで知り合った方に誘われた美ヶ原、フィールドワークの帰り道に案内された伊那の勝間薬師堂、奥方様と独身時代に訪れた小諸の高峰高原などがいちばん思い出の深いところに残っております。
 それはさておき、かのんたちが露天風呂に入りながら見あげた夜空は、アニメだから、というばかりではなく、本当に美しかった。実際に伊豆諸島に住んでいたバイト時代の同僚に聞くと、まさにあんな風に見られるようですね。かれは毎晩、あんな夜空を見あげていたのですから、羨ましい限りであります。
 第5話17分39秒からの会話であります。曰く、──
 かのん:わあ、綺麗。
 すみれ:こんなに星があるなんて。
 摩央:この島は天体観測にも向いているのよ。
 可可:空が輝いてます。
──と。
 わたくしはこの、可可の台詞を実際に自分の目で見たい、確かめたい、思い出として焼きつけたい、という思いから神津島行きを計画し、いまから実際に島を訪れる日が来るのを愉しみにしているのであります。いつ? ……いまでしょ、といいたいところですが、それは無理。奥方様がぶじ出産を終えて、母子ともに健康、旅行しても大丈夫なぐらいになったら、ですね。
 そのときは是非神津島を、かのんたちが歩いた場所を、あとを慕うようにして歩きたいなぁ。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3139日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』の感想はこんな風に書いています。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 小説や映画の感想なら書けるけれど、マンガやアニメはどんな風に書いたらよいのか、さっぱりであった。媒体が変わるだけでなにも、特に変わるところはない、そう了解していても、執った筆が途端に鈍るのは、やはり気負いがあるせいか。
 毎話お披露目中の『ラブライブ!スーパースター!!』(以下『LLSS』と略すことがある)の感想文は、元より目算あっての書き物ではなく、なんとなくの手遊びに始まったのがいまは頭を悩ませながらも書くことを愉しんでいる、というのが正直なところ。毎回感想を認めているところから当方の夢中ぶり、読者諸兄には一端なりともおわかりいただければ幸い、幸い。
 今日は幾分か趣向を変えて、かねて予告していた<『LLSS』の感想文を書くにあたってこんな手順を踏んでいる>という、どれだけの集客(閲覧者)を見込めるかわからぬ舞台裏ツアーのアテンダント気分で本稿を書いている。お退屈になってしまわれたら申し訳ないが、お付き合い願えれば、と思う。

「実際の執筆の過程は、もちろん主題の選択や当初の構想によって異なりますが、わたしの小説すべての来歴が分析されるなら、平均的な手順から、次の一連の規則が導き出せるでしょう。」
──H.P.ラヴクラフト「怪奇小説の執筆について」より
『ラヴクラフト全集』第4巻P314 大瀧啓裕・訳 創元推理文庫 1985/11

 ①すべては日曜日19時からの本放送を録画することから始まる。
 録画したものを当日中乃至は月曜日のうちに、かならず1回は観ておく。このとき、心に浮かんだ様々な感想の類を走り書きすることはあっても精々が二言、三言。目的はあくまで最新話の内容把握にある。最初の視聴では「感想をメモする」行為はあくまで二の次、三の次の作業だ。
 地上波、しかもNHKでの放送とあってニュース速報や災害情報のテロップが挿入されることは間々あるが、そんなことに目くじら立てて怨嗟罵倒の言葉をあげるのは詮ないことだ。リアルタイム放送当時の記録として、貴重な証言として保存しておくのが最善といえよう。

 ②観直して、メモを取る。
 一時停止、巻き戻し、スロー再生、時に字幕スーパーの助けを借りて、片っ端からメモを取ってゆく。メモは紙片に書きつけることもあれば、Macのテキストエディットへ打ちこんでゆくこともある。
 何分何秒の、誰の、どんな台詞、どんな場面、どんなシチュエーションが琴線に触れ、それによってどんな思いが湧いたのか。──どんな些細なことであっても、まともな文章になっていなくても、こじつけに過ぎなかったりまるで見当違いであったとしても、落ち着いて読み返せば支離滅裂気味であったりしても、とりあえずは心に浮かんだこと、引っ掛かったことはすべて、取捨選択することなく片っ端からメモしてゆく。
 メモは自家製のシナリオを兼ねる。これまでも『ラブライブ!スーパースター!!』感想文で登場人物の会話(と必要と判断した最小限のト書き)を再現してきた。この会話は、すべてまだどうにか機能してくれている耳でのヒアリングもしくは字幕スーパーのお世話になって書き起こしたものだ。斯様にト書きであったりシチュエーションも付け足しての再現であるせいか、どうしてもメモの分量は多くなる。使うかどうか、使えるか否かはこの時点ではまだわからない。
 ポイントは最新話を観て自分がなにを思うたか、どんな場面、どんな台詞に心が動いたか、である。
 この見直し作業は、可能であれば当日中乃至は月曜日のうちに行ってしまうのが、ベストだろう。初見の印象がまだ残っている間に観直した方が、最初に抱いた感想の再点検などがまだ鮮明なうちに行えるからだ。翌週火曜日の昼からYouTubeを始めとする動画配信サービスにて最新話が観られるようになるのだが、配信の始まる前にこの作業を済ませてしまうのが個人的にはオススメである。

 ③メモを点検する。
 次は録画を観返すことなく、観ながら作ったメモだけを頼りに最新話を脳内再生し、エピソードの構成や登場人物たちの動き、会話、描写、背景美術などを能う限り正確に甦らせる。そうすることで作品を自分のなかへ取りこみ、同時にトピックの洗い出し作業の呼び水とする。
 この段階で不安要素があったり、確認事項が生じた場合は、勿論躊躇うことなく録画、もしくはYouTubeの配信を観て解消、解決にこれ努める。

 ④第一稿の執筆に取り掛かる。
 ようやくMacの出番である。Pagesを開き、実際にキーボードを叩き始めるのだが、わたくしの場合は専らMacBookAirでの執筆が多い。というのも、iMacはYouTubeを最大画面にし、配信の始まった『ラブライブ!スーパースター!!』最新話を再生するためのマシンと化すためである。
 稀にモレスキンに第一稿を書いたりするが、Macに打ち直してみたら殆ど別物となるケースが大概だ。
 作られたメモを基に第一稿の執筆はされる。この段階では既にメモからなにを取り、なにを捨てるか、概ね決まっているので執筆が大きく停滞したり、まるごと捨てて一から書き直すような事態は、まず生じない。
 なかなか的確な言葉を思い浮かばなかったり、その場に相応しい表現が思い浮かばずウンウン唸ることはあると雖も、そうした問題は遅かれ早かれ解決する。これは経験から導き出された楽観でもあろう。
 なによりもこの段階で重要なのは、どんなことがあっても最後まで書くことだ。どんな文章でもそうだが、どんなに拙くても最後まで書けていれば<推敲>、<改稿>という名の下にブラッシュアップしてゆくことができるのだから。

 ⑤推敲する。
 文字通りのこと。
 短時間で効率的に、能率的に、他人様の目に触れても耐えられる感想文になるまで、繰り返し書き直す。誤字脱字を正し、用語用法の正確性に注意を配り、表記のブレをなくすだけでなく、より相応しい言葉や表現等々ヘの置き換えが可能であればどんどん訂正してゆく。
「必要な場合、あるいは望ましい場合は、全体に加筆訂正をほどこし、最善の配列が見つかるまで、発端から帰結にいたるまでさまざまに書きかえる。」
 「語彙、統語法、文章のリズム、段落わけ、語調、(中略)その他さまざまな要素に注意を払い、小説全体を書き直す。」
──H.P.ラヴクラフト「怪奇小説の執筆について」より
『ラヴクラフト全集』第4巻P315-6 前掲書


 ⑥リンクを貼って、投稿する。
 全工程の9割弱は終わった。が、だからというて気を緩めてはならない。
 ここでは本文中のサブタイトルにYouTubeのURLを埋めこむ。そのあとで確認作業を行う。プレヴュー画面を開いて、きちんとリンクが機能しているかを確かめる作業である。リンクをクリックして当該URLの画面が開いたら、URLの埋めこみ作業は正常に完了したということだ。
 これが済んだらプレヴュー画面を閉じて、公開日時とTwitterへの通知を設定して保存。この予約投稿の手続まで済ませたら、本当の意味で感想文の執筆、それにまつわるエトセトラは終わりだ。

 お気附きの方もあると思うが本稿、『ラブライブ!スーパースター!!』の感想文を書くにあたっての手順を明文化したものであるのみならず、ラヴクラフトのエッセイ「怪奇小説の執筆について」を多分に意識したものになっている。
 別のところでもお話ししたと記憶するが、わたくしはラヴクラフトの小説よりもエッセイや評論、書簡を愛読、偏愛してやまぬ者だ。書簡はちょっと脇に置いて、HPLのノンフィクションで10代の頃から鍾愛した作物はといえば、『文学における超自然的恐怖』と『読書の指針』、そうしてこの『怪奇小説の執筆について』の3編。
 本稿の第一稿は昨日、仕事帰りのスターバックスでモレスキンに一気呵成に筆を走らせたものだが、Macに打ちこんで読み返すとどうにも締まりのない文章に思えた。推敲にあたって手順の項目を立てた形を思い付いた際、即座に意識にのぼってきたのが件のラヴクラフトのエッセイだったのだ。
 途中に引用を挟んだ文章になったのは、そうした所以あってのことである。

 ──『ラブライブ!スーパースター!!』の感想文は、試行錯誤しながらこんな手順で書いてきた。もっと効率的な方法もあるのだろうけれど、わたくしにはこうした方法(書き方)はいちばん性に合っている様子。どうにかして個性というものを出してみたいと思うているけれど、なかなかこれが難しい。◆


ラブライブ! スーパースター!! 1 (特装限定版) [Blu-ray]

ラブライブ! スーパースター!! 1 (特装限定版) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: バンダイナムコアーツ
  • 発売日: 2021/09/28
  • メディア: Blu-ray



ラヴクラフト全集 (4) (創元推理文庫 (523‐4)) (創元推理文庫 523-4)

ラヴクラフト全集 (4) (創元推理文庫 (523‐4)) (創元推理文庫 523-4)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1985/11/29
  • メディア: 文庫




