第2750日目 〈ブックオフも駄目になったなぁ。〉 [日々の思い・独り言]

 もしかすると以前に書いているかもしれないが、だとしてももう一遍書くことにする。ネタが尽きたのではない、記録に留めておきたいのだ。
 ブックオフ、ってあるじゃない。新古書店で、町の古本屋さんを店終いさせる要因にもなった、本については無学文盲でも働くことができる、雇用対策としては貢献度大の会社。実はわたくしも一時期、転職の繋ぎにグループ会社で働いていたことがある。これまで恥ずかしくていえなかったのだけれど、今回話を進めてゆく上ではどうしても必要な背景なので、敢えて告白してする次第。
 さて、本題。
 その街に出ると高確率でいつも立ち寄るブックオフがある。今日(昨日ですか)もそこに寄って、文庫と新書の棚を片っ端から点検していた。アプリとバーコード頼りのセドリ屋もどきを蹴散らして、関心のない作家はすっ飛ばし、順繰り順繰りに。
 そうして辿り着いた連城三紀彦のコーナーで、本稿執筆の動機となった事件は起こった! ……別に感嘆符を付ける程でもないが、まぁ筆が走った、という奴だ……。『夜よ鼠たちのために』ハルキ文庫版を見附けた。宝島社文庫から復刊されて、綾辻行人の推薦文が帯に載ってこちらも所持しているが、ハルキ文庫から出ていた一連の連城作品は解説に深い指摘があったりして、以前から見掛けたら買おう、と探していたのだ。それが、ひょいと目の前に現れた……。
 が、手に取って愕然とした。思わず「え?」と声に出た。わが目と指の感触を疑った。文庫の後半、ほとんどのページに濡れた形跡があり、前半には書きこみ凄まじく(生まれて初めてネタばらしが書かれた売り物を見た)、ページを開くと煙草臭が立ちのぼり、表紙はバッサリと折れており、──まぁ非道い状態で、本来なら売り場に出すレヴェルではない物が、棚に並んで然るべき値段を付けられていたわけだ。
 どうしてこんなものが売られるようになったのか。というか、なにを考えてこんなものを売り場に出したのか。書きこみはともかく、濡れと折れは外観チェックですぐに判明する。わたくしが以前働いていたグループ会社なら廃棄されることだろう。
 もっと具体的にいえば、こうだ。──①バーコードのある商品ゆえ査定は行われるが、買取額は通常より低めとなる。或いは買取不可商品として廃棄ボックスへ直行する。②入庫チームの検品の際、販売基準を満たさぬ商品は破棄される。③注文が入ると出荷チームの誰彼が棚からピッキングして、状態をチェックする。ダメージがあっても修復可能であれば修復し、不可能であれば販売基準を満たさないとして、注文者に連絡の上、要らないと連絡があれば廃棄する。
 すくなくともわたくしが在籍していた当時は店舗もオンラインも、すべてのブックオフの販売現場が同じ基準の下に(買取は現場の裁量となるが)販売していたのだが……いつの間に販売基準は崩れ去って、好き勝手にやれ、という方針に切り替わったのか? 「本としての体裁を保っていれば、値段を付けて棚に出せ。欲しい奴はどんな状態でも買ってゆくさ!」とでも考えを変えたのか?
 ふざけるな、といいたい。昔は研磨のためにカバーと中身が入れ替わってしまった、という事故が店舗でもオンラインでも頻発した。たしか買取基準、販売基準も、件の事故の改善と併せて改正、徹底されて、もしそのような商品を棚に出した、出荷してしまった、というようなことがあれば、すぐに担当者を割り出して(こういう執念というか犯人捜しが、ブックオフは大好きだ。わたくしも1度だけ、やらかしたことがある)上長から2時間ばかりグチグチ小言をいわれ、必要ない始末書を400字詰め原稿用紙10枚の提出を厳命されたものだが(当然、提出日に件の上長は公休で不在である)……いまはスタッフ教育や品質管理、顧客満足度は二の次になってしまったのかな。店舗は人員不足なんだよ、とはいわせない。外観チェックでじゅうぶん弾けるはずの商品が、棚には目白押しだからだ。店舗スタッフが最優先で力を注ぐべきはコダマではない、品質管理だ。
 ……『夜よ鼠たちのために』は勿論、買わなかった。そんな非道い状態のものを買って、店舗の売上げに貢献する必要はまったくない。ブックオフが品質管理を徹底していた、内部的には厳しい時代を経験しているからこそ、此度の出来事に失望しているのである。付言しておくと、斯様な状態の本を見たのは、今回が初めてではない。これまでも、幾つかの店舗で偶さか見掛けてきた。「ならば、どうしていま書いた?」とな。決まっておろう、今日程幻滅させられたことはなかったからさ。◆

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