第3090日目 〈小説『それを望む者に』のまとめです。〉 [小説 それを望む者に]

 これまで本ブログでお披露目してきた拙い小説のまとめ記事、その第2弾であります。『それを望む者に』を読者諸兄の目に曝したのが2015年、実際の執筆はそれより何年も前のことです。
 妻を亡くした夫の話というのは変わりありませんが、最初のアイデアでは実は本作、黒魔術小説になるはずでした。そんな夫婦の話にブラック・マジックを絡めるつもりになったのは、倉庫内作業の仕事に従事していた<島>にあった廃ビルの存在でした。
 <島>と<陸>をつなぐ海底トンネルの<島>側出入り口からちょっと離れたところ、木立で薄暗くなっているところに建つビルを見あげて薄ら寒いものを感じずにはいられませんでした。老朽化して廃棄されたようには見えない。というのも、窓ガラスは1枚も割れていないし、木立側の壁の塗装も所々剥げてはいる。加えて、冬の暗くなった時刻に海底トンネルから帰ろうとすると、3階あたりの窓から電気の灯りがもれているのを見掛けたこともあった。要するに、どうして使われていないのか、まったく見当が付かないビルだったのです。
 そんな廃ビルを日々眺めていたら、小説の舞台に使えそうだ、と想像を逞しうし、ネタの2つや3つ思い浮かべるのは簡単でありましょう。そんなこんなで駅近くのスターバックスの窓際席に陣取り、ノートを広げてシャープペンを一心不乱に走らせて、閉店までプロットやキャラクター設定など書きつけた。けっきょく黒魔術の要素は排除され、死者の復活という、わたくしが高校の頃から取り憑かれているテーマに還ってゆくことになったわけですが……。
 舞台になる街の描写と神社の設定については、既に本作「あとがき」で触れておりますからそちらをご参照いただければ幸いです。
 この小説はわたくしにとって、なによりも愛する死者の慰霊でありました。有楽町の思い出をレイテ河に流して忘却する作業でもあった。その結果は関係者のみが知っております。



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 お披露目したなかではいちおう最新作となっている『人生は斯くの如し──ヘンリーキングの詩より』は勿論ですが、いずれ、単発でお披露目した作品も一括まとめ記事を作らなくてはなりませんね。
 が、後者の作業に手を着けようと考えた途端、サルヴェージの手間に思い馳せて気持ちが萎えてしまうのです。いやはやなんとも。◆

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