共通テーマ:日記・雑感

第3131日目 〈『はじめてガイドブック』と『FIRST FAN BOOK』を(今日買って、)読みました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 今日になってようやく、『ラブライブ!スーパースター!! はじめてガイドブック』『ラブライブ!スーパースター!! FIRST FAN BOOK』を自分用に買いました(以下、『はじめてガイドブック』、『FIRST FAN BOOK』と略す)。店頭引取なのに、店舗到着のメールをパソコンから転送し忘れたのは、内緒。
 帰宅後、夕飯の支度中の奥方様を視界の隅に置きながら目を通していたら、「やらかしたかなぁ」と心中ぼやかざるを得なかった。というのも、既に件のムックにて明言されている事柄について素人探偵よろしく考察している点が、あったからです。
 神宮音楽学校学校の閉校から結ヶ岡女子高等学校の創設までのこと、いろいろ考えました。閉校タイミングや、どんな過程があって新設校の開設に至ったのか。前者については最大で3年と推測し、後者に関しては葉月恋の母、花と現在の理事長が大きく関わっているのだろう、と(ex;第3126日目2/2 〈『ラブライブ!スーパースター!!』〜結ヶ岡女子高等学校について。〉【改訂・補筆版】)。
 明確ではないまでも回答の一部は既に、『はじめてガイドブック』P38、『FIRST FAN BOOK』ピンナップ「沿革」に明記されていた。曰く、「前身はこの地に古くからあり、地元の生徒たちに愛された女子高等学校であり、生徒不足による廃校から数年、取り壊し寸前だった学校を、地元の名士が買取り、新たに高校学校として再スタートを切ることになった」(「沿革」より。原文ママ)と。因みに『はじめてガイドブック』でも買い取ったのは「地元の名士」と単数形で記載されています。
 この「地元の名士」が、「元々この町に古くから住んで」(『FIRST FAN BOOK』P10)いて、その居住地が「学校の近くにある一軒家」(同P11)な葉月家であるとは容易に想像がつく──但し、容易に想像がつくからとて、それが必ずしも正解とは断定できない。可能性としていちばん濃いのが、葉月家である、というだけの話であって、もしかするとそれは葉月家ゆかりの誰かかもしれないし、地元出身の大物経済人かもしれませんからね。呵呵。
 他にもこの2冊を読んでいて、なんでこのとき誰も騒がなかったのか、と疑問に感じたのが、そもそも考察めいた文章を感想とは別に挙げるきっかけになった、「COFFEE HONOKA」。これ、既に『はじめてガイドブック』P39「結ヶ岡女子高等学校周辺MAP」で商店街のイラストに出ており、『FIRST FAN BOOK』P18でもすみれの背景として大きく(されど目立たぬ程度に)描かれております。
 あらかじめ『はじめてガイドブック』を買って隅々までじっくり読んでいたら、第1話放送時にはもうすこし落ち着いて件の場面を観ることができたであろうに。しかし、それでも敢えて発言するならば、「COFFEE HONOKA」は主人公、澁谷かのんの背景に現れてこそその神性を発揮するものであり、そこに登場した意味合いを増すものである、とわたくしは考える次第であります。
 もっとも、読んでいなかったからこそ、「第3099日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第1話;穂乃果ちゃん疑惑にまつわる考察と願望。〉」を書くことができたのでありますから、怪我の功名というべきかもしれません。
 [余談;ライトであれヘビーであれ、ラブライバーって心のどこかに<穂乃果ちゃん信仰>って持っているように思う。すべての始まり、背景奥深くにあって姿は見えずとも厳然とそこに在って、存在感を示している、北極星のような人。マザー・シップのような人。『THE IDOLM@STER』シリーズに於ける天海春香、『ガンダム』シリーズに於けるアムロ・レイ、モー娘。に於ける安倍なつみ……大体いわんとしているところはおわかりいただけると思います]
 『はじめてガイドブック』と『FIRST FAN BOOK』を遅蒔きながら購入する気になったのは、自分で感想文を認めて本ブログにお披露目することが毎週の習慣として定着したためであります。『電撃G's マガジン』と『LoveLive! Days ラブライブ!総合マガジン』も然りですが、これまで編集プロダクションなり出版社なりで読ませてもらっていただけでは、そこに書かれている情報やデータが自分のなかに入ってくることはない。古来いわれているように、本は自腹で購入して、手許に置かなくてはならんのだ。為、此度ようやく某アニメショップのオンラインサイトで注文し、今日(昨日ですか)抜糸した帰りに店舗へ寄り道して、引き取ってきた。そうして、学校の沿革等に接して「おやおや」と天を仰ぎ、このような文章の筆を執ったのでありました。
 昨第3130日目で予告した話題についてはまた明日以後、第6話放送までにはいずれも書いて、お披露目させていただきます。◆


ラブライブ!スーパースター!! はじめてガイドブック (電撃ムックシリーズ)

ラブライブ!スーパースター!! はじめてガイドブック (電撃ムックシリーズ)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/06/30
  • メディア: ムック



ラブライブ!スーパースター!! FIRST FAN BOOK

ラブライブ!スーパースター!! FIRST FAN BOOK

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/07/30
  • メディア: Kindle版




共通テーマ:日記・雑感

第3130日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第5話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 これまで縁の下の力持ちに回り、可可からなんど誘われても断ってコーチ役に徹してきた嵐千砂都にスポットのあたる回となった、第5話「パッションアイランド」。前回予告から既に千砂都回となることがアナウンスされておりましたが、実際に蓋を開けてみるとその話はどのようなものだったでしょうか。
 サニーパッションがかのんの店を訪れて、神津島で催されるライヴに招待する。それを諾ったかのんたちが千砂都を除く3人で神津島へ渡り、ライヴ準備に備える。その一方で、ダンス大会の学校代表として出場することが決まった千砂都の、退路を断った決断の時が迫る。
 プロットとしては、だいたい上述のようなものでよろしいと思います。
 第3話からどれだけ時間が経過しているか不明ですが、ああサニーパッションまだ本土にいたのね、という軽い「へぇ〜」にはじまり、よもや彼女たちの誘いでかのんたちが2度目のライヴの舞台を踏むことになろうとは。まぁ、A-RISEもSaint Snowも同じような役回りでμ’sとAqoursに意識改革を迫るようなステージを披露させたことを考えれば、サニーパッションが斯様な行動に出ることも想定できたことだったのかもしれませんね。
 07分18秒から12分23秒までの、かのんたちとサニーパッション、千砂都とサニーパッションの間でのやり取りで、かのんがもはやトラウマを完全に克服し得ていること、新たに加入したすみれも含めてグループとしての結束も徐々に固まりつつある様子が、窺えます。が、一方で千砂都への依存が強くなっていることを暗に指摘させられもしておりました。
 サニーパッションがかのんの店を訪ねてきたのは勿論、島でのライヴへの招待という名分ゆえでありますが、本当の理由は第3話でのクーカーのダンスから受けたちぐはぐな印象の確認にありました。
 すみれの神社で練習メニューを見せられたサニパ(中途半端だがここから名称を略します)が浮かべた、成る程、という表情は、感心ではなく予想の的中を意味していた。一歩退いたところからその様子を見ていた千砂都には、なにか腑に落ちないというか、引っ掛かるものを感じたのでしょう。かのんたちと別れて駅そばまできたサニパの2人は、あとを追ってきた千砂都に呼び止められます。11分08秒からのシーンです、──
 千砂都:お2人に聞きたいことがあって。
 悠奈:ラブライブ!に勝てるか?
 千砂都:どう思いますか?
 摩央:わざわざ呼び止めてそんなこと訊いてくるってことは、私たちがなにを思っていたか、気になったってことね。
 千砂都:はい。
 悠奈:(摩央に)どうする?
 摩央:言ってあげた方がいいんじゃない?
 悠奈:歌もいいし、チームとしてまとまってもいる。でも、勝つのは難しいかもね。どこか自分たちで動いてるって感じがしないんだ。特にダンスはね。
 千砂都:自分たちで。
 摩央:実は、それを確かめに来たところもあるの。なぜ、あんな上手なのに、力強さを感じさせないんだろう、って。
 悠奈;きみがコーチをしているときいて、理由がわかったよ。
 摩央:いまはダンスに関して、みんな、あなたを信頼して、あなたに頼っている。でも、それではいつまでも自分たちで動いてゆく力強さは生まれない。
 悠奈:きみがもしメンバーだったら、グループとしては脅威だったけどね。[~12:23]
──この指摘を千砂都は、どんな思いで聞いたことでしょう。薄々自分のなかにあった「このままではいけない」という気持ちが形になった瞬間であったように思います。本話冒頭で先生からダンス大会への代表の話をもらったときから揺らいでいた、かのんたちと一緒にいたい、という願いとダンスをがんばるという夢のせめぎ合いに一時的ながら終止符が打たれた瞬間、というてもよいかもしれません。
 このときに千砂都が出した結論が、その直後に描かれます。即ち、神津島でのライヴ不参加の表明と、夏休み中はかのんたちと別行動をとるてふ宣言でありました。
 サニパが指摘した「かのんたちは千砂都に頼っている」ことは、部室でそれを聞かされた3人の唖然とした表情からほぼ事実というてよい。それは、まさか千砂都が一緒に来ない可能性など微塵も感じていなかったことの証左といえましょう。
 千砂都自身としても、おそらくその決断は断腸の思いで下したことであったに違いありません。サニパの2人から言葉にされたことが後押しとなり、荒療治というわけではないが、千砂都に思いきった行動を取らせた。同時にそれは本話冒頭で誘われていたダンス大会へ、いわゆる不退転の決意で臨むことでもあったわけです。
 けっこう多くの視聴者を震撼させた本話ラスト──カバンから覗いて見えた「退学届」が、「不退転」と述べる根拠。これが次回以後の伏線、そうして学校側との一悶着の火種になるのは必至であります。
 大会で結果が出せなかった場合、結ヶ丘女子高等学校そのものからの退学なのか、音楽科からのそれなのか、というところですが、普通に考えたら後者の場合は「転科届」となるでしょう。一時停止にしないまでもこの場面をよく見ると、クリアフォルダにはもう1枚、「退学届」の他に書類が1枚、挟みこまれているのが見て取れる(22:21)。実は「退学届」の他に「転科届」もいっしょにもらってきていたんだよぉ、なんてオチなら抱腹絶倒だが、流石にないでしょうね。そんな逃げ道を用意する必要もないし。
 この件については今の時点で「あーだ、こーだ」と検証してみても詮無いことです。次回以後の宿題としましょう。
 ──千砂都の話題に終始するようですが、本話はかのんの、千砂都への想いの一端が描写された回でもありました。これまでのシリーズにも幼馴染みは多量に登場してきましたし、それぞれの往時の様子が描かれたことも何回となくありました。現在の行動や決断に直接つながる幼い日の思い出が描かれたケースというのは、存外に少なかったように思います。具体的に思い出せるのは、『ラブライブ!サンシャイン!!』に於ける国木田花丸と津島善子の幼稚園での天使エピソードぐらいで、他はなんだかいずれも微妙に異なります。
 そのなかでも本話に於けるかのんと千砂都の幼少期のエピソードは、千砂都がダンスを目指すことになった理由であったり、かのんが当時から歌が上手であったことを示唆する内容であり、またその舞台となった場所が第3話でフェスが行われた会場であることの奇遇(これを踏まえて第3話を観返せば、ステージで歌うかのんを見守る千砂都の表情も、これまでとは違う意味合いを帯びてきます)なども伝えるそれでありました。
 20分47秒からはじまる、神津島の夜の海岸でのかのんと可可の会話です、──
 可可:千砂都さんをやっぱりスクールアイドルに誘いませんか?
 かのん:可可ちゃん……。
 可可:もし、千砂都さんがいてくれたら、このグループはもっともっとよくなると思います。
 かのん:だよねぇ。私、可可ちゃんのためにも、スクールアイドルで結果出したい。そのためにも、ちぃちゃんにもメンバーになってもらえたら、って。
 可可:なんでダメ?
 かのん:ちぃちゃんね、まだ小さかった頃、私の前ではっきり言ったんだ。
[子供の頃の回想、舞台はフェスの会場となった場所。
 千砂都:わたし、かのんちゃんのできないことをできるようになる。かのんちゃんの歌みたいに。大好きで、夢中になれるもの。私も持てるようにがんばる!]
 かのん:そういって始めたのが、ダンス。
 可可:そうだったのですか。
 かのん:私ね、そんなちぃちゃんがいてくれたから、歌、諦めずにがんばってこられたと思ってるんだ。
──この前に、サニパの2人を含めた5人で露天風呂に入る場面がありました。ここでも夜空に瞬く星を見あげながら、「ちぃちゃんにも見せてあげたかったなぁ」というかのんの台詞も、ひとえにいまここに一緒にいないのが残念だ、という以上のものを感じてしまいます。スクールアイドル活動を共にすることで思い出を積み重ねてゆきたいというばかりでなく、2人でそれぞれ目指すと誓った夢の実現を果たしたいと確認したかったように、わたくしの眼には映ったのであります。
 ……さて、既に3,000字を超えてしまっております。これ以上は書くをの控えて、筆を擱きましょう。ただ他にも第5話の内容に関してお喋りしたいことは幾つもあるので、それらはまた別稿としてお披露目したく存じます。合わせて、これもまた別の文章となりますが、本作の感想を書くにあたっての準備とか手順とか、そんなことを備忘と反省・改良を兼ねて書いておきたいと思うております。
 次回、第6話「夢見ていた」は、09月05日放送予定。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3126日目2/2 〈『ラブライブ!スーパースター!!』〜結ヶ岡女子高等学校について。〉【改訂・補筆版】 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 『ラブライブ!スーパースター!!』の舞台は原宿・青山・表参道に跨がるエリアに設定されております。『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』を含めれば、3度目の23区を舞台にした作品。
 では、Liella!のメンバーが通う結ヶ岡女子高等学校は何区にあるのか? 検討の起点になるのは、彼女たちが学校帰りに特になんの交通機関を使うことなく、原宿駅・竹下通りに出られる点でしょうか。それにリンクする検討材料が、かのんと千砂都の出身中学である外苑西中学校の存在。既に述べたように、この中学の屋上からは新国立競技場を眺めることができました。
 外苑西中学校については外観の描写がありません。従って新国立競技場の見える方角やおおよその距離から推測で述べることになりますが、──学校のモデルになった建物は実在の施設になるため、名前を出すことは控えます──おそらく立地のモデルになったのは東郷神社周辺の建物でありましょう。
 結ヶ岡女子高等学校がどのあたりに立地するか、という点については、フィクションならではの地理改変の結果として、渋谷区神宮3丁目内のどこかかな、と憶測するより他ありません。国立音ノ木坂学院と同様に、かなりの地理改変がされた東京に位置するというのが、いちばん無難かつ妥当な線ではないか、と考えます。スティーヴン・キングがかつて《ダーク・タワー》シリーズにてニューヨークの地理改変を行い、それをフィクションにのみ許された特権というていたことを思い出します。
 閑話休題。
 放送に合わせて、結ヶ岡女子高等学校の開校年月は2021年4月と考えた場合、前身となる神宮音楽学校は2020年度末までに廃校されたことになります。多少の設備の入れ替えや修繕等は開校までに実施されたでしょうが、「校舎を含めた敷地自体は、かつて廃校になった学校のものを再利用している」(Wikipediaより)とのこと。
 神宮音楽学校閉校から結ヶ岡女子高等学校開校までの時間は、それ程空いてはいないでしょう。新校舎が結ヶ岡女子高等学校の開校に合わせて建設されたのか不明ですが、木造校舎に関しては神宮音楽学校時代の校舎が使われているはず。大規模な木造建築はいったん痛みが生じると、そこを中心にして意外と広範囲に瑕疵が拡大してゆきます。そう簡単には修繕のできないレヴェルの瑕疵が生じる可能性もあり得ましょう。
 とはいえ、間隔が空いていたとしても、2年程度、最大で3年が精々でありましょう。それだけの時間があれば新校舎の、敷地測量や地盤調査から竣工・引渡、備品や機材等の搬入まで完了させられるはず。同時に、木造校舎の修繕も完了している頃合いでありましょう。
 そうなると今度は、いつのタイミングで生徒募集の最初の告知がされたか、となりますが、これのヒントは第1話にありそうです。冒頭で中学時代のかのんがクラスメイトの前での自己紹介で、結ヶ丘女子高等学校音楽科への進学希望を表明する場面です。
 これはいつのエピソードなのでしょう。実はどの学年であっても、可能性はある。首都圏の公立中学って大概、毎年クラス替えをしていませんでしたか? もし外苑西中学校も同じであれば、このエピソードはどの学年のときでもあり得る。
 もし自己紹介が1年生のときと仮定すれば、2018年4月のこととなり、3年前の出来事となる。──実は神宮音楽学校が閉校した可能性を先程、いちばん間が空いても3年か、と推測した根拠の1つはここにありました。しかし閉校直後に新設校の概要が公にされ、かつカリキュラムの柱も外部にアナウンスできる状態になっているか、それは甚だ疑問であります。
 むしろ現実味の濃いのは、これが3年生になったときの、クラス替えに伴って行われた自己紹介である、とする考えです。それは2020年4月のことになり、このタイミングであれば結ヶ岡女子高等学校開校とカリキュラム等の具体的な告知が、前年度末までには周知されていたでありましょう。そのカリキュラムとは即ち、神宮音楽学校の流れを汲んで音楽教育に重点を置くことであります。
 では、どうして神宮音楽学校は閉校せざるを得なかったのか? その理由はどこにも明記されておりません。断片的な情報を基に推理するしか、われらにはできない。
 が、葉月恋の母、花が結ヶ岡女子高等学校の創設者であり、初代理事長が葉月花と知己の間柄であることが、ヒントになりそうです。また、公式サイトに載る恋のプロフィール及び自己PRも参考になりましょう。恋のプロフィールは「学校近くの大豪邸で育ったお嬢様」とあり、自己PRには「元々この町に古くから住んでおりまして」とある。
 閉校の理由は単純に、生徒数の減少とそれに伴う経営難でありましょう。神宮音楽学校はそれなりの伝統を持っていた学校のようなので、相当ギリギリまで閉校回避の策は取られたと考えられます。しかし、閉校は避けられなかった。
 よくわからないのは、葉月花は神宮音楽学校となんらかの関係があったのか、という点です。考えるに、葉月花は神宮音楽学校の卒業生だったのだろう。そうして閉校時には校長なり理事長なり、そうした役職に就いていたのであろう。そんな風に考えると、学校施設を土地ごと流用して、音楽教育に重点を置いた新設校を作るアイデアは極々自然に出てまいります。
 また、神宮音楽学校の閉校にはスクールアイドルが関わっていると考えられる節があります。第4話でかのん・可可・千砂都の3人が、同好会の部室を探しあてた場面で、ドアの上には「学校アイドル部」てふプレートが掲示されていました(05分21秒)。
 可可は「理事長が付けてくれたのでしょうか?」と独り言ちていましたが、実際はどうなのでしょう。今後の展開で解き明かされる謎ですが、プレートを見たかのんの台詞が気になります。曰く、「それにしては、古びている気がするけど……」と。
 古びているのが事実ならば、それは神宮音楽学校時代の名残であり、かつて神宮音楽学校にもスクールアイドル活動をしていた人たちがいた、ということ。恋から渡された鍵が2本あることにかのんは疑問を持っていたようですが、これは単純に部室の鍵と隣接する屋上の鍵が1セットで、「学校アイドル部」に与えられていたためでありましょう。「スクールアイドル部」ではなく、「学校アイドル部」なのか、というのも今度解明されるはずであります。
 ただ、かのんたちにスクールアイドル活動を禁止し、その活動を複雑な表情で見守る恋が、様々なスクールアイドルたちのレヴェルに詳しいのは、なぜか? 既に『ラブライブ!スーパースター!!』の世界に於いてスクールアイドルは、固定ファン層を持った、継続性のある活動として認識されている様子。
 このあたりを考えるとわたくしは、実は『ラブライブ!スーパースター!!』の世界に於ける神宮音楽学校閉校の歴史とは、『ラブライブ!』であり得たもう1つの時間軸、即ちμ’sが音ノ木坂学院の廃校を阻止できなかった歴史が反映されたものではあるまいか、と、そんな風に思えるのであります。
 となれば、そこにスクールアイドルが関わってきている可能性は、非常に高いでしょう。神宮音楽学校閉校の可能性が最も高いと考える2018年以前となれば、シリーズ時系列ではAqoursが活動し、アニメに置き換えれば浦の星女学院の廃校が本決まりしていた頃と記憶します。『ラブライブ!サンシャイン!!』でも断片的に語られているが、当時スクールアイドル活動を行っている団体は5,000以上あり、歌唱や技術面でも一介の部活動のレヴェルを超えている由。
 結ヶ岡女子高等学校でもスクールアイドルの活動が目立ち始めて専門雑誌が複数刊行されるようになった頃──即ちA-RISEやμ’sの時代から、部活名は「学校アイドル部」ながらスクールアイドル活動が行われていた。その名残が、件のプレートである、とは考えられないでしょうか。
 おそらく、神宮音楽学校に於いても閉校阻止の手段の1つとして、スクールアイドルがラブライブ! 進出を目指していた可能性は高い(その頃になるとμ’sの廃校阻止伝説は、スクールアイドル活動をする者ならば誰もが知ることだったでありましょうから)。地区大会の結果も含めて神宮音楽学校学校アイドル部が満足な結果を残すことなく終わったことは、容易に想像がつきます。しかも、恋のスクールアイドルを忌避する様子から、神宮音楽学校学校アイドル部は学校閉校の後押しとなる結果、または失敗を残した可能性が否定できない。
 もしかすると、学校アイドル部の設立を(最終的に)承認したのは、葉月花さんだったかもしれない。そんな彼女の後悔が幾分ねじ曲がった形で恋に継承されていたならば、恋のスクールアイドル活動を忌避する態度にも、頷けるのであります。
 ──拙い考察をしました。が、わたくしには実はこの結ヶ岡女子高等学校の設立時期や神宮音楽学校閉校の理由は、アニメ放送開始前からの疑問だったのであります。まだ意に満たない部分もありますが、そうした点については追々修正等加えてゆきたい、と、そう考えております。あ〜、眠い。もうすぐ朝5時なんですけど。◆

※2021年08月27日 補記:「第3131日目 〈『はじめてガイドブック』と『FIRST FAN BOOK』を(今日買って、)読みました。〉」も参照のこと。□

※2022年01月24日 補記;校舎関係部分の語句修正。

共通テーマ:日記・雑感

第3122日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第4話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 夏の選抜高校野球、第4試合が19時10分プレーボールとなった影響で第4話の放送は大幅にずれこみ、22時15分からとなったが、その間公式サイトのTwitterに首っ引きだった方も多くおられよう。わたくしもその1人であったが、もとより高校野球ファンでもあるので日程延期になるのでなければいいや、ずっと見ていよう、それがいちばん確実だ、とのんびり構えて白熱した試合の展開を見守っておりました。いや、実に良いゲームであった。
 それはさておき。
 ──第4話「街角ギャラクシー☆彡」は平安名すみれの加入回でした。キャラクターの掘りさげにはイマイチ尺が足りなかったように感じられましたが、Liella!メンバー屈指のネタキャラ、或る意味いちばんモブに近い存在と捉えれば、まぁ、この描かれ方にも(留保附きで)納得というものであります。
 なにがいいたいかといえば、彼女の描き方、動かし方1つで『ラブライブ!スーパースター!!』は傑作にもなり得るし、愚作にもなり得る危険を孕んでいる、ということ。突きつめていえば、花田氏よ、自重しつつシナリオを練れ、安易な考えで暴走する勿れ、常に全体を見渡しつつ細部を詰めよ、作品は己1人の所有に非ざるがゆえ。
 堅苦しいことをのっけから申しましたが、逆にいえば、これまでは窺い知れなかった、或いはアニメ外の媒体で語られてきたすみれの<影の生活>がアニメ内にも滲み出てきて、肉附けがされたことで、いままでは平面の存在にしか受け取れなかった平安名すみれという人物が、血を通わせ、肉を持った生身の人間として、視聴者の前に立ち現れてきた、と、そう感じたのであります。
 一体に平安名すみれとは何者か? 既に公式サイトやファン・ブック等で彼女が子供の頃、ショービジネス界に身を置いた子役であったことは、明らかでありました。
 その実態についてはこれまで杳として知れなかったわけですが、第4話で判明したところによると、子供向け番組を主舞台に活動しており、しかしそのキャリアたるや必ずしもパッ、としたものではなかったようです。
 他の子供たちが可愛らしいお姫さまのような衣装を着ているなか、唯一ダイオウグソクムシのコスプレで現れ、ディレクターの声に無理して笑顔を作り、また、これは学芸会の場面だったのでしょうか、15分40秒あたりですが、樹の役でいつか自分も……と舞台の上を元気に動き回る同級生を目で追ったり、動物の着ぐるみを着たなかのしんがりに位置した彼女の姿も映し出されていました。「いつも最後はどうでもいい脇役」というのが、当時を回顧したすみれの言。「私はさ、そういう星の下に生まれているの。どんなにがんばっても、真ん中で輝くことはできない」と言い残して、すみれはかのんの前から立ち去りました。
 そんなすみれの過去、すみれの発言を踏まえて冒頭から観返すと、スカウト待ちで毎日竹下通りをうろついた結果が「通行人のスカウト=エキストラで出てもらえませんか?」では、あまりに報われないというもの。もっと悲しいのは、この残酷な状況を心のどこかで許容できてしまっているすみれの諦念というべきでありましょう……。
 スクールアイドルについて無知であることが、今回はっきりしました。第1話の「サニパ?」という台詞や、第3話のフェス開幕を承けて「何事?」と訝しんだのも、スクールアイドルを知らなかったためであったのです。学校の階段(がっこうのかいだん、で変換するとやっぱり「怪談」って最初に変換されるんだな。good grief.)でかのんたちと恋の会話を盗み聞いたあと、スマホで「スクールアイドルとは?」と調べるところまではよかったのですが、ここですみれが抱いた邪念には最初、若干の嫌悪を刹那と雖も感じたものでした。
 が、すぐに考え直しました──自分が元いた世界へ復帰するためなら、利用できそうなものは使うよなぁ、と。かつて自分も同じことをしただけに考え直したあとは、すみれを見るわたくしの目は痛々しいものを見るという以上に、過去の自分の所業を苦い思いで見る目に変質した、と、この際なので告白しておきます。
 ですから一旦はクーカーの練習に参加したけれど、自分がセンターになれないとわかった時点でスクールアイドル活動を見切ろうとしたのは、当然の行動でありましたでしょう。もっとも、それが可可の逆鱗に触れたわけですが、そこからがかのんの独擅場。
 雨の日の放課後、かのんは信号待ちの交差点の向こうを歩くすみれを見かけた際、とっさにあとを追いかけた。すみれの向かう先は、当然竹下通り。スカウト待ちで同じ道を行ったり来たりしているのです。その様子を物陰に隠れながら見守るかのん。けっきょく声を掛けられることないまま実家の神社へ帰宅するのですが、途中足を停めて取り出したるスマホで見つめるは過去の栄光、Glory Daysでありました。
 スマホの写真と動画を背後からかのんに見られたすみれは、妖女ゴーゴンばりに髪を振り乱して相手を捕縛、境内の倉庫と思しき建物に隔離しました。怪しげな儀式に巻きこまれながらも、かのんは「どうしてそんなにセンターにこだわるのか、」と問いかけます。
 そうしてすみれは、かのん相手に自身のことを語り始める。15分32秒から16分24秒あたりでの、すみれとかのんの、境内での会話です。曰く、──
 すみれ:私ね、小さい頃からずっといろんなオーディション受けてたの。主役に憧れて。子役の頃から一生懸命がんばって。でも、どんなにがんばっても、いつも最後はどうでもいい脇役。
 かのん:それで、スクールアイドルのセンターに……。
 すみれ:まあね。アマチュアだし、なんとかなるんじゃないかって、思ったけど、やっぱり無理みたい。
 かのん:それはまだ、わからないと思うけど。
 すみれ:いいえ。今回のことでわかった。私はさ、そういう星の下に生まれているの。どんなにがんばっても、真ん中で輝くことはできない。二人にも伝えておいて。悪かったわね、って。
──と。
 わたくしは第4話の試聴と並行するように読んでいた藤沢周平の小説に、このときのすみれの心情を的確に表現するにぴったりな一節を見出したように思うのです。その一節とは、こういうものです。曰く、──
 「人生のはじまりあたりに、眼の前の風景のように澄明な部分があった。自分がそこにいたと信じられないほど、澄明な場所が」(「帰郷」 『又造の火』P101 文春文庫 1984/11)と。
 物心ついた頃には見ていたであろう、誰でもくぐれるとは限らない世界への扉を開け、たといその他大勢に部類されようともスポットライトのあたる場所に立ち、その空気に触れて呼吸していたならば、仮にその世界から遠ざけられようとも希求して止まなくなるというのは、或る意味で自然な成り行きであります。
 人はいちど味わった快感を忘れることは、できないのでありますから。
 ──それでも、すみれは潔かった。スクールアイドルでセンターになることイコール再びのスポットライトがあたる場所への帰還、の構図を崩されてそれがかなわぬ夢であることを知った瞬間、見切りをつけて元の生活へ戻ろうと決めた──むろん別の形でショービジネスの世界への復帰を果たすべく行動は続けるのでしょうが。まぁ、その台詞が可可の逆鱗に触れ、「お昼休み、屋上へ来やがれデス!!」と言わしめるのですけれどね。
 斯様なことありと雖もかのんは、すみれの心を知ってしまった以上、もう、あとに退くことはできなかった。かのんに自分の為すべきはなにかを自覚させ、背中を押したのは、「ご自分の、音楽科での授業やバイトやダンス・レッスンは大丈夫ですか?」と心配してしまう程いまやかのんたちのスクールアイドル活動にべったり付き添っている、千砂都でした。
 18分48秒〜19分18秒あたりの、かのんと千砂都の会話です。
 千砂都:どうするの、すみれちゃん?
 かのん:うん。気持ちはわかるんだよね。私も歌えなかったときは思ってたもん。そういう運命なんだって。続けても無駄だ、って。
 千砂都:でも、そうじゃなかったんでしょ?
 かのん:うん。
 千砂都:じゃあ、伝えないといけないんじゃない? [かのんのアップ、すみれの台詞が甦る:どんなにがんばっても真ん中で輝くことはできない] いま、いちばんすみれちゃんを理解してあげられるのは──
 ここで千砂都がいいかけたのは、「すみれをいちばん理解して、背中を押すことができるのは、同じ経験をして克服したかのんちゃんだけなんじゃないかな?」ということです。為、かのんは雨で人通りのまったくない竹下通りを今日もうろつくすみれをキャッチして、メンバーに勧誘するのでした。曰く、──
 かのん:平安名すみれさん、私、こういうものです。あなたを、スカウトしに来ました。私たちは、スクールアイドルを続けるために結果を出さなくてはいけません。ショービジネスの世界でのあなたの知識と技術で協力してほしいんです。
──と、相手の自尊心を損なうことなく、かつ確実に加入するであろう台詞を用意して。フィクションとはいえ、このあたりなかなか澁谷かのんもヤリ手であります。
 それでも抗うすみれに今度はかのん、こんなことを口にします。「すみれちゃんを見て私、思った。センターやってみよう、って。だから、奪いに来てよ。競い合えば、グループもきっと良くなると思うから」
 顧みれば高坂穂乃果は、みんながセンターでいいんじゃないかな、といってのけたことがありましたが、澁谷かのんも同じ考えですみれを誘ったのでした。傾向は異なりますが、というよりもあまり印象に残っていないのですが、高海千歌も同じような発言をしていたような覚えがあります……あとでBlu-rayを観直そう。ふと思うたのですが、現実の組織のでリーダーはともかくとして、スクールアイドルのリーダーとは、センターへのこだわりを強く持たない=そのポジションに執着なくフレキシブルな対応能力を持つことが、求められるのかもしれません。
 ──本話の事実上のエピローグとなった雨上がりの竹下通りに於けるかのんの台詞、雲合いから洩れて地上へ降り注ぐ陽光を、可可と千砂都を交えた4人で見あげてかのんが口にした台詞、「でも、まだわからないよ。諦めない限り、夢が待っているのは、まだずっと先かもしれないんだから」が自分たちばかりでなく、この世界でスクールアイドル活動を続けるすべての人々へのエールに聞こえてならぬのは、独りわたくしだけでしょうか。ここには、すべての希望が託されている、と思うのであります。
 とまれ、かのんは、自分たちのスクールアイドル活動へのスカウトという形ですみれをメンバーに加えることに成功した。もとよりダンスもすぐに習得するほどのスキルを持ち、歌に関しても同様となれば、勧誘は必至のことでありましょう。斯くしてかのんたちスクールアイドル同好会のメンバーは3人となった。ストーリーとしては特に駆け足とか端折りという印象を強く抱くことないまま、自然な形でまとまったのではないでしょうか。
 すみれのキャラクターからどうしても今回の加入回は、『ラブライブ!サンシャイン!!』のヨハネ加入回を連想させます。夙に指摘されているところではありますが、ヨハネこと津島善子とギャラクシーこと平安名すみれには幾つかの共通点と相反する点があります。彼女たちのキャラクター分析はなかなか興味深い事案でもありますので、ここは稿を別にして考えてみたく思います。
 余談ながら、すみれには一部、矢澤にこ先輩の要素も入っておりますね。気附かれた方も多くありましょうが、「ギャラクシー!」てふ奇天烈な決め台詞のとき、あるいは屋上での練習に参加した際のポージングで、すみれの両手はあの「にっこにっこにー!!」の所作になっているのを見たときは、なんでしょう、ちょっと涙腺がゆるみましたね。んんん、いっそのこと、にこ先輩はむりやり『ラブライブ!スーパースター!!』の世界へ乱入してきても許されるのではあるまいか……? いや、いっそのこと、にこりんぱなで……とまでなったら、もはや二次創作の世界か。
 それはさておき。
 お終いに、第4話を観て倩思うたことを箇条書きにして、〆括りたいと思います。
 ○葉月恋は、スクールアイドルになにか思うところがあるのだろうか。部室の鍵を渡した際、かのんに「スクールアイドルでなければ、幾らでも応援してあげられますから」てふ台詞は、極めて意味深である。また、音楽科の学生がかのんたちの噂をしているのを耳にした際の一瞬思い詰めたような表情は、屋上が練習場所として提供されたことに対するばかりではない、何事かの気持ちがあるように感じられるのです。いずれにせよ、恋の加入エピソードまでもう一山二山のドラマがありそう。すくなくとも、『ラブライブ!』に於ける絵里のようなまとまり方を見せるとは、いま時点では思えないのであります。
 ○これまで使われていなかった部室の前で、千砂都から「お化けとかいたりしてね」とからかわれたときのかのんの表情、鍵穴から室内の様子を窺おうとしたかのんの耳許で、「見ぃーたぁーなぁー」と囁いたときの千砂都の表情がとっても微笑ましいやり取りと感じる。幼馴染みである2人の子供時代を彷彿とさせるようで、なんとも鼻の下がゆるんで仕方ないのです。
 ○かのんからすみれがセンターにこだわった理由、スクールアイドルをアマチュア等々発言したことを聞いた可可が、教室に入ろうとしたすみれの前に立ち塞がる(16分53秒)。そのとき、「待つデス。お昼休みに屋上に来やがれ、デス!」と宣言する可可の表情、行動、言い方がとっても可愛い。「おくじょう」ではなく「おくじょ」って発音する点がまたツボなんだよね。というか、第4話に至ってようやく、これまであった既視感──可可って誰かを彷彿とさせるんだよな──の原因がわかりました。可可ってラキシス姫にキャラが被るんだね。
 ──以上とし、第4話感想の筆を擱きます。
 次回の第5話、「パッションアイランド」は恒例の合宿回、でしょうか。楽しみです。
 咨、それにしても期間限定上海風バーガーを食べたいなぁ(「『ラブライブ!スーパースター!!』結女放課後放送局 リエラジ!」第25回より)。苺バーガー、カフェオレバーガー、トマトバーガー、……。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3121日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第3話;唐可可について。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 YouTubeの公式チャンネルで『ラブライブ!スーパースター!!』第3話を観返しています。ひとりで観ることになってしまっているのがチト淋しいところではありますが、気を取り直してゆこうと思います。然程長く書くことなく、短期決戦でまいりましょう。
 第3話は、代々木スクールアイドル・フェスティヴァル本番に向けた仕上げの回でした。千砂都による体力作りとダンスのレッスンは佳境を迎え、曲のアレンジや歌の練習等も物語が描かないところで進行し、当日のステージをクライマックスに持ってくる、シリーズ伝統のファースト・ライヴ回であります。

 第3話冒頭でふたたび勃発した<澁谷かのん、また歌えなくなる事件>解決のため、千砂都と可可が奔走する──そのズレっぷりがなんともユーモラスでたまりません──が、企ては案の定失敗し、かのんは自分の部屋で「そう簡単に歌えるなら、いままでだって苦労してないよぉ」と例の嘆き節を炸裂させる始末。
 その後の、3人の会話は、こういうものでした、──
 可可;大丈夫、かのんさんは歌えるようになります。その瞬間を可可は見ていました。
 かのん;たまたまだよ、いまの姿が本当の私なんだよ、きっと。
 [いちど歌えるようになったにもかかわらず、朝の歩道橋での体験は余程のショックだった様子が窺えます。そんな彼女を見かねて、それでも猶かのんと同じステージに立ちたいと願う可可は、こんな台詞を口にします。曰く、──]
 可可;わかりました。ではいまは無理に歌おうとするのはやめましょう、今回のライヴは可可1人で歌います、かのんさん程の歌唱力はありませんが、だからかのんさんはステージに立つだけでいいです。いっしょに全力のライヴをしましょう、
 それが終わったら、ふたたび歌えるようがんばればいいんです。可可、約束しました。かのんさんが歌えるようになるまで諦めない、って。
 [──なんと愛情のあふれる言葉でしょうか。こんな台詞もらったら、かのんならずとも誰だって発憤しちゃいます。そばに寄り添ってそっと励ましてくれる誰かがいる人は、人生最大の勝ち組であります。続けましょう、──]
 千砂都;(かのんに)可可ちゃんがここまでいってくれているんだよ?
 かのん;そうだね、まずは二人で1位を獲らなきゃだもん。いいライヴができるよう、がんばる!
 [斯くして澁谷かのん、ふたたび自分の脚で大地に立ち、見えぬ未来に目を向ける。そこに可可が放った台詞が、──]
 可可;それでは私、皆さんに見せたいものがあります。
──と誘った先が、フェス会場前の広場。そこにあったのは、2人のグループ名入りの看板と、可可自作(らしい)ブレードでありました。経過時間で申せば、07分35秒から08分15秒のあたりです(YouTubeに期間限定で公開されたものでタイムを算出しているため、地上波で放送乃至はBlu-ray等円盤での経過時間と若干相違する可能性あり。その点はご容赦願います)。
 前日とはいえ自グループの看板を搬入していてもよいのか、なんてツッコミはさておき、──
 可可;ジャッジャーン、どうですか?
 かのん;なに、これ?
 可可;初ライヴを行うにあたって用意した、グループ名附きの看板とブレードですぅ。
 千砂都;ブレードって、ファンが持つものなんじゃ……
 可可;配りたいと思います! 私たちを応援してくれそうな人たちに!
 かのん;この、「クーカー」っていうのは?
 可可;可可が考えたグループ名です! (※可可の顔がめちゃドヤ顔で、可愛い!!)可可の「クー」とかのんさんの「カー」を合わせて、クーカー! (浮かれた表情で可可、フェイドアウト)
 かのん;どうだろう? (この瞬間、かのんは完全にドン引いて、目の下にはクマが現れる。このなんともいえぬ表情までが魅力的というのは、顧みれば歴代シリーズ主人公にも当てはまる特徴であったような気がいたします)
 千砂都;でも、トレーニングの間にこんなもの作るなんて。
 可可;好きですので!
 かのん;看板は、ちょっと考えようか。
 ──ここに再現した会話から浮かびあがってくるのは、可可の、信じた相手にどこまでも寄り添い、そばに立ち続ける健気さ、いじらしさと、好きな人との約束を実現させるという気持ちの強さです。そうして、それを原動力にどこまでも頑張り続けられる、ひたむきな情熱であります。
 それゆえに、千砂都の(可可にしてみれば過酷な)トレーニング・メニューを毎日こなして、最大唯一のネックであった体力の無さと持久力不足を短期間で克服するに至ったのです。こうした意味で、唐可可は努力の人、ということができるでしょう。あ〜、それにしても、もう可愛い、可愛すぎる。着せ替え人形と化したかのんに向かって、千砂都と可可が放った台詞を借りれば、「もうたまんねーっ!!」であります。
 では、可可がどうしてここまで自分を追いこみ、なにが彼女を突き動かしてきたか、というと、それは、スクールアイドルが好き、かのんと同じステージに立って同じ光景を見たい、そんな「好き」という感情がすべてでした。
 看板には一目瞭然の似顔イラストがあるばかりか(これがなんとも可可らしい自分たちの表情の捉え方で、おもわず頬がゆるんでしまいます)、看板自体も、レイアウトが凝っているというより<シンプル・イズ・ベスト>を極めたそれで、おおクーカーというグループにはこういう子がいるのか、と衆目に知らせるんはじゅうぶんな情報が詰まっている。
 上に再現した会話の、終わりの方でも出しましたが、学業とトレーニング(自主練含む)を両立させる時点で相当な時間を費やすことになるにもかかわらず、「好きだから」という気持ちを支えにして、隙間時間を縫ってグループ名入りの看板とブレードを作成してしまったてふ事実は、「アニメだから」なんてメタな発言を退けてなお余りあるものがあると思います。
 要するに唐可可は、「好き」という気持ちあればその対象に向けて八面六臂の活躍を、寝食を忘れて可能とし、それに没頭できる人物である、ということであります。過去に自分が日本語を教えている頃に出会った中国人学生たちを思い出せば、可可の行動にはなにとはなし納得させられる部分があると告白しておきます。

 ここまでで既に、400字詰め原稿用紙換算で5枚目に突入している。言い換えれば、そろそろ終わり方を考えて書かなくてはならぬ分量に達しつつある、ということだ。はじめの自重もどこへやら、であります。
 それを気にしてのことではありませんが、あともう1場面、今度は歌えないことを嘆き、可可ちゃんに哀しい気持ちを味わわせたくない、と涙を見せるかのんを優しくハグして、囁くようにいう可可の台詞だけ上と同じく再現して、簡単な意見を述べて、本稿をそのまま終わらせようと思います。
 経過時間にして13分52秒から14分34秒あたりにかけての、可可の部屋での会話です。ここでの会話の(というより、可可の1人台詞ですが)前提に、「神津島が生んだスーパー・スクールアイドル、サニーパッション」(said by KE KE,)がフェスに急遽参戦が決定、可可がスクールアイドルに憧れて日本に来たきっかけもこのサニーパッションだったと判明する(09分23秒)一連の場面があります。
 (可可の台詞については適宜、改行いたします)

 可可(涙を見せるかのんを優しくハグして);自分のことを悪くいわないでください、かのんさんに心奪われた私が可哀想になっちゃいます。
 (かのん、泣き声)
 可可の家の人たちはすごく教育に熱心で、いままでずっと勉強ばかりでした。可可もやりたいことも特になくて、これでいいんだろうな、これで正しいことなんだって思ってました。
 そんなとき出会ったのです! (回想シーン/街頭モニターでサニパのライヴを見あげて、心奪われ瞳を輝かせる可可 ※経過時間にして14分22秒の箇所) 見た瞬間にこれだって思いました。
 こんな風に自分の気持ちや感じたことを自由に歌ってみたい。かのんさんの歌をはじめて聴いたとき、それと同じぐらいわくわくしたんです。だからもうかのんさんは私にとってのスターなんです、夢なんです!
 元気出してください。かのんさんと同じステージに立つことが、可可にとって夢の1つなんですから。
 かのん;でも……
 可可;最高のライヴにしましょう。
 かのん;(涙を拭って)私、歌ってみる!
 可可;かのんさん……
 かのん;可可ちゃんがこんなにがんばってるんだもん、こんな私でもいっしょにステージに立ちたいっていってくれてるんだもん。ギリギリまで自分を信じて、やれることを精一杯がんばる!
 可可;かのんさーん!
 かのん;かのんでいい、かのん、って呼んでよ。
──いっしょにいてくれるだけで心強いです、だからわたしは自分の夢をあなたといっしょにかなえたいです。煎じ詰めればそうした内容ですが、んんん、なんだろうね、この醸し出される<糟糠の妻>感。可可って、いい奥さん、いいお母さんになるんだろうな、と妄想が走り出しかねない場面であります。
 そんな個人的思い入れはともかくとしても、かのんを励ますこの場面、この台詞は、『ラブライブ!スーパースター!!』前半に於いて屈指のものと考えます。まぁ、そうはいうても第3話って、『ラブライブ!』及び『ラブライブ!サンシャイン!!』でも名セリフが生まれた回(※1)でありますから、なにをか況んや、というところではありますが。顧みれば可可、これまで各回に2回は名言・迷言を放っているように思えます(※2)。
 既に他所で多く指摘され、また公式媒体からもコメントされている通り、可可は『ラブライブ!スーパースター!!』の原動力であり、扇の要であり、そうして物語全体の推進役であることが確認された第3話でありました。
 こうした役割を主人公ではなく、ナンバー2が果たすという点に(いまのところは)本作の新しさを感じると同時に、μ’sのいた『ラブライブ!』の正統後継作に位置附けようとするスタッフの気概を感じることであります。──もっとも、後者については当方の個人的見解でしかありませんが。

 正直なことを申しあげれば、──他のキャラクターに於いても然りですが特に──可可がここまで魅力的なキャラクターとなり、その言動から目を離せぬ存在になろうとは、1枚絵でキャラクター発表されたときにはまるで想像できませんでしたね。
 やはりアニメのキャラクターは動いて声を吹きこまれてなんぼ、というわけか。あの段階では5人のなかでも特に微妙なキャラクターだったものなぁ……。スタッフの本気と声優(Liyuu)の愛が可可を斯く愛らしき人物に育てあげたのだ、といえるでしょう。

 それではまた、24時間後に。うぃっす、うぃっす、うぃーっす!◆

共通テーマ:日記・雑感

第3113日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第3話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 「クーカー」はシリーズ最高の第3話だった、というのが嘘偽らざる感想です。やはり今回は、<挫折回>ではなく、<克服回>でありました。
 今回は第2話ラストからの流れで、かのんと可可の、歩道橋でのシーンから。前回はそこからエンディングに突入して圧倒的歓喜を湧きあがらせたシーンでしたが、やはり現実はそんな風には行かない。
 かのんはやはり、歌えなかった。いや、歌おうと思えばできたのでしょう。しかし、時刻は明け方、街は目覚めて歩道を行く人の姿も目立ってきた刻。かのんはそうした人々の往来する様を見て、過去のトラウマを再発して、「歌えないよぉ」と愕然としてしまう……。
 オープニング明けのAパートは、喫茶店の片隅のいつもの席で澁谷姉妹が語らうシーンから。いきさつを打ち明けた妹ありあから、「また歌えなくなっちゃったの?」と訊かれてうなだれるかのん。
 しょげたその様子からは、とても第1話でのやさぐれた彼女の姿を思い起こすことはできませんでした。一度は歌えたことで取り戻した自信が打ち砕かれたことが──その自信を基に嵐千砂都の激しいトレーニングをこなしてきたのだから、歩道橋での経験は余程ショックだったのだろうな、と想像できます。
 けっきょくそれはBパートまで持ち越されますが、かのんは立ち直りました──というよりも、このままじゃいけない、と一念発起してのことではなく寧ろ、代々木スクールアイドルフェスティヴァルのステージに立ったときのアクシデントに直面したとき(初ステージでのアクシデントも恒例になりましたね)。
 すみれが舞台裏から様子を偵察に来たとき、ケーブルに引っ掛かって全照明を消してしまう、という、或る意味でシリーズ最強の<やらかし>をしでかしてくれたからこその、トラウマ克服。
 ステージに立ったかのんは、背中合わせでいる可可の自分への言い聞かせ/自己暗示「大丈夫、大丈夫」を耳にして、ほんとうにこれでいいのだろうか、と考えたのでしょう。
 可可の部屋で、「かのんさんが歌えないなら私がひとりで歌います、かのんさんは同じステージにいてくれればいいんです」と歌唱に関して引き受けてくれた可可が、自分よりも不安な気持ちを抱えている。それを知って、これでいいのか、と内心で自らに問い、その答えを得ぬままステージでトラブルが生じた。
 そのときでした、千砂都が、かのんの母と妹が、見物に押し寄せた観客たちがブレードを点灯させて2人を勇気づけ──千砂都や観客の声だけでなく、子供たちの声援も彼女たちの背中を押したことであろう──、かのんが「自分も歌う」と決意した。その瞬間にすみれが「ええい、ままよ」とばかり差しこんだケーブルによって照明復活、斯くして澁谷かのんと唐可可、2人によるユニット「クーカー」のファースト・ソング〈Tiny Stars〉がお披露目される。
 堂々ったる歌いっぷりと息を呑むように美しいダンスとが相俟って、客席は熱狂し、千砂都・かのん母娘は感涙し、建物の陰から見守っていた葉月恋は悟ったような表情で2人の初ステージを見届けました。すみれはその場で放心したような表情で坐りこんでステージに見入っていたいました(その後はスタッフに見つかって、こんこんとお説教されていたかもしれない)。
 クーカーはフェス第1位こそ逃しましたが(※)「新人特別賞」を受賞。結ヶ岡女子高等学校の掲示板に貼られたニュースに被さって流れるかのんのモノローグにもありましたように、この時点で彼女は、「もしかしたら、私たちがスクールアイドルを続けることはできないかもしれない」と覚悟を決めていました。理事長に課せられた条件を達成することができなかったのですから。
 けれども、「しかし」と彼女は続けます。「それでも構わない」とかのんはいいました。
 なによりも大切なことは、おおぜいの前で歌うことができたこと=つまりトラウマの完全なる克服がかなったこと、そうして、可可といっしょにステージに立って歌い、踊り、可可の夢をいっしょに実現させられた達成感。それが果たせたなら、すくなくとも自分はスクールアイドル活動が学校に認められなくても歌い続けられる。それが自分にとって納得のゆく結果であれば良かったのかもしれません。
 なにやら自分ことばかりではありますが、かのんのことです、可可への感謝の気持ちとそれは表裏一体であった筈です。
 以上が第3話のメインストーリーの大雑把な紹介と、それにまつわるわたくしの所感です。
 ここから先は、観ながら、幾つか心に浮かんだよしなしことを綴ってゆこうと思います。
 Aパート;かのんが歌えなくなるのは、ずばりプレッシャーでしょ、と千砂都は指摘しました。それを克服するために人前でたこ焼きを焼いてみようと、提案もしました。まぁ、たしかにたこ焼きを注文すると、なんとなく店の人の手先を見物しているときってあるから、それなりの説得力はある気がする。
 そのとき調理場に入りこんではしゃぐ可可の是非はともかく、わたくしが「おや」と思うたのは、画面左下でいまにも見切れそうなところに立つ2人の女学生の制服でした。ありふれたデザインといえばそれまでのセーラー服でしたが、なんだかねぇ、『ラブライブ!』で高坂雪穂と綾瀬亜里沙が着ていたセーラー服に見えて、仕方ないのですよ。
 使い回しが効くデザインといえばそれまでですが、なんだか既視感という異常に嬉しくなってしまいました。むろん、雪穂と亜里沙が着ていたセーラー服は中学のものですので、神田・お茶の水・秋葉原エリアに存在する中学の制服を着た学生が原宿・青山・表参道エリアに出没するとは一概に考えづらいかもしれませんが、かというて一笑に付して退けられるわけでもない。
 わたくしは件のセーラー服を、使い回しとか酷似したデザインとかではなく、同一中学のそれと考えて、『ラブライブ!』と『ラブライブ!スーパースター!!』の世界がつながっていると考えて、想像を逞しうしたいと考える者であります。
 第3話予告にて「私には無理だよぉ!」とかのんが涙目で訴える場面があり、おそらくそれは衣装合わせの際の台詞であろう、と予想しましたが、それは当たらずとも遠からずでした。
 が、まさかそれが、可可と千砂都による<かのんちゃんトラウマ克服計画>の一環であったとは。可可に渡された洋服は、それはそれは可愛らしいものでした。試着室で着るのを躊躇った末の台詞が前述のそれであったわけですが、可可と千砂都の2人が「じゃあ、アクセサリー持ってくるね!」と店内を駆けずり回る様を、引きつったような表情で見送るかのんの眼差しも可愛かったけれど、試着した洋服が実に似合っていて、かのんの、ふだんはあまり意識されない可愛さが強調されており、なんだかこちらは母親に着せ替え人形にされて実はそれが満更でもない愛娘の姿のようにおもえてなんだかこそばくゆくて仕方なく、鼻の下伸ばして見ておりましたよ。
 可可と千砂都からのポーズの注文にも、最初はぎこちなかったのが、最後にはけっこうノリノリで応じていたかのんも可愛かった。おまけに直後の、「消して」と要求したときの現実にもどった瞬間の顔も可愛かった。この表情の落差に、『ラブライブ!スーパースター!!』の魅力の一つがある、とわたくしは考えます。過去2話では可可の可愛さが随分と強調されていたけれど、本話ではようやっと、主人公の可愛さがクローズアップされた回のように感じられたことであります。
 可可にふたたび、スクールアイドルに誘われた千砂都が、はっきり「ダンスを中途半端にしたくないから」と伝えた場面もありました。そこには確かに千砂都の強い意志がこめられていた。直前のちょっと迷ったような、申し訳ないような表情から一転、キリッとした表情で可可の誘いを断ったことで、これ以上可可からの勧誘はないものと思われますが、それだけにLiella!加入の経緯ときっかけが気になってまいります。このあたりは恋にしても同様ですが、次回以後は本格的に、音楽科の2人の動向に要注意してゆくことになるのでしょうね。
 まだまだすみれも恋も、メインストーリーには本格的な関わりを持っていません。が、次回第4話「街角ギャラクシー☆彡」は平安名すみれ回。しかも、部室と思しき部屋でかのん・可可・千砂都の3人相手になにやらぶっておりました。そろそろスクールアイドル加入の具体的な話になってゆくのでしょうか。となると、恋は第6話あたりで加入、そうしてLiella!のグループ名が登場するのかもしれない。
 ところでこの平安名すみれ。どうやら過去シリーズから類例を探せば、ヨハネこと津島善子の系譜に属するキャラクターであるようです。どういうことかといえば、一歩間違えれば単なるネタキャラになりかねない、ということ。
 メンバーが伝統の9人から革新の5人に減ったことで、却って1人1人のキャラクターを掘りさげてゆくことができるようになりました。それだけに脚本には細心の注意を払って全体と細部の案配を図り、くれぐれも『ラブライブ!サンシャイン!!』の如き惨事の再現を避けてくださるようお願いしたいのであります。
 ──YouTubeラブライブ!公式チャンネルを始め各配信サービスでの第3話配信は、08月10日(火)正午からと公式Twitterで情報開示された。こちらも第2話同様、期間限定配信とのことなので、地上波にて未聴の方も観たけど録画してないという方も、勿論録画はしたしBlu-rayも予約したという方も是非、毎日観ましょう。なお、埋めこみはその日以後に行います。
 ……ああ、可可の中国時代の映像とフェス前日の看板及びブレードについて触れるをの忘れてしまった! 現時点で文字数が3,700字を越えているので残念ですが、こちらは別日の話題と致しましょう。◆

※第1位を掠ったのは、フェス直前になって急遽参戦が決まった神津島出身の「サニーパッション」なる2人組。実力も人気もあるSIのようだが、これがLiella!にとって、μ’sに於けるA-RISEつまりライヴァルになるのか、Aqoursに於けるSaint Snowの如きイロモノなるかは、不明であります。□

共通テーマ:日記・雑感

第3109日目 〈『LL!SS!!』第3話放送を前に。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 ようやく『ラブライブ!スーパースター!!』第3話が次の日曜日に放送される……オリンピック開催中でありながら放送再開してくれるのは嬉しいのだが……誰それがメダルを取りました! 誰それが敗退しました、なんていうテロップを流すのは、個人的には避けて欲しいなぁ、と。
 放送当時の<記録>にゃなるけれど、ねぇ。既に塔WebにてBlu-ray第1巻予約済み、今後も買い続けてゆくから気にすんな、といわれればそれまでなのだが、なかなか複雑な気分でおります。
 ──第3話はこれまでの慣例通り、挫折回になりそう。そんな呟きや書きこみを散見しましたが、限定公開されたロング・ヴァージョンの予告から想像するに、挫折回というよりもかのん自身がこれまでの手枷足枷を断ち切って、本格的に前に一歩、足を踏み出す<決断回>、過去の呪縛を断ち切る記念すべき回になるような気がしてなりません。
 全体印象でしかありませんが、そんな風に感じてならぬのであります。
 かのんの「私には無理だよぉ」と涙目になる場面はおそらく衣装絡みのそれではないでしょうか(海未ちゃんを彷彿とさせますな)。
 可可の「かのんさんがいてくれたから、可可はいま、がんばれているんです」の台詞はどんな状況下で発せられた台詞か不明なれど、それは間違いなく2人の絆をより強める場面となるだろう。
 千砂都を勧誘する場面は既に第2話でもあった(と記憶する)が、今回は千砂都にとっても本気で考えるきっかけとなり(顔をそむけたときの表情を見よ)、次の回あたりでLiella!加入となる流れは否定できない。
 加えて、竹下通りでのすみれの反応も気になるし、物憂げな眼差しでかのんと可可を見つめる恋も気になる(※)。
 それに、なんというてもかのんの台詞、「私じゃなかったら、可可ちゃんはもっと楽だったのかな」ですよ。経緯や背景等々にかんする憶測は、この台詞に関しては止めにしておきます。気にかけながら、最新話の放送を心待ちにしましょう。

※恋といえば公式サイトのメンバー紹介で「幼い頃からフィギュアやダンス、スケートが得意なLiella!のエース。落ち着いた物腰は生徒からも人気だが、世間知らずな一面も。」となるんですけれど、……うーん、やはりこれは生徒会長の肩書きを持つメンバーの属性なのか。ということはやがて、ポンコツ・キャラになる、と……。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3105日目2/2 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第2話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 『ラブライブ!スーパースター!!』第2話「スクールアイドル禁止!?」になってだんだんと、歴代シリーズとの相違点や共通項が鮮明になってきたようです。相違点は差別化、共通項は継承、と言い換えてもいいかもしれません。
 まず共通項(継承)から行きましょう。
 今回の第2話から正式にオープニング曲が披露されました。歌のタイトルは、「START!! True dreams」。メンバー構成は5人という変化はあれど、歌がライヴシーンで構成される点は同じです。衣装はこれまでのなかでいちばんシンプルですが却って新鮮に映ります。スクールアイドルの衣装が基本的に自分たちの手作りであることを考えれば、「START!! True dreams」の衣装がいちばんリアルかもしれません。
 最初のアニメで披露されたオープニング曲は、ラブライブ! 決勝で優勝したあとのアンコール曲と相場が決まっておるようですけれど、『ラブライブ!スーパースター!!』も第2期が製作されてラブライブ! で優勝したら、この曲が披露されるのかなぁ。まだまだ先のお話で、なによりも第2期といえば『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』が最優先でしょうから「鬼が笑う」どころの話ではないわけですが、うーん、楽しみですね。
 ライヴ会場は、オリンピックに合わせたわけではないでしょう、然るに今作の舞台を考えれば必然と選ばれて然るべきな新国立競技場であります。冒頭ワンカットでここまであからさまに、あ、あすこだ、とわからせた場所は歴代シリーズでもお目にかからなかったような気が。
 次にあげるべきは本話のサブタイトルになった、スクールアイドル禁止! という点であります。生徒会の、というよりも生徒会長の意見で部活動の設立、或いはスクールアイドルの活動が拒まれる点は、Liella!もμ’sやAqours、虹ヶ咲の面々と同じ経験をすることになりました。
 生徒会長にして結ヶ丘女子高等学校創設者の娘、葉月恋から「ふさわしくない、少なくともこの学校にいいものとはいえない」(第1話)とわけのわからぬ理屈で反対されたかのんと可可。
 第2話では、理事長に呼び出されて様々なやり取りのあと、代々木スクールアイドルフェスティヴァルで1位になれたら部活動の制限はしない、といわれました……いつの間にやら(当面は)スクールアイドルとしての活動を黙認する流れになったことは、「うん?」と頭のなかに疑問符が湧きましたが、まぁ、それはともかく。活動が出来るようになったことは良いことだ。
 どうやら、『ラブライブ!』に於ける希の、『ラブライブ!サンシャイン!!』に於ける鞠莉のような生徒会長を諫める役を担ったのは理事長だったらしい。もっとも今後、どのような展開が待ち受けているか、わかりませんが。
 共通項についてはここまでにして、では相違点に移りましょう。
 面白いことに相違点を担う役は、すくなくとも第2話時点では殆ど可可に割り当てられている。部活申請を提出するも恋から却下されたことを報告する際の呆けた表情といい、「スクールアイドル禁止」ならば他の学校に編入しようてふ発想(行動力?)といい、スクールアイドルをやろうといい出した本人にもかかわらず運動が苦手・体力なしという点といい、かのんを相手にした素のボケトークといい、この子の存在、その言動はなにからなにまで新しい。『ラブライブ!サンシャイン!!』で早くもテンプレ化しつつあった要素の数々を、『ラブライブ!スーパースター!!』は崩そうとしているようにわたくしの眼には映る。
 しかしここにもやはり共通項は含まれており、不可能であったことを克服してゆくそのプロセスが描かれている──それはやはり、かなえたい夢があるから。その夢は簡単に諦められるものではないから。好きな人たちとその夢をかなえたいから。だから、1つ1つの課題をこなして、出来なかったことを出来るように力を尽くす。『ラブライブ!』ってそのあたりの描写はあっさりと描いているけれど(合宿回や特訓回は別にして)、基本的なスタンスの1つは<スポ根>なんですよね。
 第2話時点でそれを体現しているのが、可可だと思うのです。
 それにしても、言い出しっぺがまったく体力がない、運動が苦手、とはまったく以て新しすぎる。凛ちゃんや曜ちゃんが聞いたら呆れることでしょう、それじゃぁなんでスクールアイドルやろうなんていい出したの? と。請われて2人のトレーナー役を買って出た千砂都も同じように訊いてみた。
 千砂都「もう全然ダメじゃん。なんでそれでアイドルやろうと思ったの?」
 可可「気持ちです。スクールアイドルにいちばん大切なのは、気持ちなので」
 千砂都「成る程」
 可可「でもリズムゲームは得意ですよ。シャン、シャン、シャン」
 千砂都「でもリズム感はあるってことだよね」
 かのん(千砂都に)「ポジティヴ!」
 ──ああ、その通りだぁ、と嘆息させられます。やりたいことへ向かって突き進むときいちばん大切なのは、<気持ち>なのです。その気持ちがあればへこたれたり、諦めたり、挫折はしたりしない;それが可可の信念なのでしょう。それがゆえに可可のまっすぐで強い気持ちがかのんを動かし、やがては千砂都をも動かしてゆくことになるのでしょう。その気持ちが発露した方向の1つが、ノートに書き留めた歌詞であるのは間違いありません。
 その歌詞は<諦めない気持ち>が書かせた、可可の憧れと希望がたくさん詰めこまれた歌詞でした。「走って、追いかけて、最も輝かしい自分になれ!」、「あのキラメキが、私に前へ進む勇気を与えた」、「いまから始めよう! 自分を信じて前へ進もう」、「それに私は一人じゃない」。──かのんが一目惚れして連日作曲に励むこととなった歌詞の一節を、ざっと抜き出してみましたが、現実世界のわたくしであっても10代のときに斯様な歌詞に出会っていたら、矢も楯もたまらずこの歌にこめられた気持ちを汲み取って、行動を起こしていたに相違ありません。すくなくともこれらの歌詞を支えに、自分の夢にへこたれることなく精進して、ノートや原稿用紙やワープロ/パソコンに向かっていたことは想像に難くない。なんだか自分は生まれた時代を間違えた気がします……でもそうしたら、ねぇ、これまで出会ってきた人たちと会うことはできないわけだから、もう、なんだかなぁ、であります。
 それにしても、アニメがスタートするまで可可をこんなに可愛いと思うなんて、考えたこともなかった。そのダメ押しをしたのが第2話、Aパート初っ端の脱力したような可可の顔(※)と台詞、かのんの家での退学・編入を巡る壮烈なボケトークでありました。
 可可「ところで、家はどの辺ですか?」
 かのん「ここです」
 可可「そうでした」
って、表情を変えることなく共に喋っているところがなんともいえない味を出している。その前の「ちょこわたるしみ」なる迷言と併せて、特に記憶に残る場面でありました……。
 そういえばBパートでようやく、平安名すみれがまともに動き、まともに喋った。例の「COFFEE HONOKA」の前で(表に出ている看板は「HONOKA COFFEE」なのね)クレープをぱくついて、周囲の注目を集めるような風で「美味しい!」と曰うのだが、いっさい誰もこちらを見ていないのに気附いて「場所が悪かったのか」と独り言ちるシーンが、それ。すみれは元子役という設定であった、と思いだしたのは、このときでありました。子役だった自分に気が付いてほしいのか、承認欲求過多なのか。これを踏まえれば、第1話でかのんがスクールアイドルに誘ったときの反応、「私を誰だと思ってるんですか!?」も納得できようもの。
 わたくしは本稿はを、過去シリーズ作品との共通項と相違点の話から始めました。最後に触れておきたいのは、エンディングへの入り方です。作詞;唐可可、作曲;澁谷かのんのコンビによって鋭意作曲が進められていた曲は、何日かの作曲期間を経てようやく或る日の明け方に完成しました。横断歩道の上から日の出を見つめるかのんの後ろ姿に音楽が流れてきて、そのままエンディング、「未来は風のように」(歌;澁谷かのん)に突入する──この入り方がたまらなく格好良くて、何度観ても鳥肌が立つんですよね。このあたりの演出はまさに神がかり的で、シリーズ屈指の名場面と思うてしまうのはわたくし1人のみでしょうか。
 その際のかのんの台詞、「やっと始まった/次の私が/始まった」は、なんだかもう涙が出て来るぐらいの気持ちで聞きましたねぇ。よかったね、止まっていた時間が動き始めたね、もう迷ったりしないでね、って気持ちで……。「神の怒りはとけ──戸は開かれた──/あわれな魂は解き放たれた。/わたしの前途にはかぎりない希望と/奇跡にみちた時とがある。」(カール・ヒルティ『眠られぬ夜のために』第一部9月1日条 P248 岩波文庫 1973年05月)
 いよいよ本格始動を始めた『ラブライブ!スーパースター!!』。これからの物語を楽しみにする一方で、<『サザエさん』シンドローム>ならぬ<『ラブライブ!スーパースター!!』シンドローム>に囚われるのかと思うと、相当に憂鬱でならぬ……。
 ──オリンピックの試合中継の関係で、第3話の放送は来月08月08日(日)の予定。□

※わたくしのなかではこの可可の表情、『推しが武道館に行ってくれたら死ぬ』第7話の横田文を思い出せる(人気投票発表時の表情筋が死亡した、あの表情ね)……つまり愛おしいということだ。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3105日目1/2 〈「第3100日目〈『ラブライブ!スーパースター!!』第2話を観ました。〉【駆けこみ版】」の取り扱い。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 ようやく『ラブライブ!スーパースター!!』第2話の感想を書くことができました。放送から2週間──いま頃の感想なんて、あり得ませんね、本来なら。
 YouTubeでラブライブ!シリーズ公式チャンネルが限定公開していた第2話も、いまや視聴不可能です。もっとも08月07日(土)までプレミア配信を毎日実施しておりますので、未聴の方はこの機会に是非どうぞ。既に観ている方もこの機会にまた是非どうぞ。また、第3話放送を前に08月08日に第1話と第2話の再放送もあるとのこと。
 ところでわたくしは既に数日前、07月27日(火)に第2話の感想を、第2話のYouTube限定配信期間の終わる前に、と、駆けこみでお披露目することでどうにか当面の責を果たしました。が、当初から意に満たぬものであることは自覚しておりました。為、他日の再稿を期してお詫びの言葉を最後に書き添えたのであります。
 今日、どうにか<みくらさんさんかオフィシャル>な第2話感想を同時にお披露目したことで、件の感想の取り扱いをどうするか、悩みました。差し替えも検討しました。が、いろいろ考えて先月の感想はそのままに、新たに書いたものは新稿として、本稿と併せてお披露目させていただきます。
 理由? こんな醜態を2度と曝すまい。これからはもっと早く書きあげて、本ブログに投稿しよう。この2点に尽きる。まぁ、第3100日目と第3105日目2/2を併せて読んでいただけると嬉しいな、なんて思うております。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3100日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第2話を観ました。〉【駆けこみ版】 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 #02 「スクールアイドル、禁止!?

 今回からオープニング曲とエンディング曲が披露されました。OPは「START!! True Dreams」,
EDは「未来は風のように」。OP衣装は歴代中、最もシンプルなデザインですが、それが却って新鮮に映ります。スクールアイドルが基本、衣装は自作という観点から見ればこのシンプルなデザインがよりリアルさを増しているように感じます。5人メンバーということで最初は不安でしたが、空間もダンスの振りも大きく使えることで、ダイナミックさが生まれていますね。
 『ラブライブ!』及び『ラブライブ!サンシャイン!!』では第1期のOP曲はそのまま、第2期第13話即ち最終回でラブライブ!決勝戦で優勝した後、アンコール曲として採用されてきましたが、今回の「START!! True Dreams」はどうなるのでしょう。
 前述の2作では観客らしき影を認めることができましたが、『ラブライブ!スーパースター!!』では時勢を反映して客席に観客といえるような人たちの姿は見受けられない。第2期があり、ラブライブ!でLiella!が優勝したら神モブの尽力を得てアンコールにて「START!! True Dreams」を披露するのでしょうか。もしそうなったら、ファンとしては感涙なのですが……。
 さて。
 第2話を試聴して唐可可が果たす役割の大きさに、あらためて気附かされました。これまでと違うのは、主人公が誘われてスクールアイドル活動に興味を持ち、参加する、という点。澁谷かのんの場合は結ヶ丘女子高等学校音楽科の受験に失敗し、また人前に立つと謹聴して歌えなくなる(気絶経験あり)という事情こそあれ、いちどは可可の誘いを断り、音楽に完全に背を向けようとしました。でも、可可のたびかさなる説得に自分の気持ちに向き合い、誘ってくれた可可の手を取るのです。一緒にやろう、と。
 過去作でかのんのポジションに立っていたのは誰であったか、検証したり比較考察するつもりはありません。無意味だと思います。いちばん大切なのは、可可がかのんの歌声に心底惚れこみ、あなたと一緒に詠いたい、と純粋に気持ちを傾け続けてくれたことの結果です。そうした意味で可可こそが『ラブライブ!スーパースター!!』の原動力なのです。それが……それなのに……
 ……部活動申請は難航を極める。生徒会長葉月恋の「この学校にスクールアイドルは相応しくない」てふどこかで聞いたような台詞と、結ヶ丘女子高等学校が神宮音楽学校を前身とする音楽教育に力を入れる高校である由緒が、可可たちの前に立ちはだかる。部活すら自由にできないと可可はシュプレヒコールの声をあげ、署名活動の行動を起こしますが、挙げ句に理事長室に呼ばれてしまう。理事長から<代々木スクールアイドルフェスティヴァル>で1位を獲ったら部活動を認める旨告げられた可可とかのんは、そこで諦めることなくかのんの幼馴染みで音楽科に在席するダンスが評判の嵐千砂都にダンスレッスンを依頼、出演に向けて行動を起こすのでした。
 逆風に逆らってでもスクールアイドル活動を開始する。『ラブライブ!』及び『ラブライブ!サンシャイン!!』でお馴染みの要素ですが、今回はそこに一層輪をかけて、スクールアイドルとして部活動をしたいならフェスで優勝しろ、という相当トンデモな無茶ぶりを受けて立つところに、可可とかのんの決意の強さを見ます。だってこの2人、スクールアイドル活動の実績なんて当然ないんですよ?
 次回の第3話で可可とかのんは正式にユニットを組んでフェスに参加する様子ですが、過去シリーズで第1期第3話というのはファーストライヴ失敗の回でしたからねぇ。果たしてどうなりますことやら。□

 追伸
 本稿は極めて中途半端な状態でお披露目することになる。駆けこみ投稿を実施するためである。駆けこみ、というのは、YouTubeラブライブ!公式チャンネルにてこの第2話が、07月27日までの公開とあるためだ。感想を書いておきながら肝心の回が見られぬ、というのもどうかと思うたので、ここに急いで意に満たない稿を置く次第。
 既にモレスキンには第2話を観ての感想が箇条書き、或いは一言二言のメモで書きつけてある。これを基に感想文を書くつもりでいたが、上記の理由とわたくし側の勝手な事情でそれを果たすことができなかった。本稿については08月08日の第3話放送までに本来あるべき姿の感想をお披露目させていただくことを約束する。更新できたら、Twitterでお知らせしよう。
 それまで、本稿がお目汚しとなること、ご容赦願いたく存じます。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3099日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第1話;穂乃果ちゃん疑惑にまつわる考察と願望。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 波乱のなかで東京オリンピック2020が開幕、日本勢の金メダル獲得が速報テロップで流れる光景も見馴れたものとなってまいりました。同地にあった旧国立競技場は取り壊されて、2019年11月に新国立競技場が竣工しました。2020年元日のサッカーの試合で杮落としをむかえた新国立競技場は開会式及び競技の主会場となり、これからも数多くのスポーツやその他イヴェントの舞台となって、歴史を刻んでゆくのでしょう。
 その新国立競技場のJR山手線に於ける最寄り駅となるのが、原宿駅。フリーランスのライター時代は足しげく通った、なつかしい駅、なつかしい街です。古めかしく趣ある木造駅舎も度重なる改良工事の末ついに解体、昨2020年3月から新駅舎の運用が開始されました。新駅舎になってまだ一度も原宿駅で降りたことがないのですが、旧駅舎を新駅舎に隣接する形で残すとか、お召し列車用の改札とホームも同様に残すなど事前にアナウンスされていたと記憶しますが、そのあたりは実際、どうなったのでしょう。
 さて、こんな話題で始めたのはいうまでもありません、題名にもあるように、この地を舞台とした『ラブライブ!スーパースター!!』のお話をしたかったためです。
 第1話最後にLiella!のメンバーが挿入歌「未来予報ハレルヤ!」を歌い、最後を澁谷かのんが〆たわけですが、群衆の前で歌い終えて「私、もしかして歌ってた!?」と呆然となる場所が竹下通りでした。その直前、やはりかのんが歌っているとき、ちらっと、ほんの一瞬でしたが、気にかかる背景が映し出された。よろしければ、第3088日目に埋めこんだYouTubeをご覧いただけれると嬉しいです。経過時間でいえば22分38秒の箇所となります。
 かのんが歩いている背景に喫茶店があるのはおわかりいただけることでしょう。その店の名前は「COFFEE HONOKA」でありました。……ほのか?
 ほのか、といえばシリーズ第1作、『ラブライブ!』の主人公にしてμ’sのリーダー、高坂穂乃果ですね。神田須田町の老舗和菓子屋穂むらの長女で、一部媒体では跡取り娘となっていたような気も。にもかかわらず筋金入りの和菓子嫌い、第1期第1話でさっそく、「あんこ飽きた、白あんもっと飽きた」と喚いて母に叱られ、小学校時代には「おまんじゅう うぐいす団子 もう飽きた」てふ名句を国語の時間に披露した才媛……もとい女の子です。その反動でパンが珍しく、通学カバンにこっそりランチパックをしのばせて機あるごとにパクついて、第2期第6話ではそれをネタに東條希が真似していました。
 そんなパン好きの穂乃果が家業を継ぐことなく始めたのが、竹下通りの「COFFEE HONOKA」なのか、といえば、「さて?」とこたえざるを得ない。かといって一時的な開業とも思えない。μ’sメンバーや神モブ3人の誰かが喫茶店を開くのに共同出資して、実際の業務にタッチしない代わり屋号に自分の名前を貸したとか、そんな可能性は、実際の商売で似たようなことはありますから否定できない。いずれにしても、うーん、なんなんでしょうね、この屋号。
 もし仮に、事情や過程がどうあれこの店を、高坂穂乃果が経営しているとして。『ラブライブ!スーパースター!!』の時系列はあきらかにされていないけれど、アニメ版『ラブライブ!』の時代からは既に8年以上が経過している(アニメ第1期は2013年1月から)。当時17歳だった穂乃果は2021年7月時点で24歳、来月8月で25歳になります。電撃G’sモバイルを起点にすれば、8月で28歳です。
 果たして穂乃果が『ラブライブ!スーパースター!!』にカメオ出演、友情出演、特別出演する可能性はあるか? 澁谷かのんたちLiella!メンバーにかかわる展開はあるか? シリーズ過去作ではけっして描かれなかった先輩スクールアイドルとの直接の関わり合いは実現するか? ネット上で「COFFEE HONOKA」について侃々諤々する考察ページや動画を見ていると、否定する意見が目立つようです。実現したらいいけれど、してほしくない……という複雑なファン心理。
 が、わたくしはそのような展開はあって良いと思う者です。すくなくとも『ラブライブ!サンシャイン!!』に於けるAqoursとSaint Snowのはじめての邂逅よりはムリヤリ感も不自然さも拭えるのではないでしょうか。
 かのんたちが通う結ヶ岡女子高等学校に近く、澁谷かのんや唐可可、嵐千砂都の日常生活圏内に竹下通りがある以上、なにかの機会に扉をくぐることはじゅうぶんあり得るし、ゆめ不自然な展開ではありません。
 かのんに至っては家業と同業になるわけだから、母親と穂乃果が知り合いであったり、あるいはかのんが興味本位で「COFFEE HONOKA」に入ってみる、という展開も、不自然ではないでしょう。
 穂乃果がカウンターに立ち接客をしていて、かのんたちがスクールアイドルの話をしていれば耳をそばだててしまうことは自然な行動であり、おもわず声をかけてしまってもなにも可笑しくない。かのんたちが穂乃果の顔を知らずとも可可があとで思い出して騒ぐことはたやすく想像できます。活動が行きづまったときは助言を求めにふらりと立ち寄る光景だって、あり得ぬことではないのでは。
 ──とまぁ、たった1つの背景場面から滔々と、妄想という名の願望を書き連ねてみました。個人的には実現したらいいな、と思いますし──むろん、程度問題ではありますが──、実現しなかったらわたくしが二次創作を執筆して本ブログにお披露目します(アウトラインが既にできあがってしまった)。
 いずれにせよ『ラブライブ!スーパースター!!』が、『ラブライブ!サンシャイン!!』とは一線を画し、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』寄りでもないようだ、と判明しつつある現時点に於いて、本作をシリーズ第1作、即ち『ラブライブ!』の正統後継作と位置附けることはけっして間違っていないでしょう。そうした観点からも、過去シリーズでメインを張ったスクールアイドルの先輩たちとLiella!が、良い形で邂逅してくれればいいな、と願っていることをお伝えして、本稿の筆を擱きます。◆

共通テーマ:日記・雑感

第3088日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第1話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 その日曜日、やるべきこと為すべきことを済ませて時計の針が日附の変わるのを知らせようとしている時刻、思い出して録画しておいたアニメを観た。『ラブライブ!スーパースター!!』である。その日は初回放送日だったのだ。
 あらかじめ公開されていたティザーヴィジュアルにこれまでのシリーズ作品と違うものを感じて、不安というよりも期待の方が大きかったことを告白しておきたい。いままでとはなにか違うものが始まるぞ、という期待。なんだろう、この言葉にできないワクワクドキドキは?
 その後公開されたキャラクターデザインとストーリーのアウトラインを目にすることで、こちらの期待値はしぼむどころか膨らむ一方であった。
 『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の10人構成という変化球こそあれ、あちらは原則ソロ活動するスクールアイドルだったからちょっと脇に置いておくとして、『ラブライブ!スーパースター!!』は”Liella!”というグループこそ結成されるものの、メンバーは5人組である。9人ではないのだっ! なんと新鮮な!!
 そうして舞台となる高校に廃校の気配はなく(そもそも新設校だし)、物語の舞台となる街も、2度目の23区内凱旋である──表参道-原宿-青山エリアという点からして、もうこれまでのシリーズとは一線を画してはいないか。
 『ラブライブ!』の舞台は神田-お茶の水-秋葉原エリア、『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台は沼津(函館も入れておくか)、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の舞台がお台場周辺。いずれもまぁ比較的ライバーにとっては敷居の高くない一帯である。それが今度は表参道-原宿-青山エリアって。
 如何なる経緯があってここが選ばれたのか、『電撃G's マガジン』も『LoveLive! Days ラブライブ!総合マガジン』も出版社の見本で済ませているから説明があったか覚えていないが、いずれにせよいちばん縁遠い場所を選んだことで、或る意味での<リブート>をスタッフは狙っているのかな、と邪推してしまう。それとも、『ラブライブ!』という作品が都市部でしか成立しない性質の作品であると悟ったか。「はじまれ! 新しい「私」──。」という惹句の「私」を「ラブライブ!」と読み替えることも可能なのではないか、そうわたくしは考える。
 閑話休題。
 先日の第1話「まだ名もないキモチ」を観て、「悪くない」と思うた。小さくも確かにあった不安は開始数分で消え、たちまち主人公、澁谷かのんに共感してしまった。好きな歌を或る理由から「自分には才能がない」と決めこんで歌うこともギターを弾くことも封印し、音楽から遠ざかろうとしている。無理に遠ざかろうとしている姿に、かつての自分を重ねてしまいましたよ。同じような思いの人、きっと沢山いると思う、第1話を観た人のなかには。
 それを知らずとはいえ、なかば強引にかのんに対して、スクールアイドルへの勧誘を続ける上海からの留学生、唐可可。やがて勧誘を断る理由をかのんから聞かされた可可が、思わず口にした「好きなことをがんばることに、終わりなんてあるんですか!?」という台詞。──突き刺さりましたね。2度目の鑑賞のときには思わず一時停止にしてしまった程。この台詞、歴代『ラブライブ!』シリーズのなかでも屈指の名台詞ではないか?
 とまれ、<歌うことを諦めていた>かのんが可可の導きによって<歌うことの楽しさ>を取り戻してゆく過程に、自然な流れと説得力を感じた。残りの3人が如何にして、かのんと可可に合流してLiella!を結成することになるのか、非常に楽しみだ。
 第1話最後に披露される挿入歌、「未来予報ハレルヤ!」はもしかするとこれまでのラブライブ!でいちばん、聴いてすぐに心を鷲摑みにされた歌かもしれない。伸びやかな声、メッセージ性にあふれた詞、すべてに於いてパーフェクトというてよいのではないか。来月8月のCD発売日が楽しみでたまらない。音盤には「未来予報ハレルヤ!」含めて新曲3曲が収録されるとのことだが、他2曲のなかに第1話でかのんがソロで歌っていた曲も入るのだろうか。是非フルヴァージョンを聴いてみたいのだが……。
 始まったばかりのシリーズではあるが、μ’sから脈々と受け継がれてきた<みんなで作る物語>が、かのん始めとするLiella!がどのように継承してゆくか詳らかでないけれど、わたくしのなかではこの『ラブライブ!スーパースター!!』、もはや期待値しか存在しない最新シリーズなのである。
 トドメを刺したのはやはり、終盤、シリーズの象徴たる白い羽がゆっくりと舞い降りて、主人公澁谷かのんのリュックのポケットにそっと落ちる場面。シリーズ継承の証しであると共に、<みんな>に背中を押されて過去のトラウマを断ち切り前に進むのを助ける先輩たちからのエールと捉えるのが自然であろう。そうしてそこに、最高最強の『ラブライブ!』を送りこむスタッフの意気と執念をも感じてならぬのだ。
 これまでのシリーズに携わってきたスタッフ諸氏が再集結したことで、『ラブライブ!スーパースター!!』の好調な滑り出しは約束されたも同然だ。特に京極尚彦が監督として、藤澤慶昌が音楽監督として、『ラブライブ!』以来全面的にかかわってくるとなっては、期待するなという方がどうかしている。キャラデザの斎藤敦史はシリーズ初参加となるが、申し分のない仕事ぶりといえるだろう。
 ただ1つ、願わくばシリーズ構成が暴走してしっちゃかめっちゃかのストーリーにならないことを。『ラブライブ!スーパースター!!』唯一の危惧といえば、実はこの点だけなのだ。『ラブライブ!サンシャイン!!』の二の舞にはなりませんように。頼んまっせ。◆
- | 次の30件 『ラブライブ!スーパースター!!』 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。